完結に向かう『ウルトラマンオメガ』ソラト役 近藤頌利×メイン監督 武居正能対談! クライマックスに向け裏話や今後の見どころを語る!
2025.12.20近藤頌利 オオキダ ソラト●役
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武居正能 『ウルトラマンオメガ』●メイン監督
いよいよ物語も最終局面の『ウルトラマンオメガ』。謎に包まれていたソラトの過去、ウルトラマンオメガの秘密が明らかになり、衝撃の展開を迎えている。ここではそんな主人公・オオキダ ソラト役の近藤頌利と、作品のメイン監督である武居正能の対談をお届け! 今だから明かせる裏話や今後の見どころを伺った。
執筆・構成●佐久間翔太
撮影●山本一人
――ソラトは第1話から大きく変化していきましたが、近藤さんが演じるうえで難しかったところはありますか?
近藤●正直、ないですよ! 演者としては、普通の人間に戻していった感じだったので、宇宙人として来た1話を撮るときのほうが難しかったです。順撮りじゃないところは、ある程度計算して演じたりはしました。
――序盤のほうが演じる身としては難しかった?
近藤●1~3話の頃のほうが、「こういうふうに演じよう」と意識して役を作っていましたね。
――武居監督が演出するうえでも、序盤のほうが難しかったのでしょうか?
武居●最初の頃だと、ヒーローとしてのカッコよさをどのくらい入れるかは考えていましたね。そこは人間らしさが出る部分なので、「ここのポイントだけは入れましょうか」とシーンごとに話していました。あとは自然に出来上がっていくものを楽しませてもらったという感じです。
近藤●武居さんからしたら、3話で「じゃあ、また」と言って終わったら、次は11・12話じゃないですか。「だいぶ変わったなぁ」ってなりますよね?(笑)
武居●たしかにそう思ったけど、その間の撮影の様子とか見てはいたから、あんまり違和感はなかった。お茶目さを抑えていた1~3話でソラトらしさをどう切り取っていくのかは、ちょっと悩みましたね。
近藤●ホント、1話が塩梅を探るの一番大変だったなぁ。何しろ、1話でハマらなかったら観ない視聴者はいっぱいいるはずですから。でも正直、ソラトは万人受けするキャラクターではないと考えていたので、そこはもう仕方ないと割り切って演じた記憶があります。
――結果的に、ソラトは1話から多くのファンを得たキャラクターになりましたね。
近藤●いま改めて、YouTubeで1話を見返してみてほしいですね。「全然違うなぁ!」と感じると思いますよ(笑)。
武居●1話の再生回数は少しずつ伸びているから、多分YouTubeで見返している人が結構いるんじゃないかな。
近藤●そうなんですね!うれしいです!
――武居監督は1~3話の次は11・12話、14・15話と、総集編の13話を挟んで連続で担当されていました。
近藤●4本でワンパッケージという感じですよね。
武居●なんでこうなったかというと、実は撮影の状況と関係していて。いつもは5~6話くらいまでドラマと特撮を撮って、仕上げ作業をしながら後半の話数を撮っていくんですが、『オメガ』はドラマ部分を4ヶ月くらいかけて先に全部撮って、そのあとに特撮部分を撮るという方式だったんですよ。ドラマ部分を撮っているときに仕上げがないから、市野(龍一)監督も4本連続だし、越(知靖)くんも最初は3本だし、僕も3本撮ってすぐに4本撮ることができる体制だったわけです。それに、1クール目のケツと2クール目の頭は自分で撮りたかった(笑)。欲を言えば最終4本も撮りたかったんですが、それはちょっと難しくて、今の形になりました。
近藤●変換期にあたる中盤の話はキーになる回ですからね、絶対に。
武居●自分が撮っていない回も、縦軸に当たる部分は脚本づくりに参加していました。特に最終4話は、越監督も交えてどういうキャラクターが出てきて、こういう流れになると初めに話したうえで22・23話を渡しました。普通、メイン監督はシリーズ構成を決めたあと、各話監督に細かい部分はお任せするので、あまり口は出さないんです。田口(清隆)監督みたいに、メイン監督もシリーズ構成もやるのはイレギュラーなので。
――越監督は最終2話直前の22・23話に限らず、『オメガ』の重要なエピソードを数多く担当されていましたね。
武居●そうですね。初めのアーマーの登場(4話)もそうだし、怪特隊の初出動も(16話)。
近藤●たしかに。ちょっと成長した人たちを動かすのが越さんだったのかな。
武居●ほかのシリーズでは僕がそういう役割をやっていることが多いので、そこを任せた感じです。
近藤●越さんは半端ないくらい特撮愛が強くて、信頼がありましたね。ただ、どの監督が撮っても同じことを考えた気がするんですけど、「アーデルの回(22話)、どうまとめるんだろう?」とはずっと思っていました。アーデルがメチャクチャしゃべっているし、合成カットが多かったので、撮っているときに「ここにこう来ます」とか説明を受けてはいたんですが、実際にどうなるのか想像がつかない(笑)。アーデルの難しい話をどう視聴者に届けるのか、放送が楽しみですね。
――ソラトが所属する宇宙観測隊の設定は、どのように決めていったのですか?
