【0083特集】「RX-78 GP03S ガンダム試作3号機 ステイメン」関節周りの微調整&ディテールアップでさらに引き締める【木村直貴】
2022.01.12RX-78 GP03S ガンダム試作3号機 ステイメン【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)
駆け抜ける嵐
コウとガトーは最後の力を振り絞り激戦を繰り広げる。
しかし、そこにソーラ・システムの光がふたりの機体を飲み込む……。
意識を取り戻したコウはガンダム試作3号機ステイメンを、
大破したアームドベース・オーキスから離脱させ、ガトーを探す。
しかし、すでにそこにはノイエ・ジールの姿はなかった。
ドッグ艦・ラビアンローズにて調整が行われていたガンダム開発計画最後の機体。アームドベース・オーキスとドッキングすることで、拠点防衛用兵器、ガンダム試作3号機、コードネーム「デンドロビウム」となる。ステイメンは試作3号機の管制ユニットとしてオーキスの制御などを行うが、単独でも試作1号機フルバーニアンに匹敵する戦闘能力を有すると言われる。作例はマイスターこと木村直貴が担当。上半身を八の字に削り込み、肩関節の可動ギミックの追加、股関節の可動域拡大により、さらに力強く引き締まったステイメンを完成させている。
FRONT
SIDE
REAR
上半身の八の字可能と股関節可動域拡大が、キットをさらにかっこよく見せるポイント!
この時代のマスターグレードシリーズは股関節がボールジョイント方式で、可動域が狭く大きく脚を開くことが難しいものが多い。また、試作1号機やこの試作3号機 ステイメンのように、コア・ブロック・システムの再現により肩の可動域も狭い。このふたつの問題点を解消するだけでもグンと立ち姿がかっこよくなり、さらにキットの素性の良さを活かせるのだ。
■実は屈指の美ガンダム
『0083』特集ということで、主人公コウ・ウラキの最後の乗機ガンダム試作3号機ステイメンを担当します。
ステイメンといえば巨大武器ユニット、オーキスとドッキングしたデンドロビウム形態での戦闘がほとんどでしたが、劇中最後に、傍観していた味方艦隊に向けてライフルを乱射する、むなしいシーンは深く心に刻まれていますね…。
こんなステイメンですが、GP01直系で、洗練されたボディラインが大変魅力的であります。それからなんといっても、腰の大型バインダーとなめらかなバックパックが織りなす純白の背面ラインは、折り畳まれた天使のハネのように見えて、とても美しい! 翼を大きく広げることこそできないものの、宇宙世紀版ウイングガンダムがあるとすれば、このステイメンで決まり!!
う〜ん、かえすがえす、劇中で美しく舞うステイメンが見られなかったのは残念であります。
ということで、ここはガンプラを製作して心ゆくまで堪能いたしましょう!
■いいキットですよ
さて、キットは20年以上前のベテランで、そろそろリニューアル化が期待される段階だと思いますが、大きな欠点もなく、設定通りのアーム展開や、折り畳み式武器。さらに計画のみのコア・ファイター・システムとのコンパチまで、とても贅沢な仕様で、今の目で見てもそれほど古さを感じさせない名作であります。丁寧に整形してパーツの精度を上げてやるだけでも充分な仕上がりが期待できるでしょう。
一方、今のMGと比べて不満に感じる点として、ポリキャップむき出し関節があったり、装甲裏が抜けたままのパーツ、腰や肩のダクトなど色分け不充分な箇所など存在しますが、中級者以上であればドントコイ! ですね。
■少し引き締めましょう
さて、本作例ではさらにスタイリッシュなプロポーションを目指して各部の調整をかけています。ポイントを列挙しておきます。
<頭>マスクの下半分を削り込んで小顔にし、取り付け位置も奥へ移設。側頭部のダクト周りも裏打ちして削り込んで引き締めてています。
<胸>コア・ファイターII-Sp内蔵ギミックをつぶし、肩付け根にボールジョイントを仕込んでアクション性を向上させています。また、胸側面を裏打ちして“ハの字”に削り込んで肩幅を詰め、さらに軸位置も上げてイカらせています。
<肩>アーマーの取り付け部を小型化して肩ブロックの切り欠き部へはめ込み、腕を胴体に密着させます。
<下半身>“踏ん張り立ち”しやすいように股関節軸を斜めに付けなおしました。その際、軸幅を詰め、下方へずらしてセットすることで胴体とのつながりを改善し、脚も長く見せています。脚部のヒザ下にも1mmスペーサーを入れてますので、合計で3mmほど脚が伸びています。
<ディテール>GPシリーズは線の多いデザインなので、細かなディテールを追加するとより引き立ちます。いつもの「・」「−」とエッジの斜め部分削りがメインです。
■白いです!
胸以外はほとんど白。気持ちいいです。でも模型的にはちょっとつまらないので、純白のイメージを損なわないよう気を付けながら、ライトグレーとのツートーンで塗り分けてみました。
本体色のうち、白〜グレー〜黒は全部サーフェーサー(混色あり)で、表面処理兼用。残りの基本色はMr.カラーです。
青=キャラクターブルー+パープル+白
赤=キャラクターレッド
黄=黄橙色+白
スミ入れはエナメル塗料。脚部などの黒い太線は、尖らせた鉛筆を使って描き込んでいます。そして、付属シールや適当なデカールにてマーキングを施し、濃度とツヤを調整したグレートーンで軽くグラデーションをかけて完成であります。
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード”
RX-78 GP03S ガンダム試作3号機 ステイメン
製作・文/木村直貴
ⓒ創通・サンライズ
木村直貴(キムラナオキ)
スケールモデルのディテールを取り入れる工作を得意とする月刊ホビージャパンエースモデラー。和歌山在住の大正琴師範代。