Ma.K. in SF3D
脅威の無人 大型ホバー駆逐戦車「ナッツロッカー」
2022.01.08
本連載では約11年ぶり2度目の特集となるナッツロッカー。1982年の『SF3D』連載初期から絶大な人気を誇る全長10.8mの無人ホバー戦車で、2021年11月に部隊マークのワッペン付き1/35プラキットがハセガワから発売された。
MAX渡辺はキット付属の塗装カード収録機に仕上げ、同部隊のホルニッセを1/20と1/35の2種用意。ナッツロッカーとホルニッセの貴重なツーショットを実現させた。パッケージモデルとして話題となった横山宏のサークル迷彩機も紹介する。圧倒的な存在感を醸す無人大型ホバー戦車の威容に刮目していただきたい。
P.K.H.103 ナッツロッカー“ヴァルトガイスト”
●発売元/ハセガワ●7700円、発売中●1/35、約30cm●プラキット
シュトラール軍 無人大型ホバー駆逐戦車 ナッツロッカー 製作/MAX渡辺
■オミクロンと打ったらおμと変換されました。
2021年のトライアスロンシーズンが終わりました。主催者サイドの弛まぬ粘り強い努力によって、厳しい条件下ながらいくつもの大会が開催された1年となりました。神奈川スプリント、榛名湖オリンピックディスタンス、そして九十九里ミドルと3つのレースに出場でき、充実したシーズンを過ごすことが。
2022年は海外レースも行きたいなぁ、なんて思っていたらオミクロン株の出現ですよ。コレを執筆している12/6現在、先行きはまるで不透明です。この新型コロナがふつうの風邪になる日を心待ちにする模型芸人でございます。
■ひっさしぶりぶりナッツロッカー!!
驚愕の事実!! 2011年3月号、連載13回目にメイン作例として以来、ナッツロッカーは実に11年ぶりなのですよ!! その初掲載時、4機のナッツロッカーをカラーバリエで掲載させていただきましたが、倉庫から出て来たのはなんと6機。のちに小さなカットでチラリと登場した冬季迷彩機、そして横山センセも塗られた2010年当時のPKGカラーのが出て来たんです。塗ったことすらすっかり忘れてましたよ。自分で言うのも何ですけど、メソッドこそ違え、悪くない仕上がりですよw いずれかの機会に登場させますのでお楽しみに♪
さてさて閑話休題。今回のナッツロッカーもいつものように複数機を用意していたのですがじっくり楽しみたくなったので小出しにしようと1機に絞りました。
工作は10年前とほぼ変わらない手摺やフックなどの真鍮線置き換え。彩色下地は虹色です。ネタ探しにキット同梱のカラースキームカードを読んでいましたら格好のエピソードが!! ホルニッセとの連携攻撃を得意としている!! 美味しすぎる♪ と、そのカラーリングに見覚えが!! コレ、オイラ塗ったことある奴ぢゃん!!♥
再度倉庫に家探しに。ありましたよこのカラーリングのホルニッセ!! KATOOOさん、憎いねぇ♪♪ というわけで即決、そんな絵作りをするべくナッツロッカーを塗りました♪ 色味はあえてホルニッセに合わせず、今塗りたいグリーンとブルーで合わせました。10年塗ってきた年輪を感じさせるイイ色♥ と自画自賛ww
1/35ホルニッセは海洋堂ガチャーネンのPKAを載せられるように試作してみた、3Dデータ樹脂出力品です。今回勢いに任せてフライング気味に塗っちゃいましたよ。掌にスッと収まるサイズ、実に心地良いですなぁ♪ PLAMAXからインジェクションキットとして発売予定。2023年と発売は少し先になりますがお楽しみに♪(MAX渡辺)
ハセガワ 1/35スケール プラスチックキット
シュトラール軍 無人大型ホバー駆逐戦車 ナッツロッカー
製作・文/MAX渡辺 協力/鈴木孝
シュトラール軍 無人大型ホバー駆逐戦車 ナッツロッカー “ヴァルトガイスト” 製作/横山宏
ハセガワのナッツロッカーがワッペン付きキットになって再販されました。最初は以前から使ってるメルジーネのラッパを吹いてる白抜き人魚のマークをワッペンにする予定だったんだよね。でもワッペンにして胸に貼るならもう少しクオリティ上げたいって思ってデザインし直すことにしました。ミュシャ的なフィルムの人魚の絵を描き起こすところからスタート。それをワッペンにできるようKATOOOさんの奥さんにラインを整理してもらったというプロセスで完成しました。最初にでき上がったワッペンの試作見本の画像があまりにも精密な刺繍で驚いたんだけど、10cmと10インチ(約25cm)を間違えてデッカいものでした(笑)。作り直した10cmのものはちゃんとできてて安心です。いずれメルジーネのキットにもこの新しい人魚のマークを入れるので楽しみにしてちょうだい。
迷彩のサークルはテンプレートをハサミで一列だけに切り離し角を丸くしたものを使って鉛筆で下描きしました。900円のものを切り離したけど、100円ショップにも売ってることを切ったあとに知りました(笑)。サークルの外径は12mmで内径が10mm。キットのデカールに同じサイズのものを入れたので参考にしてちょうだい。
