旧キット「1/100 ゴッグ」を、太モモのボリュームアップと各部微調整でカッコイイゴリラ体型に
2022.05.15MSM-03 ゴッグ【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
1/100スケールゴッグの作例をご紹介。1/144が比較的設定画稿に近いスタイルで立体化されているのに対し、この1/100はより末端肥大で重厚感のあるスタイルにアレンジされており、劇中のイメージも踏襲。さらにモノアイにレールを設けることでモノアイのスライド可動も再現するなど、1/100ならではの意欲作となっている。作例は、特集のテーマとなる“キットの素性を最大限に活かし”ながら、さらにキットの魅力を高める工作を敢行。作者のイメージする、より“ゴリラ体型”なゴッグを実現を目指している。
ギミック満載の1/100きっての意欲作
1/100としては10作目にあたる本キットは、シリーズ初となるモノアイ可動に加え、腰、肩アーマーの回転、腕の伸縮などギミックも豊富な仕上がり。同スケールのアッガイ、旧ザクと並ぶ屈指の名作といえる。
ゴッグ
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●880円、1982年3月発売●1/100、約18cm●プラキット
月刊ホビージャパン6月号は昭和のガンダムキット(いわゆる当時ものキット)の特集でした。80年代初期、あの“第一次ガンプラブーム”、93年月刊ホビージャパンで行われた「もう一度How to build Gundam」の両方を実体験した“戦中派”としてはめちゃくちゃ盛り上がる企画。反面プレッシャーが凄いのも事実です。それは21世紀に入ってからの模型素材の進歩、新たな技法の発明、加えてプロはもとより趣味として模型を楽しんでいるモデラーの技術力の進歩は、当時の作例を軽く超えてしまうレベルに達しているからです。半端な完成度では満足していただけず、逆に超絶技巧で挑んでも「こんなの作れねぇよ」と言われてしまうだけ……。そこで当時ものキットの味を最大限活かしつつ、比較的ローカロリーで見映えがする工作法で製作することにしました。
まず当時ものキットはキャラクターモデルとして発展途上にあるため、形状の読み取り不足や、当時の流行りがキットの出来を左右しています。その中でもこの1/100ゴッグはとても奇異な形状をしています。これは設計上のミスではなく「チャレンジ精神に満ちた“アレンジ”ではないか?」と当時から直感的に思って感じていました。今回はその“アレンジ”と感じた部分を残す工作を行います。なお本キットの最大の弱点は小さく貧弱な太モモでしょう。ボディへの取り付け部もレトロなソフビ人形のようなアレンジなので、ポージングにもかなりの制限が出てしまう点です。そこで太モモを10mm幅増し、さらに太モモ上部にプラスチック製スプーンを取り付け、大きく丸い太モモに修正します。ボディ取り付け部にも大穴を開けボールジョイントで接続。太モモがボディ内に入り込んだスタイルにしました。
大きな変更点はこれだけです。細かな修正点は(1)設置を安定させるため、ソール部の蛇腹を追加、角度を付けたこと(2)腕の各節をプラパイプで5mmずつ延長(3)爪を鋭く砥ぎ、指の取り付け位置と形状を変更(4)肩アーマーを若干、怒らせ気味に上側に角度変更、しただけです。これだけでボックスアートに見ることができる、カッコイイ“ゴリラ体型”のゴッグになったのではないでしょうか?
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット
MSM-03 ゴッグ
製作・文/桜井信之
©創通・サンライズ
桜井信之(サクライノブユキ)
さまざまなメディアで活躍する模型の伝道師。あらゆるジャンルの模型に精通している。