HOME記事キャラクターモデル『巡航追撃機 ブラスティー』キットPLAMAX「ブラスティー」を形状調整や塗装で当時の読者が作りたかった姿に近づける!【サンライズメカニック列伝】

『巡航追撃機 ブラスティー』キットPLAMAX「ブラスティー」を形状調整や塗装で当時の読者が作りたかった姿に近づける!【サンライズメカニック列伝】

2025.12.12

サンライズ・メカニック列伝 第76回/SPEX-07 ブラスティー【マックスファクトリー】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2026年1月号(11月25日発売)

前ページに戻る

田仲正樹製作「ブラスティー」ポージング例2

[腕部]

田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中腕部
「ブラスティー」素組み腕部
田仲正樹製作「ブラスティー」腕部

 高機動フォーメーション用の可動腕は伸縮ギミックをオミットし、ヒジ関節を市販の球体ジョイントとHIPS樹脂製キャップで作り直して横ロールを可能に。おなじみの設定画のポーズをとらせやすくしている。ヒジ関節横には芯を抜いたリード線でパイプを配した。各装甲表面のディテールは整理し、前腕の装甲には台形の切り欠きを設け、裏の空間はモールド入りのプラ板で塞いだ。前腕は適当な角柱状部品で延長している。

田仲正樹製作「ブラスティー」飛行形態
田仲正樹製作「ブラスティー」飛行形態横

[脚部(バイアス・ドライブ)]

田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中脚部
田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中脚部2
田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中脚部3
「ブラスティー」素組み脚部先端
田仲正樹製作「ブラスティー」脚部先端

 設定画の印象に近付けるためにC1部品とC2部品の合わせ目をくさび形に削り込み、脚部全体がより鋭角的でスリムに見えるように加工。C2部品前面にはプラ板を接着して削り込み、ディテールを整理した。つま先はキットのディテールと凹凸を逆にしているが「難しいのでおすすめしません」とのこと。ヒザ前面の主翼は設定画風に形状変更。太モモ側面装甲はネオジム磁石による脱着式とし、フォーム変更時に差し替える際の負荷を減らしている。「E6部品のピンは半分くらいの長さに切り、表面を削って細くしておくと折れにくくなります」とのこと。

[ビークマヌーバー]

田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中ビークマヌーバー
田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中ビークマヌーバー2
田仲正樹製作「ブラスティー」製作途中ビークマヌーバー3
「ブラスティー」素組みビークマヌーバー

 先端部と後部フィンはプラ板を接着して削り出し、設定画風に形状変更。先端は脚部と同様にキットと凹凸を逆にしているが「おすすめしない」とのこと。左側面に付くセンサーは円盤部を1/100ザクウォーリアのビーム突撃機銃の弾倉をリーマーでくりぬいたもので大型化し、ミストロットコレクションシリーズに付属のミストロットに貼る透明部品から切り出したレンズ状パーツをはめ込んでいる。センサー基部ブロック側面の円筒はHGUC ガンキャノン(No.190)の背部ロケットを被せて大型化した。

田仲正樹製作「ブラスティー」ポージング例3
田仲正樹製作「ブラスティー」飛行形態後方

■あの頃ありふれた僕たちの歌
「管理社会と戦うストーリーの面白さ、鈴木雅久先生のシャープなタッチで描かれる、親しみやすいキャラクターと斬新なメカの魅力…それらは認める。だが『ブラスティー』は好きになれない」…当時の私は周囲にそう話していました。理由は1つで、「模型誌の連載なのに、自作するのは難し過ぎるしキットもないので作れないから」。「作例というのは、読者がそれを参考にして自分も作るために載っているものじゃあないのか? これだけのものを見せておいてこっちはどうしようもないって、ほとんど嫌がらせに近いぞ」…そう思っていました。やがて発売された粗不備ならぬソフビキットも完成させるのは至難の業だと誰もが直感できる内容で手が出せず、私と『ブラスティー』の間には深くて暗い何かが存在し続けていたのです。…が、待ちに待ったプラキットの登場により、このたび和解が成立しました。そして次にすべきは、僭越ながら当時の読者の代表として作例を作ること。キットは新規の設定を元に設計されており、形状やディテールが過去の画稿とかなり異なっていますが、本作例はコントローラーのことを常に「コントラー」と略しているサンライズメカファンのみなさん(と私)が「あの頃に欲しかったブラスティー」に1ヵ月で可能な限り近付けることを目標としました。
 まず、搭乗者が美人のお姉さんとその辺の高校生なので、少し華奢で隙もあるようなイメージが欲しいと思い前腕を延長、脚部は前後に幅詰めして細く加工。ヒジ関節はロールできるように加工すると、おなじみのあのポーズをとらせやすくなります。後頭部、レドーム、つま先、翼等は設定画風の形状に作り直し、新たに追加されたディテールは少々整理しました。ヒザ関節のE6部品は先端のピンをC7、C8部品の溝から外れない程度に短く削り、溝には模型用ワックスを塗っておくとよいでしょう。また、太モモのカバーを取り付けるアーム(E3部品)がねじれそうだったので、作例ではネオジム磁石による接続に変更して着脱時の負荷を軽減させています。付属のベースはアームの可動部がネジ止め式で、各フォームのブラスティーをしっかりと固定できますが、「ここにメカの名称ではなく作品のタイトルロゴがモールドされていると、他の機体がキット化された時に並べにくくなる」と考えて、正面のロゴを削ってプラ板を貼っています。
■白色チェイサー
 月刊ホビージャパン1987年5月号掲載のカラー画稿と、1987年1月号表紙の千葉延雄さんによる作例を参考に塗装。ゲーム版風のカラーリングにしても面白いと思います。
本体=クールホワイトに関節と装甲のグレーを各少量
関節等=自作の青紫系グレー
腕部装甲と脚部のグレー=自作の赤紫系グレー
ラインの青=フタロシアニンブルー+コバルトブルー
 ラウンドグローブは自作のミディアムブルー。額やつま先はモデナイエロー1+本体色。ヒザのオレンジはハーマンレッド+ダグラムレッドにオレンジとピンクを各少量。レドームのレンズはクリアーグリーン+クリアーブルー。付属の水転写式デカールはやや控えめに貼り、「ここは白じゃなくて黒がいいな」というものがあったので、部分的に「HJモデラーズデカール コーションA」を代わりに使用。このシリーズは(開発のお手伝いをしているから言うわけではないですが)なかなか使い勝手がいいですよ。
 次回は出渕裕先生デザインのあの人気メカの作例が登場します。

田仲正樹製作「ブラスティー」

マックスファクトリー ノンスケール プラスチックキット“PLAMAX”

SPEX-07 ブラスティー

製作・文/田仲正樹


サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編発売中!

サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編 表紙

古今東西のサンライズメカ作例集、待望の第2弾! 多彩な作品から30体以上が参戦!

 ホビージャパン本誌にて連載している「サンライズ・メカニック列伝」のムック化第2弾です。『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』などコーナーのレギュラー作品に加え、『太陽の牙ダグラム』『疾風アイアンリーガー』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、魅力的なサンライズ作品から幅広くメカ作例が集まっています。コーナー中のディープな工作&解説テキストも含めた再録に加え、設定画も追加掲載。『機甲戦記ドラグナー』より、単行本だけの作り起こし作例も予定しています!

購入はこちら

©サンライズ

1 2
この記事が気に入ったらシェアしてください!

田仲正樹(タナカマサキ)

PAGE TOP
メニュー