サークルを描き終わったらクレオスのウェザリングカラーで大胆に汚します。表面積が大きくて間が持たないところもウェザリングカラーがあればばっちり決まる。汚し過ぎたと思ったらクリアーを吹く前に綿棒に溶剤つけて拭き取ればオーケー。ここは錆びるなというところをオレンジで汚して、さらに時間が経ったようなところに黒を混ぜていきます。オレンジ、ブラウン、黒の3色を上手く使うのが鉄板だ。ナッツロッカーに鉄を使っているのかどうかは謎だけどね。
1982年に作ったオリジナルの1/20ナッツロッカーは日東の工場の火災で燃えてなくなっちゃったけど、今回塗ったのは色とか空気感が40年前のオリジナルにとても似ててなんだかあの世から甦ったような感じなので商品名のヴァルトガイストにピッタリだ。
ハセガワ 1/35スケール プラスチックキット
シュトラール軍 無人大型ホバー駆逐戦車 ナッツロッカー “ヴァルトガイスト”
製作・文/横山宏
[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.105
シュトラール軍 無人大型ホバー駆逐戦車 ナッツロッカー
文/KATOOO(レインボウエッグ)
ナッツロッカーは『SF3D』連載初期の1982年9月号に登場。全長10.8mの無人兵器でピーナツと揶揄されるA.F.S.を多数破壊しナッツロッカーと呼ばれます。『SF3D』連載時はNUTROCKERと記載されましたが、正しい表記はNUTCRACKER(ナットクラッカー:くるみ割り器)。2010年のハセガワ製1/35プラキット発売時、表記が改められますが、定着していた日本語はそのままになっています。
近未来的なフォルムとクラッシックなメカのディテールが同居する傑作デザインで、明確な前方がない砲塔や本体下部のえぐれたすき間など横山先生の非凡なセンスが随所に見られるナッツロッカー。なぜ10ⅿの設定になったのか横山先生に伺うと、「編集の市村君、デザイナーの今井君と打ち合わせして今井君が芯を作ることになったんだけど、デカいほうが作りやすかったらしくて1/20で全長50cmの芯ができたの(笑)。今井君にタミヤのパンサーを渡したのでパンサーのパーツだけ流用された芯を受け継いで、全体を仕上げていろんな流用パーツを組み合わせて作りました。昔から人が作ったものを受け継いで作るのが得意だったんです」とのことです。
ナッツロッカーといえば、S.A.F.S.に撃破されるシーンやA.F.S.をやり過ごすB.D.など名シーンが多いのですが、私はホルニッセと映っている別冊「SF3D」の表紙に愛着があります。2021年11月に発売されたハセガワ製“ヴァルトガイスト”の塗装カードは私が構成しているのですが、横山先生から「蜂とハートの組み合わせがあるといい」と指示をいただき、ならば3Qモデルのホルニッセのパッケージモデルのカラーリングにしようと思案。ホルニッセとの連携攻撃を得意としているエピソードを書きました。迷彩パターンはグラフィックデザイナーの妻が描いているのですが、横山先生にもこの塗装パターンをたいへん気に入っていただきました。
月刊ホビージャパン2022年2月号の撮影当日、編集部に行くと、なんとMAX渡辺さんのホルニッセ部隊のナッツロッカーが!! さらに1/35ホルニッセ試作出力品の完成品まで!! MAXさんも「ナッツといえばホルニッセ」だったそうで以心伝心とはこのことか! と顔がほころんでしまいました。ナッツのオリジナルモデルが焼失したこともあり、同スケールのホルニッセと並ぶのを見たのは初めての経験。ものすごく感動しました。
ブリックワークス 新作フィギュア
ブリックワークスから林浩己氏原型の新作フィギュアが発売! 女性兵士が宇宙用パイロットスーツの下に着用するインナースーツをイメージしたものだ。
舷窓の向こう インナースーツ2.0
●発売元/ブリックワークス●4378円、発売中●1/20●レジンキット●原型/林浩己
レインボウエッグ 新作デカール
レインボウエッグからウェーブ製1/20ラクーン、S.A.F.S.に対応したデカールが発売中。135mm×205mmの高精細デカールで塗装カードとディテールUP用のビニールコードが付属する。詳細は(http://blog.rainbow-egg.net/)まで。
1/20ラクーン&S.A.F.S.デカールセット
●発売元/レインボウエッグ●1760円、発売中●1/20●デカール
海洋堂ホビーロビー東京でシュトゥルムケーファーコンテスト
東京・秋葉原の海洋堂ホビーロビー東京が1/35シュトゥルムケーファーコンテストを開催! 作品は直接持ち込みのみで、受付は2021年11月27日から2022年1月16日(日)まで。現在、店頭でエントリーシートを配布中だ。横山宏氏、宮脇修一氏、谷明氏が各賞を選出します。
© Kow Yokoyama 2021