【コードギアス 新潔のアルマリア】ep13「私はあなたを許しません!」
2026.01.10『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語
『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。ハクバ救出作戦がついに始まった。危険を察したグラナードは急ぎ潜水艦の出航を指示するも、そこにオルフェウスが駆る業火白炎の砲火が襲い掛かる。
STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
モデル製作 おれんぢえびす、コジマ大隊長
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部
ep.013|『私はあなたを許しません!』
珠江デルタ沖の無人島群、その中にある小島の近くに停泊しているグラナード潜水艦。その甲板上では、作業員が大慌てで作業をしている。
「グラナード将軍からの命令だ。すぐに出航するらしい」
「急いで作業を終わらせて艦内に戻るんだ!」
「くそっ! 久しぶりの陸だったのに……」
それは艦内でも同じこと。グラナードの指示で急遽出航することになり、ナイトメアフレームのパイロットである騎士とその整備を行う作業員が狭い艦内で慌ただしく入り乱れている。
「目的地到着直後に戦闘の可能性がある。各員騎乗して待機!」
「騎乗して待機だ。高速艇の準備も頼む!」
「急げ! 艦が動くぞ!」
グラナードがこんなにも急いで潜水艦を出航させるには理由があった。彼らが追いかけているターゲットに動きがあったからだ。ターゲットの発信源は少し離れた九海港という港を指し示している。そこから逃がすわけにはいかない状況に陥っているからだ。
潜水艦がゆっくりと浮上した状態で無人島を離れる。するとハクバが吊るされている尋問室もぐらりと揺れる。
「艦を出すのか……」
思わず口走ってしまったマテオの言葉を聞き逃さないハクバ。グラナードが指示を出している人物に判断を仰ぎ、自分の提案に乗ったことを悟る。
「なら、ここが好機か」
「うん? 何か言ったか」
「いや。やはり将軍様は聡明だな、と思ってな。俺の提案に乗って、クライアント様に指示を仰いだらしい。なんともご立派な方だ」
「なんだ、その物言いは? グラナード将軍を馬鹿にしているのか?」
「いいや。馬鹿になどしていないさ。さっきも言ったように命令を確実に遂行するのが軍人の為すべきことだ。別に頭を使う必要はない」
ハクバが見下すように笑む。
「なっ!? なんだと貴様!」
「やめとけ、マテオ。将軍の命令に背くことになるぞ」
「ぐっ……」
立ち合いの兵士に止められるマテオ。しかし、ハクバはそんなマテオを見て笑いが止まらない。
「はっ! やっぱりお前さんも頭を使っていないな、マテオくん?」
「このイレヴン風情が……! その口を利けなくしてやる!」
頭に血が上ったマテオは、たまらずハクバのほうへ歩み寄る。
「やれるもんならな」
勢いよく近づいてきたマテオの首を跳ね上げた両足ではさみ込むハクバ。すると、吊られていたはずの身体が海老反りのような形で落下する。いつの間にか両手を拘束していた鎖を外していたのだ。その落下する勢いで床に叩きつけられたマテオは身動きひとつしない。
「マテオ!」
立ち合いの兵士が慌てて銃を抜こうとするが、わざとらしく大きく跳んだハクバに気を取られ、瞬時に懐に潜り込まれる。
「二の折、村雨ってね」
「なっ……」
そのまま鳩尾に掌底を叩きこまれて昏倒する。
「油断大敵だぜ」
兵士をマテオの横に転がすと同時に、ドォンという爆音とともに艦内が大きく揺れる。
「うおっ! これってもしかして俺を助けに来てくれたってことか? こうしちゃいられないな」
ハクバは無造作に床に放られていた自分の服を引っ掴み、尋問室を飛び出した。
「推進装置に被弾! これでは航行ができません!」
「潜航だ! すぐに海の中へ……」
突然の砲撃にパニックに陥るブリッジ。グラナードが指示を出すが、それを実行する間もなく、業火白炎の2射目が船体に穴を開ける。
「うわあっ!」
「何をやっている! 被害を報告しろ!」
「右舷外壁に損傷! こ、このままでは沈みます!」
「敵の位置は?」
「特定できません。右舷側の陸地としか……」
さらに3射目が船体の上部を撃ち抜く。
「ぐっ……、このままでは蜂の巣にされる。総員退艦だ! 艦を捨てる!」
「イ、イエス、マイロード」
慌てて退艦の準備を始める兵士たち。そんななか、グラナードは艦長席の肘置きを叩き、屈辱を噛みしめる。どうしてこんなことになってしまったのか、と。その答えは明白だった。負かせたはずの男。捕らえたはずの男。あの男と関わった途端、順調だったはずが大事な艦を捨てる事態にまで陥っている。
「おのれ……。あの男が仕組んでいたというのか……」
その真相を確かめるべく、グラナードは逃げ出す兵士たちをかき分け、尋問室へと向かう。
九海港が見える陸地の高台。潜水艦への砲撃を終えた業火白炎が、右腕から可変型超電磁砲身装置を取り外している。
「こんなものか。ズィー、聞こえるか?」
「ああ。バッチリ」
「こちらの狙撃は成功した」
オルフェウスからの通信を受けるズィーは、乗機である月下紫電を九海港のコンテナの陰に潜ませながら、被弾した潜水艦から次々と逃げ出してくるリビングナイツの様子を確認している。
「みたいだな。連中、わらわらと逃げ出してきてるぜ」
「作戦通りだ。俺もすぐにそちらに向かう。それまで頼んだぞ、ズィー」
「任せとけ。俺の腕が健在だってことを見せてやるよ!」
オルフェウスとの通信を切ったズィーは、操縦桿を握り込む。背中から引き抜いた二振りの紫竜雷月刀を手にする月下紫電を、サザーランドの大軍の中に踊り込ませた。
混乱のなか、グラナードの私室に潜り込んだハクバは、立ち上げた端末の通信の履歴を確認している。
「ビンゴ。グラナードのやつ、数分前に艦外と連絡を取っている。通信先は……、なに?」
通信履歴を追っていたハクバの目が、最後の通信者の名前に止まる。そこには驚くべき名前が表示されていた。
「マシュー・ブラキストン……」
ここ最近で耳にした名前。ホノルルの超合集国本部、ラクシャータの執務室ですれ違った一組の男女を思い出す。
「大手製薬会社の社長が、ピュアエレメンツGのパイロットを追っているだと?」
脱出する兵士たちをかき分け、ようやく尋問室へ辿り着いたグラナード。だが、そこにいるのは、気を失ったマテオたちだけ。ハクバの姿はない。
「あの男……、絶対に許さんぞ!」
逃げられたことを悟ったグラナードの怒りに火が着く。
被弾した潜水艦からもっとも近い九海港は戦場と化していた。潜水艦から脱出し、港へと上がってきたサザーランドを、ズィーの月下紫電が単騎で次々と迎撃している。
「しかし数が多いな、おい! このままじゃあ……」
月下紫電を取り囲もうとするサザーランドが背後からコックピットを狙う。
「泣き言を言うなんてな。年をとって体力が落ちてるんじゃないか、ズィー」
駆け付けた業火白炎が四式熱斬刀で月下紫電を狙っていたサザーランドを斬り割く。
「誰がオッサンだ。俺はまだまだ現役だ!」
オルフェウスの参戦に勢いづくズィー。
一方でその様子を新月改のコックピット内のモニターで見ているサトリ。緊張の面持ちのなか、ガナバティから通信が入る。
「聞こえるか、嬢ちゃん。潜水艦から出てきたサザーランドはオズたちが引き付けている。今のうちだ。行けるな?」
「うん! ハクバを助けに行ってくる!」
サトリが答えるやいなや、ドンッと堤防の奥で水しぶきが上がる。すると、大きく弧を描くように堤防の陰から現れた新月改が、沈みゆく潜水艦に向かっていく。海上を走る新月改の足元にはガナバティ特製のサンドボードが装着されていた。
その様子を少し離れた高台に停めたトレーラーからガナバティとドクが見守っている。
「よし! サンドボードに電磁モーターを付けただけの急造ジェットスキーだが上手くいったな」
「サトリ、ハクバを頼んだよ……」
新月改のコックピットのサトリは、モニターに映るハクバがいるはずの潜水艦を見据えている。
「待っててね、ハクバ……」
その時、ノイズ混じりながら通信が入る。
「誰か、聞こえるか? こちらエージェント新月だ」
「ハクバ!」
ⒸSUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design Ⓒ2006-2017 CLAMP・ST













