HOME記事ガンダム話題沸騰中の「νガンダム」とは? 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』もうひとりの主人公ともいえる機体をそのデザイン変遷とともに解説!

話題沸騰中の「νガンダム」とは? 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』もうひとりの主人公ともいえる機体をそのデザイン変遷とともに解説!

2026.02.10

テーマとデザインから紐解く『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』●河合宏之 月刊ホビージャパン2026年3月号(1月23日発売)

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット4枚まとめ

νガンダムという存在の影響力

『逆襲のシャア』においては、キャラクターとMSの結び付きの強さが描かれている。アムロ=νガンダムであり、シャア=サザビーである。これはふたりの最終決戦を描くうえで、MSはキャラクターを具現化した存在でなければならなかったためだろう。その点を踏まえて、νガンダムの位置付けを振り返ってみる。

構成・文/河合宏之

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット1
▲戦艦の主砲と見紛うばかりの砲撃がレズンを襲う。姿を見せずに圧倒的な力だけで敵を一蹴する。これほどドラマチックな登場はない
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット2
▲タイトルバックとともに描かれるロールアウト寸前のνガンダム。産声を上げたばかりの新型機は未知の力を予感させ、本編への期待も否応なしに高まる
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット3
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット4
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット5
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット6

 ●作品上の役割

νガンダムは、もうひとりの主人公

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット7

 νガンダムは、劇中でアムロ自身が開発に携わった、初の専用機である。「シャアVSアムロ」というテーマを描くうえで、キャラクターと機体とのイメージの融合は重要なポイントだ。それゆえ「アムロ専用ガンダム」というキーワードは、非常に大きな意味を持つ。タイトルバックとともに、ロールアウト直前のνガンダムが姿を現すシーンは、まさにνガンダムこそが本作におけるMSとしての主役であることを強く印象付けている。
 そしてラー・カイラムの危機に駆けつけるシーンは、まさに真打ち登場にふさわしいシーンと言える。真打ち登場とは、「もっとも力量のある人物が、他の人よりも後に登場すること」を意味する言葉であり、これも本作におけるνガンダムの立場を表している。
 νガンダムが主人公という印象を強くしている要因は、劇中での描かれ方にもある。これまでのアムロといえば、RX-78-2 ガンダムでさえ、最終的には機体が彼の能力についていくことができなかった。アムロの能力を存分に発揮できる機体、すなわち「アムロのためのガンダム」の登場は、ファンにとっても長年の夢だったのである。
 実際、劇中では遠隔操作でバズーカを放つ「置きバズーカ」を駆使したり、シャアとの一騎打ちにおいてもサザビーを圧倒している。アムロが初めてファンネルを装備した機体として、その性能を存分に発揮したことも、「アムロにふさわしい機体」という印象を強く残した。
 最終的に奇跡を起こしてアクシズ落としを阻止するという展開も、まさに主人公機ならではの役割と言える。「νガンダムは伊達じゃない」というセリフも、その証明だろう。MSというメカニックでありながら、νガンダムは物語そのものの鍵を握る存在なのだ。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット8
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット9

▲形状や性能、そしてバリアという必殺技を持つフィン・ファンネル。ファンネルでも他のMSとは差を付ける。それが主人公機である証だった

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット10
▲ファンネルも武装もすべて使い切り、最後は拳での勝負を展開する。武器に頼らないライバル同士の最終決着が熱い
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット11
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』場面カット12

▲アクシズ落としという未曾有の危機を止めたのは、νガンダムとサイコフレームが起こした奇跡だった。物語の幕を引くその役割もまた、主人公機としての存在感を決定付けている

