「いすゞ 117クーペ 初期型」をさらにエレガントに仕上げる【畠中浩】
2021.12.02乗用車部門の撤退から、すでに20年近くが経とうとしているいすゞ自動車だが、かつては個性的で魅力にあふれた乗用車を生み出すメーカーでもあった。今回ハセガワから待望のキット化が実現した117クーペは、そんないすゞ車のなかでも、長年フラグシップを務めたスペシャルな一台である。製作は前回に続いてハセガワの最新キットを手掛ける畠中浩が担当。美しいフォルムが魅力の117クーペとともに、同車をさらにエレガントに仕上げるための製作ポイントもご紹介していこう。
117クーペをより美しく仕上げる製作ポイント
解説・写真/畠中浩(ももふく模形舎)
■ボディ
まず、作例はテストショットを組んでいるので製品版とは違う部分があるかもしれません。キットはいわゆる初期型の「ハンドメイド」と呼ばれるタイプ。板金技術の問題からデザイン通りの再現を諦めることなく、ある程度の形状をプレスで成型し、細かい所を手作業で仕上げたことから上記のように呼ばれています。すごくシンプルに見えるボディですが、よく見ると凝った仕上げがたくさん見られるんですよね。窓枠や細かい部分も手作業で作られた部分がたくさんあって本当に見応えがあります。そのためキットではボンネット上やルーフ部分など、金型の都合で浅い部分があるのでまずはそこを処理します。こういう場合は無理にフリーハンドは行わず、必要に応じてガイドテープなどを利用して正確に彫り直しましょう。別パーツになっているフロントのグリル下のパーツはシャシーをはめる時に力がかかるためプラ用接着剤を使ってしっかり接着します。また、窓ガラスやテールライトなど塗装後、はめ込みになる部分は事前にしっかりすり合わせをして塗膜の厚みぶんを調整しておきましょう。
■内装
いつも通り、昭和感あふれる内装がしっかり再現されています。説明書の指定ではほぼ黒一色ですが、ツヤを変えたり黒を少しグレーに振るなどしてシートのビニールレザーな感じやダッシュボードの樹脂な雰囲気を大げさに塗り分けてやると雰囲気がよくなりますよ。今回は昭和時代の車にはよく置かれていた黒いゴム製のフロアマットを追加しておきました。適当なデザインですがカッティングシートを切り出し、ミッチャクロンと濃いめのツヤ消しグレーで塗装して貼り付けておきました。なかなかいい雰囲気だと思うのですが、キットにパーツとして入っていれば嬉しい部分ではありますね。ちなみに床の赤はこのくらいの年代の車ではよく見られた赤い絨毯のつもりです(笑)。
■塗装
今回のボディはシルバーを選択したので下地処理は入念に行いました。各部にヒケも多く見られたため、いつものサーフェイサーではなくシルバーを軽く吹いて凸凹の確認、修正を行っています。厚吹きをしないようにしつつ、下地が整ったところでそのままガイアカラーのEx-07シルバーにGSIクレオスの色ノ源シアン、ブラック、ブルーパールで調色した塗料で塗装しています。クリアーはウレタンクリアーを使用。今回はテストショットを組んでいるためメッキパーツや窓枠などをメッキ塗料で塗装しますが、特に三角窓の部分などは細かいディテールも多いので全体的に薄く塗装して仕上げています。メッキ塗料は今一番お気に入りのガイアカラーのプレミアムミラークローム。この手の塗料は下地にクリアー層があるとよりきれいに輝くので毎回クリアーを塗っています。ただ、塗装後は塗膜が剥がれやすいため一切触れないのがネックですね。ちなみにこの車、実車は窓枠の一部とホイールカバーの一部がステンレスのヘアライン仕上げになっています。なんとかこれを再現できないかと思ったのですが塗装ではイマイチだったので、いずれまた再挑戦したいと思います。
■最後に
117クーペ、古いキットは存在するのですがやはり最新キットで作れるのは最高ですね。で、いすゞからこれが来たということは、ピ、ピ、ピア、ピ…期待できますよね。楽しみに待ちたいと思います(笑)。
ハセガワ 1/24スケール プラスチックキット
いすゞ 117クーペ 初期型
製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)
いすゞ 117クーペ 初期型
●発売元/ハセガワ●3520円、12月3日ごろ予定●1/24●プラキット
畠中浩(ハタナカヒロシ)
虎ファン待望の優勝目前で失速、ガッカリしつつも若い選手の台頭が目立って楽しいシーズンでした。