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【1/144メイレスケンブ製作指南】STEP-1 全塗装で完成させる【哀川和彦】

2021.10.02

STEP-1 全塗装で完成させる/メイレスケンブ【ホビージャパン 1/144】 月刊ホビージャパン2021年11月号(9月25日発売)

 10月4日よりスタートとなるSUNRISE BEYOND×BANDAISPIRITSによる新作ロボットアニメーション『境界戦機』をいち早く楽しむ特別付録プラキット「1/144 メイレスケンブ」。ストレートに組み立てるだけでも充分カッコいいが、本キットをより楽しんでいただくために4種の製作法を紹介。

 STEP-1は全塗装製作法。白、赤の2色で成型されている部分を塗装しつつ、それ以外のカラーにも彩色を施していく。また。全塗装製作時にやっておくとより完成度を高めることができるパーツの整形やワンポイント工作も合わせて解説をしていこう。

1/144ケンブ塗装顔アップ

主に使用するツール・マテリアル

工作ツール

工作ツール

匠TOOLS極薄ニッパー(グッドスマイルカンパニー)/モデラーズナイフ(タミヤ)、Mr.ラインチゼル用替刃 廻し彫り用(GSIクレオス)、精密ピンバイスD(タミヤ)/BMCタガネ(スジボリ堂)/フィニッシングペーパー400番、600番、800番(タミヤ)/調色スティック(タミヤ)/瞬間接着剤3000ゴールド ゼリー状(セメダイン)

塗装ツール

塗装ツール

プロコンBOY FWAプラチナ0.2 ダブルアクション(GSIクレオス)/マスキングテープ(タミヤ、アイズプロジェクト)/ピンセット(メーカー不明)/モデリングブラシHG 面相筆 超極細(タミヤ)/モデルクリーニングブラシ(静電気防止タイプ)(タミヤ)/クラフト綿棒各種(タミヤ)/エナメル塗料 ダークグレイ(タミヤ)/水性ホビーカラー つや消しクリアー(GSIクレオス)

①パーツの切り出しとゲート処理

パーツ切り出し
▲パーツを切り出すとき1回で切り出すとパーツを傷つけてしまうことがあるので2回に分けて切り出します。まずゲートの根元2~3mmくらい外側を切り出します
ゲート残し
残りゲート切り

▲ゲートを2~3mm残した状態です。次にゲートの根元にニッパーを水平に当てて切り出します。このときデザインナイフを使用しても問題ありません。模型製作は答えがひとつではないことが多々あるので自分にあったやり方を見つけてください

パーツ拡大
▲写真は分かりやすいように拡大したものです。片刃ニッパーは切り方によってゲート部が少し残ってしまいます。これはまな板刃のほうが切刃より少し出っ張っているためです
紙ヤスリ整形
▲これを紙ヤスリの400→600→800番とヤスって整形していきます。写真は調色スティックの先端に紙ヤスリを貼ったものです
ゲート跡処理後
▲ゲート跡がきれいに消えて面も平らになりました。今回のような小さいキットはゲート跡が目立ちやすいので丁寧に処理することでさらに見映えがよくなります

②ヒケの処理をしよう

ヒケ確認
▲一見すると平らに見える箇所でも窪んでいたりすることがあります。これは成型の都合でできるヒケというものです。写真は分かりやすいようにサーフェイサーを吹いた後に軽くヤスった状態です。中央の左側にサフが残っているのが確認できます
ヒケ処理
▲今回は浅いヒケなので周りと同じ色味になるまでヤスって平らな状態に仕上げていきます。状態を見ながらヤスリの番手を上げていき、周辺と同じ色になるまでヤスっていきます。深いヒケの場合は瞬間接着パテなどを盛って処理するとよいでしょう

③パーティングラインを消してみよう

ポーティングライン
▲プラモデルは金型で成型されているため金型の分割ラインに沿って段差や凸部ができてしまいます。これはパーティングラインと呼ばれるもので、写真は分かりやすく赤で着色しています
パーティングライン消しヤスリ整形
パーティングラインデザインナイフ整形

▲今回はそこそこの段差だったのでヤスリで整形しました。場所によってはデザインナイフの刃を少し立ててカンナ掛けの要領で処理することもできます。状況によってやり方を使い分けるとよいでしょう

パーティングライン処理後
▲パーティングラインが消えた状態です。地味な作業ですが処理すると完成度が上がります。最近のプラモデルでは目立たないところにパーティングラインがくるように設計されていることが多いので見逃さないようにチェックしましょう

④モールドを彫り直してみよう

モールド確認
▲キットは全身各所にパネルラインなどのモールドが施されています。中には抜きの関係でモールドが浅い箇所もあり、塗装すると塗膜の厚みでさらに浅くなってしまいます。そのままではスミ入れがしづらくなるため彫り直しを行います。モールドが見づらいときは軽くグレーサフを吹くと見やすくなります
ピンバイス彫り
ケガキ針彫り

▲丸モールドはピンバイスで、曲線のパネルラインはケガキ針で彫り直しました。なお曲線部に直線メインのスジ彫り工具を使用すると刃が欠けることがあるので場所によって使い分けましょう

モールド彫り直し
▲モールドを彫り直した状態です。見た目では分かりませんがスミ入れをすると一目瞭然です。スゥーとダレることなくスミが流れていくようになり、何度もスミを入れたり拭き取ることもなくなり効率がよくなります

⑤合わせ目を消してみよう

合わせ目処理前
▲キットは一部に合わせ目がありますが、設定画にはないものなので消して処理します。写真は分かりやすく赤で着色しています。写真の胴体、および足首に該当箇所があります
瞬着使用
瞬着盛り付け後

▲今回は合わせ目消しを行う箇所と行わない箇所が同じパーツ内にあるので、不要な箇所に接着剤が流れないようにゼリー状の瞬間接着剤を使います。接着したいパーツ断面に爪楊枝で取った接着剤を、パーツ取り付け時に少しはみ出るくらいに盛っていきます。接着剤が固まったら400~800番のヤスリで整形します。部分的に合わせ目が残っていたら、再度瞬間接着剤を盛り付けてヤスリます

合わせ目消し後
▲ヤスリ掛けが終わり中央にあった合わせ目が消えました。瞬間接着剤の跡が見えますがこれは塗装すれば消えます
合わせ目処理後
▲今回は合わせ目を消しましたが、段落ちモールドとして処理したり、自分が気にならなければそのままでもOKです。ちなみに腹部の奥まった合わせ目は違和感がないのでそのままにしています

⑥パーツを洗浄しよう

パーツ洗浄
▲工作が終わったらすぐ塗装と言いたいところですが、まずパーツに付いた削りカスや手から付着した油分などを洗浄していきます。洗面器など適当な容器に水と食器洗い用の中性洗剤を入れます
擦り洗い
▲後は容器に入れたパーツを歯ブラシで擦り洗いしていきます。特にパネルラインの溝や凹モールドなどは削りカスが入り込んでいるので入念に洗いましょう
すすぎ洗い
▲洗浄が終わったら新しい水に入れ替えてすすぎ洗いをします(ザルがあると便利です)。水を捨てる際は小さいパーツを紛失しやすいので注意しましょう
水分拭き取り
▲すすぎ洗いが終わったらキッチンペーパーでパーツに付着した水分を拭き取っていきます。濡れたまま自然乾燥させるとパーツに水跡が残るので必ず拭き取るようにしましょう

⑦マスキングして塗装しよう

マステ前
▲ひとつのパーツの中に複数の色が存在するパーツがあります。この場合は塗装する以外の箇所をマスキングテープなどで覆ってから塗装していきます。写真の腰部リアアーマーパーツにマスキングテープを貼って塗り分けていきます
縁に貼り付け
縁貼り付け後

▲まず黄色に塗る箇所以外をマスキングします。ピンセットを使い、テープがずれないように縁に貼り付けていきます。テープ同士が重なるところは浮きが出ないように入念に貼り付けます

全体マステ
▲思わぬところに塗料が付着することもあるので、必ずパーツ全体をマスキングするようにしましょう。塗装はエアブラシを使用します
塗装後乾燥
塗装後

▲塗装が終わったら塗料が乾いていることを確認してテープを剥がしていきます。きれいにマスキング塗装ができました

他色塗装後
▲同様に赤とグレーも塗り分けました。マスキング塗装で大事なことは塗装する最適な順番を導き出すことです。順番を間違えるとマスキングがしづらくなるなど苦労するのでじっくり考えてから作業に入りましょう

⑧細部は筆で塗り分けよう

筆塗り前
▲先ほどはマスキングで塗装しましたが、形状が入り組んでいるとマスキング塗装が難しい箇所もあります。こういうときはラッカー塗料の上から塗っても塗料を侵すことのないエナメル塗料を使用して筆塗りをしていきます
筆塗り
▲塗料1に対してうすめ液0.5~0.7くらい(ちょっと濃いかなくらいの濃度)に希釈した塗料を面相筆に含ませて塗っていきます。何度も塗り重ねるとムラが出てしまうので一度で塗りきるくらいの意識で塗り、乾いたら塗りきれていなかった箇所を塗り直すときれいに仕上がります
はみ出し拭き取り
筆塗り後

▲うっかり塗料がはみ出してしまってもエナメル塗料は拭き取ることができます。塗料が乾いたら模型用綿棒に少量のエナメル塗料用うすめ液を含ませて拭き取っていきます。汚れた綿棒を使い続けると色がパーツに移ってしまうので、こまめに新しいものに交換しましょう。このように細かい箇所を塗り分けることで出来映えがよくなっていくのでぜひお試しください

⑨スミ入れをしてみよう

スミ入れ前
▲塗り分けによってより設定画のイメージに近づきました。このキットは小サイズモデルながらディテールがしっかり入っているのでエナメル塗料でスミ入れをしていきます。エナメル塗料1に対してうすめ液2くらいで希釈して面相筆でスミ入れしていきます
スミ入れ中
▲筆の穂先をモールドに軽く当てると、先に彫り直していたモールドに塗料がスムーズに流れていきます。スムーズに流れないときは再度濃度調整をしましょう
周辺塗料拭き取り
▲スミ入れをするとどうしても周辺に塗料が付着してしまいます。塗料が乾いたら綿棒にエナメル塗料用うすめ液を少し付けて拭き取っていきます
スミ入れ後
▲スミ入れを行ったことで各部モールドの形状がよりくっきり見えるようになります。今回はオーソドックスなグレーを使用しましたが、エナメル塗料は調色もできるので自分好みの色を作るのもよいでしょう

⑩トップコートで仕上げよう

トップコート吹く準備
▲全体のツヤを整えるためのトップコートを吹く準備を行います。キットを組み上げた状態では持ち手を付ける箇所がないので、腰部リアアーマーを外してそれぞれ持ち手に固定しました
ツヤ残ししたいところマステ
▲胸部のシリンダーはメタリックのツヤを残したかったのでマスキングテープを貼ります。この辺りは好みなので均一に仕上げても問題はありません
ホコリなど払落し
▲トップコートを吹く前に、まずはパーツに付着したホコリなどを静電気防止ブラシで払い落とします。これをやっておかないとホコリなどがパーツに付着したまま塗装してしまうので入念にチェックしましょう
トップコート
▲トップコートは瓶のものをエアブラシで吹き付けます。ツヤの種類は光沢・半光沢・ツヤ消しとあります。今回は水性のツヤ消しを選択しました。常に手を動かしながら均一に溶剤が付着するように2~3回吹きつけ、1時間ほど乾燥させます。エアブラシがない場合はスプレー缶タイプも販売されているのでお試しください

全塗装製作完成!!

 全塗装製作による1/144メイレスケンブが完成。各部を丁寧に塗り分けたことでストレートに組んだ状態よりも圧倒的に設定画のイメージに近づいている。約7cmという小型モデルなのでここまで塗り分けるのはなかなか大変だが、より完成度を高めたいということであればぜひ本記事を参考にチャレンジしていただきたい。

全塗装1/144ケンブ
全塗装1/144ケンブ
全塗装1/144ケンブ後ろ
素組み比較後ろ
素組み比較

▲キット素組み(左)との比較。ゲート跡やパーティングラインを丁寧に処理して各面を整形し、各部モールドを彫り直したことで塗料やスミ入れがきれいにくっきり載っているのが確認できる。また、上腕内側の肉抜きや太モモ上部、アンクルアーマー内側などはフレームと同色で塗りつぶすことで目立たなくしている

素組
全塗装

▲おそらく一番の最難関になるであろう頭部の塗り分け。ベースの白、首やフレームのグレー、アンテナのイエロー、額のレッド、センサーのグリーンという5色構成になっている。奥まったところまたは薄い色から順に塗っていくのがセオリーだが、自身のやりやすい方法を模索してもらいたい

■久々のプラキット付録♪
 全高約7cmの手のひらサイズとなっておりますが、首・肩・足首はボールジョイント式でポージングもできるようになっています! またこのサイズでもディテールはしっかり入っているので、あとは設定画に合わせて塗り分けていくだけです。

■ポイントは
 1パーツの中に複数の塗り分けが必要になりますが、塗装する順番を整理して地道に1色ずつ集中してマスキング&筆塗り塗装していきましょう。普段からこのサイズのキットを製作することは少ないと思いますが、完成させたときには間違いなく製作スキルがアップできるキットなのでぜひ製作してみてください!

■塗装
白=MSホワイト
赤=ブライトレッド
黄=ゴールデンイエロー
灰=ジャーマングレー
緑=エメラルドグリーン

1/144ケンブ

ホビージャパン 1/144スケール プラスチックキット

メイレスケンブ

製作・解説/哀川和彦

🄫2021 SUNRISE BEYOND INC.

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哀川和彦(アイカワカズヒコ)

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