 ●デザイン

原点回帰と革新性が両立するデザインコンセプト

νガンダム

 可変機や試作機が数多く登場した『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムZZ』の時代を経て、『逆襲のシャア』では、「ガンダムは変形も合体もさせない」という原点回帰のコンセプトのもとでデザインが進められた。
 この考え方は結果的に、「MSを汎用性の高い人型兵器へ回帰させる」という劇中設定にもフィードバックされることになる。
 さまざまなデザイナーによるコンペを経て、出渕裕氏がまとめあげたνガンダムのデザインは、コンセプトどおりギミックを排したもので、RX-78-2を想起させるスタンダードなシルエットを持つ。これはアムロ・レイの乗機というイメージと明確にリンクするものであった。
 また、「大人のアムロ」というイメージを具現化するものとして、トリコロールではなく白と黒のツートーンカラーを採用した点も本機を特徴づけるポイントだ。
 一方で、ただ原点回帰を目指すだけではなく、νガンダムにはフィン・ファンネルという革新性が与えられている。これは原点回帰と同様に、「ガンダムにマントを付けたい」というオーダーから導き出されたもの。ファンネル自体はすでに馴染みの装備であったが、マントというコンセプトを加えることで、新しいガンダムにふさわしい装備へと昇華している。
 フィン・ファンネルは劇中でも効果的に使用され、フィン・ファンネル・バリアの描写や、「ファンネルが何であんなにもつんだ」というギュネイのセリフからも、従来のファンネルとの差異が明確に打ち出されている。
 フィン・ファンネルによる独自性と、シンプルでスタンダードなデザイン。その両立によって、νガンダムは今なお普遍的な魅力を備えた機体として高い支持を集めている。

 変化を遂げていくνガンダムのデザイン

 νガンダムのデザインは、本編以外にもさまざまなメディア展開やイラスト、商品のパッケージで進化を遂げてきた。ここではνガンダムのデザインの広がりを紹介しよう。

CCA-MSV/M-MSV

 劇場公開時から1990年代前半にかけて展開された『逆襲のシャア』のMSV展開。νガンダムのバリエーション機も3機種ほど描かれたが、基本的に装備変更が中心であった。

νガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型

νガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型

初出:プラモデル1/144νガンダム組立説明書
デザイン:福地仁

▲6基のフィン・ファンネルを左右に振り分けて装備した形態。それ以外の要素はオリジナルデザインのシルエットに近い

νガンダム HWS(ヘビー・ウェポン・システム)装備型

νガンダム HWS(ヘビー・ウェポン・システム)装備型

初出:Bクラブ27号
デザイン:出渕裕

▲νガンダムのフルアーマー装備と言えるバリエーション。オリジナルの外観はほぼ増加装甲で覆われている

量産型νガンダム

量産型νガンダム

初出:SD CLUB
デザイン:大河原邦男

▲νガンダムの量産型というコンセプトで描かれたバリエーション。フィン・ファンネルとインコムに対応する機体という設定であった

ガンダムイボルブ

 2000年代にリリースされたショートOVAシリーズ。2001年リリースのEVOLVE5では、νガンダムとα・アジールの戦いが描かれた。イボルブはCG作品が中心だったため、νガンダムもCG描写のために関節などの細部まで、新ディテールが加えられている。その後のCG時代の先鞭を付けるデザインと言える。

EVOLVE 5 RX-93 νGUNDAM

DVD『GUNDAM EVOLVE+』パッケージ
▲DVD『GUNDAM EVOLVE+』パッケージ

実物大立像

実物大νガンダム立像

 三井ショッピングパーク ららぽーと福岡に設置される「実物大νガンダム立像」のためにリファインされたνガンダム。ロールアウトが前倒しされたことで、間に合わなかった兵装プランというコンセプトのもと、新たにロングレンジ・フィン・ファンネルを装備。

RX-93f f νガンダム

RX-93f f νガンダム

\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/

 『逆シャア』の魅力 

「νガンダム」が活躍する『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』とは? 『逆シャア』の魅力をわかりやすく解説!!

テーマとデザインから紐解く『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 公開から37年を経てもなお、その魅力が色褪せることのない『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。映像からは常に新たな[…]

ⓒ創通・サンライズ

この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2026年3月号

ご購入はこちら

ガンダムフォワードVol.8

ご購入はこちら

HJメカニクスアーカイブ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア編

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー