10月4日よりスタートとなるSUNRISE BEYOND×BANDAISPIRITSによる新作ロボットアニメーション『境界戦機』をいち早く楽しむ特別付録プラキット「1/144 メイレスケンブ」。ストレートに組み立てるだけでも充分カッコいいが、本キットをより楽しんでいただくために4種の製作法を紹介。
STEP-2は成型色を活かした製作法。2色の成型色のうち、白は塗装せずに完成させる。パーツの整形は STEP-1の全塗装と似てくるが、成型色を活かした製作法だからこそのワンポイントテクニックにご注目いただきたい。
主に使用するツール
基本ツール
アルティメットニッパー(ゴッドハンド)、スピンブレード 1mm(ゴッドハンド)、神ヤス! 240番、400番、800番(ゴッドハンド)
自作ツール
アルミプレートに紙ヤスリを貼ったもの、ペンサンダーの先端アーバーを真似て作ったもの。どちらも紙ヤスリを両面テープで貼っているため、貼り替えや番手の変更が手軽にできる
①パーツの切り出しとゲート処理
▲白いパーツでも白化はするので、成型色仕上げをするなら薄刃ニッパーを使ったほうがよいでしょう。パーツから少し離れたところでゲートを切ります
▲パーツに平行に刃を当ててゲートを切り離します。このままでもよいですが、ゲート跡をヤスリ掛けするとさらにきれいになります
②パーティングライン
▲肩パーツ上面のパーティングラインが見えなくなるまでヤスリ掛けを行います
③面出し
▲各面を丁寧にヤスリ掛けすることで完成度が高まります。ヤスリは適度に力が入り、小さなパーツでもヤスリ掛けがしやすいものを選ぶとよいです。写真は最近気に入っている自作ヤスリです
④モールド彫り直し
▲アンクルアーマーの丸モールドが成型の都合でやや甘いのでスピンブレードで彫り直してシャキッとさせます
⑤アンテナのシャープ化
▲どんなスケールでもロボットのアンテナをシャープにしてあげると見映えがよくなります。まずはシアノンなどの瞬間接着パテを盛り付けます
▲硬化後にヤスリ掛けを行い、形状を整えながらシャープに整形します
⑥ランナータグの活用
▲上腕内側の肉抜き穴をふさぐために、ランナータグを使ったプラ板を作ります。白いパーツは成型色のままなので、ランナータグを使えば色をそろえることができます
▲不要な箇所を切り落として、表面をヤスリ掛けして平らにできたら完成です
▲肉抜き穴の箇所にマスキングテープを貼り、穴の輪郭に沿ってペンでなぞります
▲マスキングテープをランナータグで作ったプラ板に貼り、線に沿って切ります。このとき、少し線よりも外側、つまり少し大きめに切り、ヤスリで削りながらピッタリのサイズに合わせていきます
▲上腕内側は簡易的にモールドを追加してふさぎました。手のひらの肉抜きも同様にランナータグで作ったプラ板を現物合わせで切り出してふさぎました
⑦肩モールド彫り直し
▲肩の凸モールドは設定画では凹モールドなので、彫刻刀代わりにスピンブレードを使って彫り直します
▲左がキットのまま、右が彫り直したものです
⑧筆塗り
▲キットが小さく、マスキングしてエアブラシ塗装では「お手軽簡単フィニッシュ」ではなくなってしまいそうだったので、赤一色のパーツのみエアブラシで塗装し、それ以外はすべて筆塗りで塗装しました
▲塗料がはみ出したところはデザインナイフなどで削ってリカバリーします。機体のメインカラーの白色を成型色で仕上げるメリットのひとつと言えます
▲使用した塗料一覧です
⑨頭部塗り分け
▲頭部は黄色→赤→グレーの順に塗り、カメラ部のグリーンは最後にエナメル塗料で塗り分けます
▲塗料はリターダーで薄めてあるため、何度か重ね塗りをして発色させます。焦らずじっくり塗りましょう。もし、はみ出してしまっても、あとから修正すればOKです
▲黄色の次は赤を塗ります。赤で隠せそうな黄色のはみ出しがあれば、リタッチしておきます
▲赤の次はグレーを塗ります。グレーで隠せそうな黄色や赤のはみ出しがあれば、同様にリタッチしておきます
▲小さくて分かりづらいですが、前頭部の赤が白側に少しはみ出してしまいました
▲白は成型色なので、デザインナイフで赤のはみ出し箇所を削ってラインを整えます
▲カメラ部の塗り分けにはエナメル塗料を使用しました
▲はみ出してもエナメル溶剤やライターオイルを染み込ませた綿棒で拭き取ればきれいになるので問題ありません
▲塗り分け完了です。なかなかのイケメンになりました。ここからスミ入れを行うことで、さらにキリッと引き締まってカッコよくなります
⑩トップコート
▲基本塗装が終わったら光沢トップコートを吹きます。スミ入れをしやすくするためと、スミ入れ塗料(エナメル塗料)によるパーツ割れを防ぐためです
▲今回トップコートは光沢、ツヤ消しともに缶スプレーのプレミアムトップコートを使用しました。たくさん吹き付けてしまわないように、一度紙コップなどに使いたい量だけ噴射して、溶剤を適量加えて薄めたものをエアブラシで吹き付けています
成型色仕上げでここまでできる!
成型色を活かした製作法による1/144メイレスケンブが完成。基本的なパーツの整形やモールドをくっきりさせる加工はSTEP-1の全塗装製作とほぼ変わらないが、全塗装をしないぶん大幅に手間がはぶける。全塗装は敷居が高い、もっとお手軽に済ませたいのであればこちらの方法で完成させてみてはいかがだろうか。
▲白いパーツは塗装していないが、最終的にトップコートを吹くことで全塗装したような質感になる
▲キット素組み(左)との比較。ランナータグを使用した上腕肉抜きフタ工作の効果をご確認いただきたい。同じ成型色なので塗装して色を合わせるといった作業が発生しないのでオススメの工作だ
■はじめに
月刊ホビージャパン2021年11月号付録の「1/144メイレスケンブ」を、成型色を活かした簡単フィニッシュで仕上げました。組み立てると全高約7cmでとても小さなキットですが、プロポーションやディテールは申し分ないです。このあと発売が控えているHGシリーズと並べて(比べて)楽しむためにも、まずはこの付録キットを組んでみてはいかがでしょうか。
■塗装・仕上げ
赤一色で塗れるところはエアブラシを使いましたが、それ以外は塗り分けが必要な箇所も含めて筆塗りしました。今回はラッカー塗料を筆塗りするので、リターダーを混ぜて筆跡が残らないように気を付けます。塗料を“塗る”というよりは“乗せる”感じがよいと思います。また、成型色の白を活かすことで、塗装がはみ出してもデザインナイフで削ってリカバリーできるので、マスキングしないでフリーハンドで塗りました。
白=未塗装(成型色のまま)
赤=ローズブライトレッド
黄1=キアライエロー
黄2=蛍光イエロー
灰=ニュートラルグレー
緑=メタリックブルー+ライトグリーン+ホワイト
基本塗装が終わったら、いったんプレミアムトップコート光沢でコートし、タミヤのスミ入れ塗料でスミ入れ後、プレミアムトップコートつや消しを吹いて完成です。
■おわりに
放送開始まで秒読みに入った『境界戦機』。第1話の冒頭スペシャル映像が視聴できますが続きを早く見たいです。今回はきれいめ仕上げとしましたが、OP主題歌ではダメージでボロボロのケンブも描かれていて、そっちもカッコイイ! と思いました。
ホビージャパン 1/144スケール プラスチックキット
メイレスケンブ
製作・解説/sannoji
🄫2021 SUNRISE BEYOND INC.