ハセガワ1/48「九九式艦上爆撃機」をベースに“「蒼龍」の赤虎”を製作
2022.05.14蒼龍(ブルー・ドラゴン)の背から飛び立った赤虎(レッド・タイガー)
零式艦上戦闘機、九七式艦上攻撃機とともに、日本海軍機動部隊の三羽ガラスと呼ばれた九九式艦上爆撃機。優美な楕円翼に固定脚を取り付けたソフトな外観だが、太平洋戦争前期にはさまざまな海戦で大きな戦果を挙げている。緒戦の真珠湾攻撃でも、6隻の空母から多数の九九艦爆が攻撃に参加しているが、第2次攻撃隊を率いた「蒼龍」艦爆隊の江草隆繁隊長機は赤と黄の特別な塗装を施していたといわれる。昭和16(1941)年12月8日の真珠湾攻撃から81年目の2022年、ハセガワの名作1/48スケールキットで蒼き龍から飛び立った赤き虎の勇姿を再現する!
■「蒼龍」の赤虎
真珠湾攻撃に参加した艦載機の中でも“「蒼龍」の赤虎”として有名な空母「蒼龍」艦爆隊の江草隆繁隊長機を、以前に「スケールアヴィエーション」誌(2001年3月号)にて特集された作例の考証を参考に、ハセガワの1/48九九艦爆のキットをベースに製作しました。
作例の一番のアピールポイントである派手な胴体の塗装は、空母発艦後に総数78機もの第二次攻撃隊の艦爆隊に素早く編隊を組ませるために隊長機を目立たせる応急塗装です。「赤と黄色の曼荼羅模様」といわれたその塗装を、当時の整備兵になった気持ちでエアブラシのフリーハンドで再現しました。
■製作工程
このキットのコクピットは細部まで再現されていてそのままでも充分な出来になります。作例では気になるところを数ヵ所手を加えました。シートベルトと後部の旋回機銃はファインモールドのナノ・アヴィエーションを使用し、羅針儀は透明プラ板を使用してディテールアップをしました。キャノピー開状態で組む場合はこの辺は見せ場になります。
機体には全面にリベットを打ちました。図面を参考にひとつずつツールを使用し打っています。胴体と主翼下面のパーツとの間には補強のためのプラ板を付けています。フラップは切り離して下げた状態で取り付けました。
エンジンカウルのカウルフラップを展開状態で再現しますが、中のエンジンや給排気管もよく見えるのでそれも再現することにしました。エンジンパーツは前から見える部分しか再現されていないので、他キットのエンジンのパーツを「おゆまる」で型取りしエポパテで複製、そのシリンダーを貼り付けて給排気管をプラ棒で再現しました。エンジンを塗装後に組み立ててカウルを取り付けます。
■塗装工程
キャノピーやコクピットをマスキングして塗装に入っていきます。まずは日の丸などのマーキングを塗装します。発色をよくするために下地には白を吹きます。日の丸の色はMr.カラーC385紅色(日本海軍機用)です。色のとまりがよく発色がよいので日本機を作られる方にはオススメです。
各マーキングをマスキングし薄めた黒でパネルラインやリベットラインに沿ってシャドーを入れていきます。その上からMr.カラーC35明灰色を重ねていきます。乾燥後に主翼をマスキングし胴体に黄色を塗装します。その後に紅色で曼荼羅模様を描いていきます。
マスキングを剥がしたらMr.ウェザリングカラーのマルチブラックでスミ入れをします。その後キット付属のデカールを使用して機番などを再現します。もちろん機番は「B1-231」。赤文字のデカールを組み合わせて作ります。
部分的に塗装剥がれを銀箔を使用して再現します。木工用ボンドを溶いた水で銀箔を貼り付けてピンセットで細かく砕き散らします。排気管からのスス汚れはエアブラシで描き込みました。各パーツを組み立ててアンテナ線を伸ばしランナーで張ったら完成です。
“「蒼龍」”の赤虎と呼ばれた機体、大日本帝国海軍が一番勢いのあった時代の花形であった空母艦載機のひとつを、当時に思いを馳せながら作ってみてはいかがでしょうか。
ハセガワ 1/48スケール プラスチックキット
愛知 九九式艦上爆撃機 11型
製作・文/ハルサー
愛知 九九式艦上爆撃機 11型
●発売元/ハセガワ●2860円、発売中●1/48、約21.2cm●プラキット
ハルサー(ハルサー)
1984年生まれ。千葉県の田舎で2児の子育てをしながら模型を楽しんでいます。模型サークル72labで活動中。