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PHANTOM FEVER 〜幻をいつも愛してる〜

2021.07.23

PHANTOM FEVER〜幻をいつも愛してる〜/マクダネル・ダグラス F-4B ファントムII【タミヤ 1/48】 月刊ホビージャパン2021年9月号(7月21日発売)

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この夏、ファントムライダーになる。

 待ちに待った時が来た! 令和の時代に1/48スケール、1/72スケールで超ハイクオリティの「F-4 ファントムII」を手にすることができる時代が到来。超人気ジェット戦闘機であるF-4だけに、これまで傑作キットと呼ばれるものはもちろんありました。しかし近年、飛行機模型はさらに組みやすく、かつシャープなディテールを追い求め急激に進化。その流れを牽引したのが、今回1/48スケールでF-4を送り出したタミヤと、2020年に1/72スケールのF-4で僕たちをワクワクさせてくれたファインモールドの2社です。かつて2社は飛行機模型の組み味を考え直し、スケール違いでF-14 トムキャットというジェット戦闘機の王様を送り出しました。これは近年の飛行機模型におけるターニングポイントともいえる事象であり、現代フォーマットの飛行機模型のあり方を考えさせてくるれものでした。
 そして2021年、タミヤとファインモールドがF-4というモチーフで僕たちに「今の飛行機模型の姿」を届けてくれました。こんなにF-4を楽しめるタイミングはこの先何十年とないかもしれません! この夏、全モデラーがファントムライダーになれるチャンス。今まで飛行機模型を作ったことのないあなたでも絶対に楽しめるスーパープラモの面白さを大ボリュームでお届けします!


○世界のタミヤとジェット戦闘機の金字塔が令和で交わるスーパーキット!

俺たちは“サンダウナーズ”で行く!

タミヤ 1/48 ファントムIIのファーストフライトはきっとうまく行く!

 1/48スケールのジェット機プラモはボリューム、解像度ともに多くのモデラーの心を揺さぶってくれる塊。全長も30cmオーバーのものが多く、塗装や工作と僕たちのさまざまな要求をどんどん受けてくれる余裕もあります。そのサイズ感とフォーマットの1/48スケールでついにやってきた“タミヤ”の「マクダネル・ダグラス F-4B ファントムII」。HJでは今回、月刊ホビージャパン連載コーナー「OPEN THE BOX」スタイルとモデラーによる作例記事のコラボレーションで本キットの魅力をお届けします。
 キットは別売りのデカールも発売されるほど「面の情報量」をマシマシにできるプラモです。しかしタミヤはそれだけでなく、このキットに初めて触れた人の多くがゴールまで迎える仕様も用意しています。別売りのデカールを使用せず、キットに入っているデカールのすべてを使用しないでかっこいいファントムが完成する仕様、それが今回お届けする「VF-111“サンダウナーズ”飛行隊長機」です。搭載されていた空母から海軍の地上基地に移動したのち、再塗装したものということで細かなマーキングがそもそもありません。この仕様も充分にかっこよく、多くの人にとっての「タミヤ・ファントムIIファーストフライト」にもぴったり! 作例も表面の汚しなどは控え、エンジンノズルなどの焼けを強めにしてコントラストある作例としました! キット内容と作例を思う存分お楽しみください。

▲吸い付くようなパーツ精度と、接着剤使用キットでありながら、この垂直尾翼のように絶妙な嵌合で接着剤を使用しなくてもある程度固定した状態でいられるパーツが多数あるので、サクサク組み上がるぞ!

組むだけでも、塗り上げても最高な夢を見せてくれる。

▲全パーツ。細かなパーツ分割は極力控え、大きめのパーツが多い。ガシガシ組んでいけそう

PKGのイラストにもなっているよ〜

▲胴体中央からエンジンノズルまで伸びるイーグルのマークが特徴的!細かなマーキングもガンガン使うド派手な仕様です

クリーンな俺もかっこいいぜ!

▲今回の作例・VF-111“サンダウナーズ”飛行隊長機。尾翼のマーキングが最高! そしてキットの仕様としては「空母から海軍の地上基地に移動したのち、再塗装したもの」ということなので、細かなマーキングが無い。初ファントムにもぴったりの塗装パターン!

コクピットから伸びる桁がポイント!

▲コクピット後方に伸びる板。これが胴体をガッチリときれいな形状で接着できるためのポイント

エンジンノズル側にもある桁もポイントだよ〜。歪みなし!

▲コクピットとエンジンノズル側の桁により、しっかりと胴体が開いた状態で接着できます。これにより主翼と胴体の合わせがピシッとツライチになって隙間ができません!

キットには2枚のデカールが入るよ

▲デカールサイズもデカイ。3種類の塗装パターンに合わせたマーキングがセットされます。このほかにさらに情報量を増せる別売りの「1/48 F-4ファントムII 米海軍用アクセスドアデカールセット」(880円)()もあります

エアインテークの差し込みが気持ち良すぎる!

▲インテークの入り口パーツと内部パーツを組み上げた後に、本体に寸分のズレなく入っていきます。す〜っと入っていく感覚が本当に鳥肌ものです
▲背面はパネルラインで分割。これにより背中の合わせ目消しをしなくてよいので、製作スピードが爆上がりします
▲エアインテークから胴体に流れる美しいライン! 巧みなパーツ構成とパーツ合わせの精度で、まるで一体パーツのよう。これまでのファントムプラモでもっとも美しいと言えると思います
▲背面パネルはまさに吸着するかのようなパーツ合わせを楽しめるポイント。特徴的なディテールもあるので、このようなパーツ分割により、ヤスリがけなどのパーツ整形をしなくてよいのは本当にありがたいです

▲作例の見せ場であるエンジンノズル。本体の控えめなウェザリングに対して、焼け表現をしっかり再現。機体末端の金属部は、タミヤラッカーのLP-48スパークリングシルバーを使用。ギラっとした金属地金表現に最適です。塗装前のノズルと見比べていただくと、塗料が乗ることでこの細かいディテールが花咲く様子が分かると思います(スパークリングシルバーの商品詳細はこちら)

6分割だけどピタッと合わさるよ

▲エンジンノズルは内側・外側ともに究極のディテールを目指すために6分割。しかしパーツの合わせがとても良いので、速攻で組み上がります

▲キャノピーは開閉選択式。今回は、キットのパイロットフィギュアの完成度が素晴らしいので、よりパイロットの存在感が出せるように開け状態としました。素組みの写真のように、給油プローブは展開・収納を選択できます

▲射出座席は、本体を組んだ後にコクピット内部に組み込むことができます。フィギュアも座席も取り外し自由なので、好きなタイミングで塗ってから本体に接続できますよ

キャノピーのマスキングももう怖くない!

窓枠をかっこよく塗り分けられると俺っちもご機嫌だな〜

▲窓枠塗り分け専用のマスキングテープがキットに入っています! カット済みではないので、線に沿って切り出してキャノピーに貼ればマスキング完了! めっちゃ嬉しい

▲垂直尾翼のパーツ構成やお尻のパーツが別パーツ構成になっているおかげで、作例のように美しいマーキングやウェザリング表現を楽しんでから、パーツを取り付けられますよ
▲垂直尾翼は胴体のデカイ接続部に被せるように取り付けます。ここの精度がすごすぎて、接着しなくてもOKなほど。作例のようにド派手なマーキングが垂直尾翼に入るものにとってもすごくありがたいパーツ分割構成で、本体と別個で仕上げられます
▲ファントムのセクシーポイントがエンジンノズル周辺。この金属板がぎらつくお尻の部分を別パーツにして塗りやすさ&組みやすさもアップ!
▲本体は基本的にMr.カラーを使用。組み上げ後ガイアノーツ・サーフェイサーエヴォに、333番ぐらいの暗いグレーを混ぜ、サフと下地を同時に終わらせ、その上から315番をディテールを避けるグラデーションで塗装しています。機体下面はMr.カラー・GX-1のクールホワイトで同様のグラデーション塗装(サーフェイサーエヴォの商品詳細はこちら) (エクストラダークシーグレーの商品詳細はこちら) (グレーFS16440の商品詳細はこちら) (クールホワイトの商品詳細はこちら)

おかわりは、主翼を折り畳んだ状態で食べたい!

▲主翼外翼はパーツの選択式で折り畳んだ状態にも可能! こっちもかっこいいので、おかわりして作っちゃおう!

\ PARTY NIGHT!! /

▲完成したら今夜は模型を見ながら大いにアメリカ気分に浸ろうぜ! レッツパーティー!!

■カタチも構造も楽しめるハイクオリティキット
 私が生まれるちょっと前にはすでに洋上を自在に飛んでいたジェット戦闘機。そんなF-4ファントムという、超有名な飛行機が、この度タミヤさんの1/48傑作機シリーズに加わりました!
 「模型」とは「カタチを模す」と書きますが、このファントムの場合はカタチだけではなく、モチーフとなっている実機の構造までも把握できるような、そんな設計となっていて、すべてのパーツが元々はひとつであったかのように、吸いつくように組み上がります。
 これだけ素晴らしい飛行機模型なので、純粋にストレートに楽しんでみます!

■塗装の劣化を抑え目にした緩急あるウェザリング
 今回の作例は数あるスコードロンのウチでももっとも有名なモノのひとつ、VF-111「サンダウナーズ」を選択し製作しました。説明書で言う「B」ですね。
 こちらの機体は実戦参加中艦上で塗り直しがされ、航空機模型につきモノの機体各所にある注意書きがないということで、そのぶんステンシルに頼らない情報の盛り込みが必要となります。なので「塗装の劣化はないけど煤と潮に揉まれた使用感」をコンセプトに作業を行うことといたしました。
 取り寄せた写真資料では意外と汚れていない胴体と、逆に死ぬほど真っ黒な煤だらけのジェットノズル部のコントラストが激しいモノがほとんど。全身万遍ないウェザリングではなく、汚れてる場所と汚れるワケのない場所の緩急をつけることが肝要でした。
 本体部は基本通りの塗り分けを行い、まずは塗りたてホヤホヤを再現…そこに容赦のないXF-1フラットブラックによるウォッシング! 飛行機の進行方向や重力による「流れ」を意識すると自ずと自然なカンジになると思います。

タミヤ 1/48スケール プラスチックキット 1/48 傑作機シリーズ No.121

マクダネル・ダグラス F-4B ファントムII

製作・文/横田敬之
構成/三環しおん

1/48 傑作機シリーズ No.121 マクダネル・ダグラス F-4B ファントムII
●発売元/タミヤ●8360円、発売中●1/48、約37cm●プラキット

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横田敬之(ヨコタタカユキ)

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