武居●宇宙観測隊という文言は、シリーズ構成の足木(淳一郎)さんです。僕は一番最初、地球人を裁きに来たウルトラマンの話をやりたいと言っていたんですよ。ウルトラマンが本当に客観的に、平等な立場で考えたら、地球が滅亡の道を歩んでいる原因は人間だと判断すると思うんです。でも、人間の可能性に気づいて、違う未来を一緒に探すという話はどうかと提案したら、北浦(嗣巳・チーフプロデューサー)さんに「ウルトラマンが人間を滅ぼしに来ていいわけないだろう」と言われて、それはそうですねと(笑)。その初期案をどう近い設定に落とし込むか考えていったときに、シリーズ構成の根元さんからだったと思いますが、「じゃあ、地球人を観察しているというのはどうですか?」という話が出て、「本当にこれでイケるか、とりあえず書いてみよう」となったんです。脚本づくりは2年前からスタートしていたんですが、初めの一ヶ月くらいはそういう話をしていました。
――近藤さんは22話で明かされたソラトの過去について、いつ知らされたんですか?
近藤●最初からです。ホン(台本)が出来上がる前から、大まかな話は聞いていました。
武居●面談のときにそういう設定だと話したし、分厚い設定資料も早めに渡していたはずなんです。
近藤●そうですね。メテオカイジュウとか15話までに出る怪獣の一覧が載っていて、あらすじも共有されていました。
武居●最終話のホンも、クランクインする頃には渡していたのかな? 放送されるものとそんなに内容が変わらないやつを。
近藤●(クランク)イン前には、仮のホンはもらっていました。
武居●1~3話を撮っている間も、たまに「あそこの話でこうなるから、こうしておいたほうがいいかな」と話しながらやっていましたね。これは本当に珍しいです。
近藤●連ドラでもなかなかないですよね。
武居●例年だと10話くらいまでのホンしか渡していないですからね。クランクイン前に最終話のホンを渡せたのは、多分初めてだと思う。
近藤●もし最終話までのホンをもらっていなくても、そこまで変わらなかったと思うんですけど、「こうなるんだったら、こういう流れがいいのかな」と考える時間があったので、もらっていて良かったです。
武居●僕らとしては、クランクイン前に最後まで作っていたというのは少し怖さもあって。いつもだと最終話の脚本は、11・12話の撮影をしている裏で作っているんですが、そのタイミングだと特撮もすでに撮っていて、最初の話数の編集をやっていたりもするんです。実はそういう状況で初めてわかることもあって、「こういうキャラクターで演じてきているから、最後はこっちのほうがいいんじゃないか」と、セリフの言い回しや展開を変えることもあるんですよ。今回は初めからガチっと決めてやっていて、そういうことはできなかった。でも、上手いこと考えていた筋に……もちろん、皆さんに寄せてもらっている部分もありますが、狙い通りやっていただけて本当に良かったですね。
近藤●僕と面談したときには、ホンはどのくらいできていたんですか?
武居●完成はしていなかったかもしれないけど、15話を作っていた頃だったかな。
近藤●へー! 僕、面談で1話の「美味い、美味、おいしい、デリシャス……」と言うくだりをやったんですが、あのときはメロンパンを食べたときのセリフだったんです。だから、台本が来たときに「結構変わったな」と思って。
武居●食べ物が変わったのは、全世界で同時期に放送&配信するので、せっかくなら日本らしいものがいいとなったんです。で、撮る直前まではナポリタンだったんですよ。
近藤●そうでしたね!
武居●ナポリタンは日本人が作ったパスタ料理だから、僕としてはちょっとこだわりがあったんですが、最終的に焼きそばになりました。いろいろなことがありましたが、ソラトがご飯を食べるというところだけは死守したかった。
近藤●後半は食べない回もありましたけど、前半はほぼ毎話で何か食べてましたよね。今度、ソラトがご飯を食べる企画(「ソラトのもぐもぐファイト」)を撮りに行きますし(笑)。
武居●本当は僕、「腹減った」をキャッチコピーにしたかったんですよ(笑)。
――(笑)。本作の怪獣の描写で、意識したことはなんですか?
武居●デザイン面で大事にしていたのは、まずはかわいさ。もう一つは、『オメガ』は地球上で起こっているお話なので、地球産の怪獣であることを意識づけるために、既存の生物をモチーフとして落とし込んでほしいとお願いしていました。たとえば、グライムならアルマジロとかモグラをデザインに落とし込んでいますし、ドグリドはカエルやイモリといった両生類がモチーフなんです。レジェンド怪獣たちも基本的に地球産の怪獣を出してもらっていました。
近藤●だからソラトは、宇宙怪獣のことは知らないんですよね。
武居●そう、地球のことはずっと見ているから、地球怪獣は大体知ってる。
近藤●でも、エルドギメラのことは知らなくて。
武居●エルドギメラは太古にいた怪獣だから。
近藤●ソラトが観測している間には出てきていない、ということですか。
武居●そう、それで知らなかった。
――近藤さんが『オメガ』の登場怪獣の中で、印象深い一体を選ぶならどれですか?
近藤●ええ~!? 僕ピグモンが好きなんですけど、ちょっとズルいので抜いておきます(笑)。
武居●(笑)。
近藤●一体だけ挙げるなら、ゾヴァラスです。デザイン的にはエルドギメラとかゾメラみたいな、禍々しいピンクや紫を使っている怪獣が好きなんですが、ゾヴァラスは強かったし、地球に落ちてくる前に戦った初めての相手なので。それにゼットンをモチーフにしているじゃないですか。
武居●ゾヴァラスは完全にゼットンですね。現代のゼットンを作ろうとしていましたから。
近藤●ですよね! ゼットンはウルトラマンを倒した怪獣だと昔から知っていたので、結構好きなんです。
――細かい部分だと、ニュージェネレーションウルトラマンシリーズではオープニングが第2クールから2番の歌詞に変わることが多い中、1番のままだったことが印象的だったんですが、なにか狙いがあったんですか?
武居●僕は子どもの頃、歌詞が変わると「あれ?」「違う曲なんじゃないか?」とよく思っていたんです。だから、主題歌の歌詞は変わらないほうがいいんじゃないかと。
近藤●戦いの最中に主題歌がかかった回ってありましたっけ?
武居●辻本(貴則)さんのときに一回やってる(20話)けど、僕も含めてほかの監督はやってないんです。主題歌を流すと盛り上がるし、やりたくなる気持ちはよくわかるんですけどね。趣向を変えてちょっと違うところで主題歌のインストを使っています。
近藤●なるほど。挿入歌(「アンブレイカブル」)は12話で使ってましたよね。
武居●特別総集編③でも使いますよ。
近藤●あっ、そうなんですか! やっぱり主題歌、エンディング前期・後期、挿入歌とか全部合わさって『ウルトラマンオメガ』ですから。
武居●特別総集編③はね、結構エモいです!
――放送を楽しみにしています! 最後に、ラスト2話の見どころをお願いします。
武居●何を言ってもネタバレになるから難しいんですけど(笑)、『ウルトラマンオメガ』というタイトル、そのままのお話になると思います。ソラト……オメガという存在が、何を想って地球人、そして地球を守るのかを追っていくラスト2話になるので、そこに期待して観てもらいたいですね。それに尽きます。
近藤●見どころは結末、25話の終わり! 最終話はウルトラマンの存在意義、ヒーローの根源が表現されている回になっていますし、特撮好きの方が観たら「こんな意見があるのか」「でもそうだな、当たり前だな」と思ってもらえるのではないかなと。「毎週の楽しみが減るのか」と感じる人もいるかもしれませんが、全25話で完結する『ウルトラマンオメガ』を見届けてくれたら嬉しいです。
近藤 頌利
こんどう・しょうり
1994年4月12日生まれ、大阪府出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後に俳優を志し、劇団Patchに入団してデビュー。ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズでブレイクし、舞台だけでなくドラマ、映画など多岐にわたって活躍している。主な出演作に舞台『忠臣蔵』、ドラマ『全ラ飯』、『院内警察』など。
X(旧Twitter)■@p_shori_k412
Instagram■@shori_kondo412
武居 正能
たけすえ・まさよし
1978年9月4日生まれ、山口県出身。日活芸術学院在学中、2000年公開の映画『トワイライトシンドローム〜卒業〜』に演出部見習いとして参加。2010年放送の『TAXMEN』『宇宙犬作戦』で監督デビュー。ウルトラマンシリーズへは、2001年の『ウルトラマンコスモス』で助監督として初参加し、『ウルトラマンR/B』『ウルトラマンデッカー』ではメイン監督を務めた。
X(旧Twitter)■@takezou9696
『ウルトラマンオメガ』毎週土曜日午前9:00~テレ東系ほかにて放送中!

『ウルトラマンオメガ』は14言語対応(予定)で全世界同時放送&配信中! 宇宙観測隊の使命を思い出し、姿を消してしまったオメガ。地球は、オメガは、ソラトとコウセイはどうなるのか? 最後まで目が離せない!
ウルトラマンオメガ
[キャスト]近藤頌利●吉田晴登●工藤綾乃●山本未來 ほか
[スタッフ]メイン監督:武居正能●シリーズ構成:根元歳三、足木淳一郎●製作:円谷プロダクション、テレビ東京、電通
「宇宙船 vol.191」に『ウルトラマンオメガ』情報&インタビュー掲載!
12月27日(土)発売の「宇宙船 vol.191」には『ウルトラマンオメガ』情報と、近藤頌利、吉田晴登、工藤綾乃の座談会を掲載! メインキャスト3人が賑やかに作品を語っている。こちらも見逃せない!
©円谷プロ ©ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京
























