HOME記事スケールモデル【ROAD to RALLY JAPAN】introduction 7 スバル インプレッサ WRX Sti Gr.N 2005 Team ARAI

【ROAD to RALLY JAPAN】introduction 7 
スバル インプレッサ WRX Sti Gr.N 2005 Team ARAI

2021.10.05

ROAD to RALLY JAPAN 月刊ホビージャパン2021年11月号(9月25日発売)

ラリーロゴ

 今回のスポットは日本人ドライバー、新井敏弘氏です。日本人初の4輪のワールドチャンピオン、そして、それを決めた2005年のラリージャパンを選んでみました。また、個人的には私と同じ市在住ということもポイントですね(笑)。そして、約1年間続いたこの連載もラリージャパン中止に伴い残念ながら次回で最終回。ちょっと寂しいけど皆さんお楽しみに!(小池徹弥)

スバルインプレッサ模型

SUBARU IMPREZA STi Gr.N 2005 Team ARAI

 2005年のラリージャパンにエントリーした新井敏弘選手の駆るスバル インプレッサ WRX STi を製作。フジミ模型の市販車バージョンをベースに、年式の近い複数のタミヤ製インプレッサのパーツを組み込んだ労作である。

スバル インプレッサ WRX STi
フォグランプカバー
▲フォグランプカバーは取り付け部を形状修正。また、各部のフェンダーがボリューム不足に感じたのでパテを盛りエッジを強調した
ルーフベンチレーター
▲ルーフベンチレーターはフラップ部品をプラ板で自作し、開閉クランクをインセクトピン#1で追加、0.3mm真鍮線で開口した屋根へ接続している
アンテナ
▲アンテナはタミヤ製キットのパーツを利用し、ロッドを0.3mmの洋白線に交換した
スバル インプレッサ WRX STi後ろ
▲自作では再現の難しい蛍光カラーのマーキングが最後の難所だったが、加藤雅彦氏からSHUNKO MODELS製デカールを譲り受けたことで、マーキングも忠実に再現することができた
スバル インプレッサ WRX STi
ロールバーはWR仕様のタミヤ製キットから流用
▲ロールバーはWR仕様のタミヤ製キットから流用。さすがにそのままでは使用できないので、干渉部分をカットするなどの調整が必要だ
アンダーガード類は0.3mmプラ板による自作
▲アンダーガード類は0.3mmプラ板による自作。エンジンガードへの接続はインセクトピンを使用している
スバル インプレッサ WRX STi横
▲前後の足周りはそれぞれ下方に3.5mm延長し、車高をアップ。ウレタンシートを切り出して自作したマッドフラップも取り付けている

 こんにちは! 今回のお題目は我が国を代表するラリースト“新井敏弘選手”が2005年の“Rally Japan”を総合12位で走り抜けた“SUBARU IMPREZA WRX STi 31号車”であります。
 2002年より始まった、Gr.N車両による世界選手権“PWRC”、新井選手は初年度より参戦を開始します。今回の作例車がエントリーした2005年の“Rally Japan”はWRCとPWRCのダブルタイトルが掛かった1戦で、新井選手はライバルの“奴田原選手”を抑えGr.Nクラストップでゴール、その結果残り1戦を待たずにPWRCのチャンピオンに輝きます。これは同時に日本人ドライバーとして初のFIA世界選手権のチャンピオンが誕生した瞬間でもありました。
 ただし本作例の仕様はキット化されておらず、今回はフジミ模型さんの市販車キットをベースに、タミヤさんのWRカー部品を組み込み、別売デカールを貼り付けるという方法で製作してみました。

■ボディ
 製作にあたりまず一体モールドされている“ドアバイザー”を除去、次に屋根へ“ルーフベンチレーター”を追加します。
 また本作例車モデルはリアに軽量化のために“キクラゲ型スポイラー”が装着されており、キット付属の“ウイング”が使用できないので、他キット部品を用意し改造して取り付けています。ミラーはWRカーのモノを移植しました。

■シャシー/コクピット
 キットの足周りは付属の扁平タイヤと相まって、ベタベタの“ターマック仕様”~そこでFアームやサス・リアデフ等の足周りを改造し3mmほど車高を上昇、さらに他キットより拝借したラリータイヤを組み込んで“グラベル仕様”に。競技車をアピールする排気管は実車写真を参考にタイコ部分を変更しています。

■塗装
 インプレッサ定番のベース色“ソニックブルー”は、タミヤさんの“TS50ブルーマイカ”を使用、そして今回の目玉、新井選手車のマーキング類は“SHUNKO MODELS”さんのデカールを使用し再現しました。

スバル インプレッサ WRX STi

フジミ模型 1/24スケール プラスチックキット スバル インプレッサ WRX Sti 2003 V-Limired 改造

スバル インプレッサ WRX Sti Gr.N 2005 Team ARAI

製作・文/井上賢一

スバル インプレッサ WRX STi/2003 V-Limited
●発売元/フジミ模型●2860円、発売中●1/24、約17.5cm●プラキット


ラリーロゴ

Commentary on the RALLY Vol. 007

文/加藤雅彦

WRCを沸かせた日本人選手のマシンを作る!

 非常に残念ではありますが2021年のラリージャパン中止が正式に発表されました。ここ数ヵ月の日本の状況を考えると仕方ないですかね。せっかくのラリージャパンですので何の心配も無く楽しみたいですし。2022年の開催予定リストにもしっかりラリージャパンは載っていますから、22年こそ無事に開催されることを信じて模型を作りながら待つことにしたいと思います。
 さて、気を取り直しまして。今回の作例では新井敏弘選手のマシンにスポットを当てましたが、これまでWRCには多くの日本人選手が出走しています。プライベーターからワークスドライバーまで参戦のかたちはさまざまですが、ここでは模型誌らしく参戦車両がプラモデルとして発売されている選手を中心に紹介させていただきます。
 まずはミツビシ・ギャランVR-4で1991年、1992年とWRCコートジボワールラリーを連覇している篠塚建次郎選手。91年のマシンはハセガワからキットが、またスタジオ27からは92年仕様のデカールが発売されています。メイクス選手権がかかっていなかったとはいえWRCのトップカテゴリーで優勝した日本人は今のところ篠塚選手だけです。このコラムの5回目のときにも書きましたがサファリラリーでも好成績を残しています。フジミから1/20スケールで1976年サファリ仕様の初代ランサーも発売されていましたね。

ミツビシ・ギャランVR-4
▲コートジボワールラリーはサファリ同様ハードでマシンも重装備。ハセガワのキットはその辺りもしっかり再現している。2020年8月に再販売されたので現在でも比較的入手しやすいキットと言えるだろう


 1993年のサファリラリーでトヨタは1-2-3-4フィニッシュを達成しましたが、このとき4位入賞を果たしたのが岩瀬晏弘選手です。当時サファリラリーでは日本人史上最高位の成績でした。こちらもハセガワから限定品でしたがトヨタ セリカ ターボ4WD“ラリー チームイワセ”としてキットが発売されました。WRCにはサファリを中心に参戦、またオートスポーツイワセの代表であり実車のメンテナンスやチューニングでお世話になった方もいらっしゃるのでは。

トヨタ セリカ ターボ4WD
▲ケニアを拠点にラリー活動を続けてきた岩瀬晏弘氏は“アフリカに井戸を”のキャンペーンを展開。趣旨に賛同したハセガワはこの93年サファリ岩瀬車のキットの売り上げの一部をキャンペーンに協賛した


 そして新井敏弘選手が駆ったマシンもプラモデルが発売されています。2000年のカタルニアでのスバル インプレッサWRC新井仕様がタミヤ1/24スポーツカーシリーズNo.227としてラインナップされました。また同シリーズNo.250のスバル インプレッサWRC2001ラリー・オブ・グレートブリテンにも新井選手仕様のマシンが作れるようにデカールが用意されています。さらにタミヤ製2001年ターマック仕様のインプレッサのパーツがセットされたイタレリのスバル・レーシングチーム・トランスポーターのキットには同年のツール・ド・コルス仕様のデカールが入っていて、新井選手のマシンに仕上げることもできます。

スバル インプレッサWRC新井仕様
▲カタルニアのターマックを疾走する写真を使ったボックスが印象的なタミヤのキット。個性的なマーキングが施されたマシンはぜひともコレクションに加えたい1台だが生産休止中なのがなんとも残念
2000年ラリー・オブ・グレートブリテンのスタート地点カーディフにて
▲2000年ラリー・オブ・グレートブリテンのスタート地点カーディフにて。グラベル仕様になっているがナンバープレートからタミヤがキット化したカタルニアと同一車両ということがわかる


 新井選手と言えばプロダクションカー世界ラリー選手権(以下PCWRC)の2005年と2007年のチャンピオンであり、日本人初のFIA公認のワールドチャンピオンでもあります。そう考えるとPCWRC参戦マシンも作りたくなるわけですが、残念ながらキットとしての発売はされていないので机上に再現するためには今回の作例のように追加工作が必要です。サードパーティから各種別売デカールが発売されているのは新井選手の人気の高さゆえだと思いますが、メーカーさんからキットを発売してほしいところですよね、これからは難しいかもしれないけど。アジアパシフィックラリー選手権や全日本ラリー選手権でも活躍されているのでそのマシンたちもキット化して欲しいところ。そう言えば2011年ラリー北海道で優勝したスバル インプレッサWRX STiはタミヤから1/10RCカーが発売されていましたね。
 まあキット化してほしいマシンを挙げ出したら勝田貴元選手のヤリスWRCを筆頭にキリが無いです。勝田選手のお父さん、勝田範彦選手が2021年全日本選手権でドライブしているGRヤリスGR4 Rallyも一緒に並べたくなるし。そうそうWRC第8戦ベルギーではクラッシュを喫してしまった勝田貴元選手ですが、コ・ドライバーともに大きな怪我が無かったのが何よりです。より速く、より強くなるための通過儀礼だったと後に言えるような経験になれば悪いことばかりでもないのでは。だいたいどんなトップドライバーだってなかなかのクラッシュは経験していますからね。近い将来、素晴らしいラリーを見せてくれることでしょう。
 最後に前回の訂正を。写真でベルナール・ダルニッシュが駆ったストラトスのキットを紹介しましたが、その説明文をモンテカルロ仕様しか作れないように書いてしまいました。ハセガワから発売されたこのキットには1979年のツール・ド・コルス仕様も選んで作れるようにデカールが用意されています。ここにお詫びして訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。また月刊ホビージャパン2021年11月号が発売されている頃には同じくハセガワから「1981 ツール・ド・コルス ラリー ウィナー」として新たにダルニッシュのストラトスが発売されているはずですのでぜひチェックしてみてください。

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