HOME記事スケールモデル退役後も大人気「F-4EJ ファントム戦闘機」とは? 海軍機を改良した特別仕様機である和製ファントムをファインモールドの1/72キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

退役後も大人気「F-4EJ ファントム戦闘機」とは? 海軍機を改良した特別仕様機である和製ファントムをファインモールドの1/72キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

2026.03.18

いまさら聞けないすごいヤツ‼/F-4EJ●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2026年4月号(2月25日発売)

いまさら聞けないすごいヤツ!!

 F-4EJファントム戦闘機 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は退役後もいまだに多くのファンを抱える空自のファントム「F-4EJ」をピックアップします。


F-4EJ 改

全幅/11.7m
全長/19.2m
全備重量/26000kg

エンジン/J79-IHI-17×2
最高速度/マッハ約2.2
航続距離/4600km


第302飛行隊百里基地 2013年航空戰技競技会

 F-4EJファントム戦闘機 第302飛行隊百里基地 2013年航空戰技競技会
側面
 F-4EJファントム戦闘機 第302飛行隊百里基地 2013年航空戰技競技会 下部
 F-4EJファントム戦闘機 第302飛行隊百里基地 2013年航空戰技競技会 上部

搭載可能ミサイル

AAM-3

AAM-3 画像
▲90式空対空誘導弾。日本が開発した短距離空対空ミサイル。三菱重工業製

AAM-4

AAM-4 画像
▲99式空対空誘導弾。航空自衛隊が装備する中距離空対空ミサイルである。製造は三菱電機

AAM-5

AAM-5 画像
▲04式空対空誘導弾。短距離空対空ミサイル。三菱重工製

AIM-9E

AIM-9E 画像
▲サイドワインダー。アメリカで開発された空対空ミサイルで西側諸国の代表的な短距離空対空ミサイル

AIM-9L

AIM-9L 画像
▲サイドワインダーの強化バリエーション。世界初の全方位攻撃能力を持った第3世代短距離空対空ミサイル

AIM-9P

AIM-9P 画像
▲第3世代サイドワインダーのコストを抑えた輸出モデル的ミサイルとして開発したが、アメリカ空軍も採用している

ASM-1

ASM-1 画像
▲80式空対艦誘導弾。日本が開発した空対艦ミサイル

ASM-2

ASM-2 画像
▲93式空対艦誘導弾。ASM-1を補完するために新たに開発された国産空対艦ミサイル

AIM-7F

AIM-7F 画像
▲スパロー。アメリカ空軍・海軍、航空自衛隊、西側諸国の空軍を中心に広く使用されている中射程空対空ミサイル

F-4EJ 戦闘機

解説/宮永忠将

第8飛行隊 三沢基地2006

F-4EJ 戦闘機 第8飛行隊 三沢基地2006
側面

ヴィクトール・ベレンコ


 1976年、ソ連のMiG-25戦闘機が日本領空に侵犯し、函館空港に着陸するという事件が起こった。パイロットのベレンコ中尉の個人的な政治亡命であったが、低高度侵入に対するレーダーの死角や指揮系統の判断遅延により要撃出撃が遅れ、千歳から出撃した肝心の2機のF-4EJもルックダウン性能が低く、MiG-25の発見に失敗した。この事件で空自の防空体制の不備が明らかになり、以降、E-2C導入などによって警戒網を近代化。F-4も、レーダーや電子戦装備を強化したF-4EJ改の導入が急がれた。なお、ベレンコ中尉はアメリカに亡命して同国の国防関連のコンサルタントを務め、市民権を獲得して結婚し、2023年9月に逝去した。

 空自の最新鋭機は海軍機? 

 F-4ファントムIIは、1950年代末期に開発されたアメリカ海軍の艦隊用戦闘機である。双発の複座機で、空母で運用するにはかなり大型ながら、強力な捜索レーダーを搭載していて、空対空ミサイルも大量に積めるマッハ2級の高性能機であったため、空軍も仕様を変えて採用するほどであった。部隊配備は1960年に始まり、間もなく本格化するベトナム戦争では、制空戦闘や爆撃支援の切り札として活躍した。ミサイル万能論を信じすぎて機関砲を外していたところ、実戦ではミサイルが頼りにならなくて、あわてて機関砲を追加装備にするといったポカもあったけど、爆撃までこなせるマルチロール戦闘機の流れはF-4から生まれたのだ。
 そんなF-4を航空自衛隊も採用することになったので大騒ぎとなった。それまでは、言ってはなんが値頃感が出てきたアメリカ製のちょっと古い機体ばかりを使っていたところ、いきなり最新鋭の戦闘機を導入することになったからだ。
 もちろん、高性能機を歓迎する声が大きかった反面、強烈な反対の声もあった。まず、もともとが海軍機なので、航空自衛隊として無駄な装備がありすぎる。まぁ、これは撤去すれば済む話だけど、問題は対地攻撃用の特殊装備。爆撃用コンピューターは高性能すぎるし、究極的には核爆弾まで運用できてしまう。これが「専守防衛」の自衛隊には過剰装備であるとして、政治問題化してしまったのだ。

 特別仕様機となった和製ファントム 

 そこで空自では、まず対地攻撃用の装備だけでなく空中給油用の受け口など、日本の防空任務には不要と判断された装備をすべて撤去した、F-4Eベースの特別仕様機であるF-4EJを採用することになった。もっとも引き算ばかりではなくて、地上レーダーから迎撃コースの指示を受けられるデータリンク装置を搭載した、文字通りの要撃戦闘機となったのだ。
 戦闘機とはひとりで操縦するものという意識が強かった空自では、複座戦闘機を嫌うパイロットの先入観も強かった。しかし複雑な電子機器を分業して扱える利点が理解されると、多くの搭乗員に愛される機体となった。反面、ハイパワーのジェット騒音がひどすぎて、千歳基地では住民への配慮から滑走路のレイアウトを変更しなければならなかった。
 このように空自のレベルをいろいろな意味で引き上げたF-4ファントムだけど、日本は世界で唯一、この戦闘機のライセンス生産が認められた国としても知られる。実際、140機を導入したF-4EJのうち、138機が三菱重工によるライセンス生産機である。また世界で最後に生産されたF-4は、三菱製(機体番号17-8440)であった。
 このように、最新鋭戦闘機であるF-4を主力機として配備しただけでなく、国内でのライセンス生産まで可能になったことで、1970年代の空自は世界でも一流の空軍組織として認知されるようになった。この実績が裏付けとなり、続く最強制空戦闘機であるF-15Jイーグルの導入につながっていくのである。


ファインモールド F-4EJ改戦闘機 第302飛行隊 “オジロワシ” タイトル

 今ファントムを気軽に作ってみたいというなら「ファインモールドの1/72」がオススメ。航空自衛隊以外にもさまざまなバリエーションが出ているので、コレクション性も抜群。組みやすさと塗りやすさを考慮したパーツ分割にも注目です。今回は近代化改修が施された「F-4EJ改戦闘機 第302飛行隊 “オジロワシ”」のキットをピックアップします。

▲ 一見パーツは多そうに見えるが、パーツの接着糊代や軸がそれぞれしっかりしているので、見た目以上に早く組み上がるのが特徴
ファインモールド F-4EJ改戦闘機 第302飛行隊 “オジロワシ” 胴体部分 ランナー

▲胴体がワンパーツ成型。上部のパネルラインで別パーツ化することで、合わせ目消しの必要性も無くなった

▲ファントムの特徴とも言えるメインノズル周辺のお尻パーツ。ここは塗装してから取り付けられる分割になっている
▲オジロワシのキットには設計・金型製作をタミヤが行い、成型をファインモールドが行ったスペシャルフィギュアがセットされる 
ファインモールド F-4EJ改戦闘機 第302飛行隊 “オジロワシ” デカール
▲ デカールはマーキングや細部の注意書きまで表現。これを貼るだけで、一気に情報量が増す

1/72 航空自衛隊 F-4EJ改 戦闘機 第302飛行隊 “オジロワシ”

●発売元/ファインモールド●4950円、発売中●1/72、約26.6cm●プラキット


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