Ma.K. in SF3D
レーザーと盾を備えたルナガンス“ドン・キホーテ”見参!!
2021.10.07
今回はルナガンスを特集! ルナガンスは『SF3D』連載最後の年にあたる1985年に発表され、その愛らしいフォルムからファンの間でも大人気のメカ。2013年にウェーブから1/20キットが発売され、2021年7月に8年ぶりとなる待望の再販が実現した。
MAX渡辺は剣と盾に見立てたレーザーの腕とレドームを取り付け、騎士のような武装型の“ドン・キホーテ”を2体激作! ユーモラスと恐怖が同居する不思議な味わいの仕上りとなった。パッケージモデルとなった横山宏の飛行ポーズにディスプレイしたルナガンスも紹介する。
36年の時を経てさらなる進化を見せるルナガンス。その魅力を存分に味わっていただきたい。
シュトラール軍 月面高機動偵察
ドン・キホーテ
マキシンのドン・キホーテなのだ
文/横山宏
今回のMAXINE(MAX製マシーネンを今からこう呼びます。これマキシンという人の名前ですね)は、ルナガンスとアルタイルをミックスさせてそこにルナダイバーからレーダーを持ってくると盾と剣を持った剣士になるんだわ。レーダーの盾が装備されただけでまるで鳥山明センセのドラクエに出てきてもいいくらいかわいくなる。
もうこれはドン・キホーテ以外に見えないキャラができあがりました。しかも『SF3D』初回からの掟通り2体もこさえてくれたのでドン・キホーテズだ。こいつらが2人(2体)で相談しながら人間に向かってくるようなイメージがたまらなく恐ろしくてコミカルだ。
安売りのドン・キホーテのキャラに使うときにはちゃんと連絡してきなさいよ。このお店のことをドンキって略して言ってると「ドンキ・ホーテ」って書いちゃうので、ここはしっかり「ドン・キホーテ」と覚えておくようにしよう。
■天高く馬肥ゆる秋、到来
2021年の夏は劇的な暑さで唐突に始まり、一時はどうなることかと思いましたね。ですが記録的な大雨を境に足早に去って行きました。被災された方々のご無事を心から祈るばかりです。かつてない苛烈な天候の変化を感じるのは、コロナ禍の閉塞感がより一層感じさせているのかもしれません。滅入っていても時間は粛々と過ぎ去っていくので、ニコニコと笑いながら泳いで漕いで走って塗ってます! 皆さんも真似してみてください♪♪
■今回のお題はルナガンス、だったんだけど……
素組みしてしげしげと眺めることしばし、カラースキームカードに目をやるとそそるカラーリング発見♪
「よし! これを塗ろう!」と段取りしていたんです。でも何かイマイチノリが足りない自分に気付きました。〆切りにはまだ余裕がある時期だったので。さらにシンキングタイム。
「あ、そういえばルナガンスには追加装甲のチンガードは付属してないんだなぁ」と、ジャンクパーツ入れをガサゴソ物色。出て来ましたよ2機分ww 付けてみたらあらあらSo Cute ♪ パーツが付くことによって、アタマと認識される部位が一息に大きくなり、印象としての頭身が下がるんですねぇ。即ちこれSD化の方向。愛しさが増したらもっと擬人化したくなりました。
さて、さらにジャンクガサゴソ、出て来ましたよ、ルナダイバーのレドーム!! TENGAミサイルの作例で使わなかった奴ですね。スケールこそ違いますが合わせてみると……いいじゃないか♪ 前照灯あたりに合わせると盾みたいです。盾、ベイル、シールド……盾を持ったら、そりゃアナタ、槍か長剣でしょう♪ 即座に思いついたのがグローサーフントのエクサイマー。思った通り、アルタイルのがサイズ、デザイン的にもピッタリ♪
「キタキタ~!! ドン・キホーテ!!」
最小限の手間で大きな変化、効果が得られるのがミキシングビルド、いや、模型趣味至福のひと時ですよ♪ そんなわけでホントにあっという間、それこそ半日で塗装前まで進行できました。
「二機いたら量産されてる感、たくさんいるって感じ、するでしょ?」
これは『Ma.K.』、そして『SF3D』の鉄則、いや不文律? 座右の銘!? まぁ、とっても大事なやり口、考え方ですね。横山宏、名言集傑作のひとつです。
単身風車に立ち向かうドン・キホーテの見た目をイメージして組み上げましたが、AI知能のシュトラール兵器となるとたくさんいるほうがなんかおもしろいでしょう。なので2機♪♪ ホラ、途端に不思議な絵が生まれ、会話が聴こえて来ましたよ。
「な、なんか物音したぞ、お前見てこいよ」
「嫌だいやだ、怖いヤン、お前こそGo Ahead! 勇者よ!!」とかww
■派手な色を大面積に使う
可愛いのが出来たので塗装もノリノリに♪ 月刊ホビージャパン2021年8月号のキャメルで黄橙色をボディ下面に思いっきり塗ってみたんですが、思いのほか印象が良く、センセたちの反応もよかったので気を良くしまして。渋いツートンか3トーンで塗ってから認識帯やナンバー、部隊章などをビビッドめの色で締めるというのが『Ma.K.』的な常套手段。大面積で派手な色を塗るっていうのは結構勇気がいることだったのです。
試すって大事ですねぇ。今回もオレンジをびゃびゃ~っと塗りましたが、いい感じでしょ♪♪ 気持ち良かですぅ~~♪♪ 兵器で同一部隊としたら2機同じ色で塗るのが定石なんですが、やっぱり実験してみたくなりました。
淡・中間・濃のグレースケールを3色作り、淡いのと中間で38番、濃いのと中間で39番をそれぞれスプリンターで塗り分けました。印象は近いけど違う個体。この手口もなかなかでしょ♪ 盾の部隊章はレインボウエッグの1/12クレーテ用を流用♪ 新鮮でしょ♪
ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット ルナガンス使用
シュトラール軍 月面高機動偵察
ドン・キホーテ
製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、堤啓介
シュトラール軍 月面高機動偵察機
ルナガンス
人生初の(オリジナルのことね)ルナガンスを作ったのは1985年の『SF3D』連載3周年の回だったんだね。読者の半分くらいの人が生まれてなかったかも。そこから15年後に初代マシーネン番頭の関口君原型のレジンパーツ入りキットがモデルカステンから出ました。さらに十数年経って平田君原型のプラキットがウェーブから発売され今回は8年ぶりのそのキットの再販となったわけです。誕生から36年、「人」にも「ルナガンス」にも歴史ありだね。このプラキットは組みやすさを考えて原型を作ってくれたのがホントありがたいなあ。
最初のルナガンスの塗装が白の単色なのは『SF3D』連載時に毎月新作のものを作っていて塗装に時間が取れなかったからってのが本当の理由なんだけど、今はよくできたキットと潤沢な時間があるから月面のグレー迷彩にこだわってみました。毎度のことながら第二次大戦末期のドイツ空軍の機体を参考にします。傭兵軍のグラジエーターもこんなグレーの迷彩で塗装したけど、実際の戦争でも大戦末期にはドイツとイギリスの使ってる色が近似色になっていきます。ドイツ軍の大戦末期の塗装はイギリス軍の初期の塗装に近くなって、イギリス軍のほうは逆にドイツ軍の配色にそっくりになっていったんですよ。お互いの色が迷彩効果あるって感じて入れ替わっていく感じなのがおもしろいね。
今回のキットのデカールにはブルーやグリーンの番号が入ってます。特にグリーンはこれまでシュトラールの兵器にはあまりなかった色だけど、実は中学生の頃からTa152に呪いをかけられてるのでTa152に使われているグリーンの番号も入れてもらいました。
ルナガンスがなぜ武装のない偵察機かというと、最初に攻撃機のフクスとペアで登場させたからなのです。今後は月面クラッフェンフォーゲルのニンジャとペアで行動させるのもいいし、ニンジャ型のシーカーやシュレックを付けた武装ルナガンスをプラキットで出してもらえると嬉しいです。
ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット
シュトラール軍 月面高機動偵察機
ルナガンス
製作・文/横山宏
ルナガンス
●発売元/ウェーブ●7480円、発売中●1/20、約17㎝●プラキット
[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.102
シュトラール軍 月面高機動偵察機 ルナガンス
文/KATOOO(レインボウエッグ)
ルナガンスはシュトラール軍の月面用無人偵察機です。傭兵軍に月面兵器の配備で後れを取ったシュトラール軍は宇宙用スーツと並行して無人偵察機の運用も検討。地上兵器であるクレーテの脚部とノイスポッター頭部を用い酸化剤タンクや推進ノズルなどを装備した非武装の月面偵察機を急造し、そのフォルムからガンス(=ガチョウ)と命名されます。
初出は『SF3D』連載3周年となった月刊ホビージャパン1985年5月号。ペアを組む月面高速攻撃機フクスとともに登場しました。ノイスポッター+クレーテという見覚えのあるメカが合体した愛らしいフォルムで当時から人気の高い機体でした。
オリジナルモデルはほぼ日東のプラキット(クレーテ、ノイスポッター、フレーダーマウス)のパーツの組み合わせでできています。横山先生も「連載3周年の頃はスーツだけじゃなく、いろんなメカがプラキット化されてたから、それらを組み合わせて別のメカを作った一発目がガンスなんですね。やっと材料が揃って準備が整ったぞっていう感じで、ガンスができたことは自分の中でもすごくよかったことなんですよ」と述懐しています。
1985年の初出時から15年後の2000年にモデルカステンから日東のクレーテやノイスポッターのランナーにレジンパーツを同梱したガンスが発売されました。オリジナルのガンスは各パーツが絶妙なバランスで点付けされているところもあり、非常に難易度の高い工作によってできています。モデルカステンのキットもオリジナルに倣った手法で作られ、上級者向けの非常に手ごたえのあるキットでした。
2003年に武装型の陸戦用のガンスが発表されて2004年にプラキット化されたため、「ガンス」という名称は陸戦ガンス、月面ガンスと区別されるようになります。2013年にウェーブからオールプラのキットが発売された際、月面ガンスは横山先生によって「ルナガンス」と新たに命名されます。陸戦ガンスが合計3回再販されているのに対し、ルナガンスは2021年7月に8年ぶりに初めて再販されました。初出から15年でレジンパーツ入りキットが発売、そこから13年経ってプラキット化され、さらに8年後に再販されるというなかなかのレアアイテムぶり。そんなルナガンスですが、月刊ホビージャパン2021年11月号ではMAX渡辺さんのドン・キホーテを見ることができ、横山先生の武装ルナガンス構想もわかるなど、今後の新たな展開に否が応でも期待してしまいますね。
部隊マークのワッペンが付いた1/35ナッツロッカー発売
新デザインによる部隊マークの特製ワッペンが付属する1/35ナッツロッカーがハセガワから限定発売される。キットには新規塗装カードとシルクスクリーン印刷による新規デカール、縦約10cmの刺繍タイプのワッペンが付属する。
P.K.H.103 ナッツロッカー“ヴァルトガイスト”
●発売元/ハセガワ●7700円、11月下旬予定●1/35、約30cm●プラキット
© Kow Yokoyama 2021