HOME記事キャラクターモデル【境界戦機作例】射撃・狙撃を得意とする「YM-01 ジョウガン」キットレビュー【坂井晃】

【境界戦機作例】射撃・狙撃を得意とする「YM-01 ジョウガン」キットレビュー【坂井晃】

2021.11.27

YM-01 ジョウガン【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)

ジョウガン 特写

設定画を参考に形状やギミック再現に注力する

 レジスタンス組織『八咫烏』に所属する鉄塚ガシンが搭乗するMAILeS(メイレス)「YM-01 ジョウガン」。射撃・狙撃を得意とする機体で、上下に砲口を持つ120mm二連装狙撃砲を主武装としている。坂井晃によるキットレビューは設定画を参考に形状やギミック再現に注力して仕上げている。

YM-01 ジョウガン
▲ケンブ同様に片持ち式関節構造を持つ。射撃・狙撃を主体とした機体で、斜め前方に突き出たアンテナと牙のようなフェイスのプレートが猟犬のような印象を与える
中央パーツの分割を変更
▲カメラアイのクリアーパーツが後ハメできないので中央パーツの分割を変更。アンテナは削り込みでシャープ化した
肩の黄色いパーツは設定画を参考
▲肩の黄色いパーツは設定画を参考に肉抜きを埋めてからプラ板を貼って段落ちモールドを再現。肩関節は設定画にない開口部があるのでプラパイプの切れ端を接着してふさいだ。装甲裏の肉抜きは見えやすいのでポリパテで埋めている
胸部側面パーツは後から取り外すことを考慮
▲胸部側面パーツは後から取り外すことを考慮してパーツの一部(赤で着色した箇所)をカットしている。「パーツ素材がKPS(強化ポリスチレン)のため、隙間に爪や工具を挟んでこじ開けると大惨事になります…」とのこと
黄色の側面パーツ
▲黄色の側面パーツも後に分解するために固定用の軸をいくつか切り飛ばしておき、後から組む青いパーツを付けた後でも外せるようにしている
設定画にある凹モールドを彫り直し
▲上腕の段差モールドは設定画にはないので、段差に合わせてカットしたプラ板を接着。設定画にある凹モールドを彫り直している
腰部リアアーマーのアウトリガーパーツ
腰部リアアーマーのアウトリガーパーツ2

▲腰部リアアーマーのアウトリガーパーツの肉抜きは深さがあるのでランナータグなどでかさ増ししてからポリパテで埋めた

ジョウガン後ろ
▲主武装は120mm二連装狙撃砲。左肩にシールドをマウントしており、シールド内側には近接戦闘用の戦闘短刀を収納している
ジョウガン シールドと短剣
ジョウガン シールドと短剣
内部のパーツ固定用ダボをカットして隙間をプラ板でふさいでいる
スライドした状態を製作

▲シールド裏の戦闘短刀収納部はキットをもう1セット使用してスライドした状態を製作。鞘部分を切り離し、内部のパーツ固定用ダボをカットして隙間をプラ板でふさいでいる。短刀も装備用と収納用をそれぞれ製作。装備用は先端にプラ板を貼ってシャープ化した

ジョウガン シールドなしver.
▲肩の黄色いパーツは左右ぶん入っているのでシールドを装備しない状態にすることもできる
太モモ装甲パーツ内側
脚付け根パーツ内側
脚付け根パーツを後ハメ化
元の向きに戻すことで抜けなくなる

▲太モモ装甲パーツ内側の一部(赤く着色した箇所)と脚付け根パーツ一番下の丸部分を一部カットして、脚付け根パーツを後ハメ化。90度回した状態で組み込み、元の向きに戻すことで抜けなくなるようにしている

太モモ装甲の合わせ目処理
太モモ装甲の合わせ目処理

▲太モモ装甲の合わせ目は段差に瞬間カラーパテを盛ってから整形して処理。太モモ下部のヒザブロックは瞬間カラーパテを盛ってから削り込み、段差を埋めてエッジを出した

スネのスリット
▲スネのスリットはキットでは凸モールドだが、設定画では凹モールドなので0.3mm厚のプラ板を貼り付けて形状変更。下側はプラ板を貼り足して厚みを増しつつ、足首フレームの露出をおさえている
合わせ目処理と肉抜き埋め
▲つま先の合わせ目処理を行い、大きい肉抜きはポリパテで、小さい箇所は瞬間カラーパテで埋めている。アンクルアーマーは黄色いパーツ側に青いパーツの接続ピンが露出するので切り離して黄色いパーツ側に接着した
ジョウガン 左後方から
▲ケンブと比較すると安定度を優先したような靴部形状。かかとには展開式のアウトリガーを装備
腰部リアアーマー
アウトリガー展開

▲腰部リアアーマーのアウトリガー展開は差し替えで再現。アーマー中間部とアウトリガー接地部に可動部を備えており、本体ポーズに追従する

FRONT

ジョウガン FRONT

SIDE

ジョウガン SIDE

REAR

ジョウガン REAR
ジョウガン 製作途中状態
ジョウガン素組み比較

▲製作途中状態&キット素組み(左)との比較。キット形状は良好なので、各部を丁寧に仕上げるだけでさらに完成度を高めることができる。より設定画の再現にこだわるなら、本作例のようなディテール工作や後ハメ加工などを参考にしてほしい

狙撃砲 スライドストック
狙撃砲 スライドストック
狙撃砲 バレル先端
ジョウガン 武装各種
▲狙撃砲はバレル先端の接続ピンをカットしてから放熱孔を開口。両端をピンバイスで開口して中央はデザインナイフでカット。ピンバイスの穴とキットのモールドをガイドにヤスリで直線になるよう意識しながら微調整を行った。スライドストックは合わせ目があるので、モールドで分割して後ハメ化。はめ込み時に若干グリップが干渉するので、本体中央のピンをカットしてはめ込む際に余裕を持たせている。ストックは塗装後に接着するため、下部に固定用のプラ棒を取り付けている。設定画ではストック後部上面にプレートモールドがあるので1mm厚のプラ板で再現した
ジョウガン 立膝
ジョウガン 短剣構え
ジョウガン 銃構え
▲基本構造はケンブと共通となっており、狙撃砲を使用したスナイピングポーズも極めて自然に取ることができる。靴部の接地性も高く、短刀による接近戦などにも柔軟に対応してくれる

■はじめに
 今回は新作ロボットアニメ『境界戦機』よりHGメイレスジョウガンを担当させていただきました。キットのボリュームや可動範囲は発売中のビャクチやケンブと同様に広く、射撃ポーズ等も問題なく決まるので目立つ肉抜き穴や設定画と微妙に異なる部分の修正を中心に工作しています。

■工作
 黄色いパーツ以外はKPSなので、加工の際に無理矢理パーツを外そうとして爪や工具を差し込むと余計な傷が入ったり角が反り返ったりします。なので、組み立てでキツそうだと感じた部分を調整しています(胴体が分解できなくなってエライ目に遭いました)。
 設定画では凹モールドの部分が凸モールドだったり、肉抜きでモールド自体がなかったりと微妙に異なる箇所があります。気付いた部分を集中的に、キットのスタイルや、スクラッチになりそうで大変そうな部分はキットのままとしました。各肉抜きの小さくて浅い部分は瞬間カラーパテで、大きくて深い部分は底にランナータグ等を埋めてかさ増ししてからポリパテで埋めています。

■武装
 120mm二連装狙撃砲は放熱孔を開口してから接着して合わせ目を処理しています。銃底パーツは塗装後に可動させて塗膜が剥げてしまっても調整できるように後ハメ加工を行っています。シールドは裏の戦闘短刀収納部再現のために2セット製作。短刀は先端にプラ板を接着してからシャープ化した抜刀状態と、塗膜を気にせず納刀できる刀身だけ未塗装のものを別途製作しました。

■塗装
 KPSの弾力を損なわないように、サーフェイサーを吹く前に使用するジョイント穴や関節の軸等にマスキングテープを貼って塗料が付かないようにしています。指付け根の青は黒を先に塗装してからざっくりマスキングして青を塗装。再度黒を筆塗りでリタッチして塗り分けています。カメラアイは正面に青、両側を黒の隈取りで塗り分ける必要があったので、光沢クリアーでコーティングしてからスミ入れ。隈取りの横一本線にしつつ凹凸を確認。不要な部分を拭き取り、青は本体と同様の色で筆塗り。隈取りはエナメル塗料のフラットブラックで筆塗りを行いました。

■カラー
青(本体)=ミディアムブルーにMSライトブルーとクールホワイト、エイザーブルー、オーシャンブルー、パープル、色ノ源シアン等
青(濃)=ミディアムブルー率多めの青(本体)
黄=黄橙色+キアライエロー+クールホワイト
黒=メカサフ スーパーヘヴィ+バイオレットパープル
黒(ライフル)=MSファントムグレー
黄(シリンダー)=ミッドナイトブルー→クロームシルバー→蛍光イエロー

ジョウガン パッケージ

BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット “ハイグレード”メイレスジョウガン 使用

YM-01 ジョウガン

製作・文/坂井晃

HG 1/72 メイレスジョウガン
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2640円、発売中●1/72、約14cm●プラキット

©2021 SUNRISE BEYOND INC.

この記事が気に入ったらシェアしてください!

坂井晃(サカイアキラ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2022年1月号

ご購入はこちら

ガンダムフォワードVol.6

ご購入はこちら

サンライズ・メカニック列伝

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー