【ウルトラマンA】デコマス(塗装見本)を作るということとは──「スチール星人」のダメージ感を目指して塗装【コモリプロジェクト】
2026.02.05 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)


応える想い
誰かのデコマスを作るということ
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。2025年も残り1週間となりました。たくさん手を動かした人、動かさなかった人、上達した人、そうでもなかった人、人それぞれ、思いもさまざまだと思います。僕はというと30cmサイズを12体、17cmサイズをリペイントも含めたら10体ほど作りました。忙しい1年でしたが、それなりにチャレンジはできたのかなと感じています。
さて今回はデコマスについて語っていきたいと思います。デコマスとはデコレーションマスターの略、塗装見本のことです。本誌にはそれこそ綺羅星のごときフィニッシャーの方々がたくさんいらっしゃいます。彼等の塗装がそのキットの見本となって色付けされていくのです。
コモリプロジェクトのキットはすべて僕がデコマスを作っています。プロのフィニッシャーではないのですが、それなりに長いこと怪獣のガレージキットに触れてきましたし、何冊もキットにまつわる本を出すという離れ業をやっています。ハリウッドで活躍する知人の有名モデラーさんからは、「本業の人よりたくさん造形本を出している人」なんてからかわれたりしております(苦笑)。それはさておき、コモリプロジェクトは自分が立ち上げたメーカーですからね、アイテムの選択、インストの文章やボックスアート、デコマスに関してもすべて自分の責任で行えます。なので、大変ではあってもどこか気は楽なのです。しかし、これが人様の作られたものとなるとそうはいきません。これまでに何度かお願いされてデコマスを引き受けたことがありますが、自分のものを作る時とはまったく違う緊張感があります。
『ウルトラマンA』に登場した宇宙超人スチール星人もそうです。ある時、「ゴート」の杉本さんから「小森さん、塗ってくれませんか」とトレフェスの当日版権品をお願いされました。杉本さんとは長い付き合いですし、キットもたくさん作っていますので、「分かりました」と明るく二つ返事で答えました。でも、心の中はドキドキです。デコマスはそのキットの印象を決定付けます。僕自身、彩色前の画像を見ていったんはスルーしていたものが、彩色された画像を見た途端、なんとしても欲しくなったという経験があります。それだけに責任重大なのです。
僕がデコマスを作る時の約束事は、依頼した人のことだけを考えるというもの。どうすればその人を喜ばせることができるか、どうやったら気持ちに応えられるのか。杉本さんはどんなスチール星人が見たいだろうかと想像し、出来立てのほやほやのきれいなキャラクタースーツではなく、撮影に使用したダメージ感のある、裏を返せばリアルな存在感のある塗装を目指しました。果たして結果は──すこぶる喜んでくれました。よかった……。素晴らしいスチール星人の造形は揺るがないですが、塗装で少しでも皆さんに目を留めていただけたのなら嬉しい限りです。
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』『ツイン・アース』など著作多数。
















