HOME記事アニメ・ゲーム【試し読み】出渕裕ロングインタビュー第3弾! OVA『New Story of Aura Battler DUNBINE』&もしも話を貴重な資料とともに激白!!【サンライズロボット研究所 研究報告】

【試し読み】出渕裕ロングインタビュー第3弾! OVA『New Story of Aura Battler DUNBINE』&もしも話を貴重な資料とともに激白!!【サンライズロボット研究所 研究報告】

2025.11.14

サンライズロボット研究所 月刊ホビージャパン2025年12月号(10月24日発売)

出渕裕インタビューサムネイル3

 出渕裕さんのインタビュー企画、最終回の第3弾をご覧いただきたい。1988 年のOVA『New Story of Aura Battler DUNBINE』に関するお話と、仮にオーラ・バトラーという題材に再挑戦するとしたら──という「IF」の作品構想をお聞きした。

(文:谷崎あきら、取材:五十嵐浩司)


「無謀」だけど「見たい」

──出渕さんは、1988年のOVA『New Story of Aura Battler DUNBINE』にも関わられています。

 デザインのほうだけですけどね。本編の内容にはそれほど関与してはいません。現在でいう「転生もの」ですよね。ショット・ウェポンだけは本人ですけど、あの時死んじゃったショウやリムル、ガラリヤやバーンが、違う時代のバイストン・ウェルに落ちてきて、また同じことを繰り返す、みたいなのをやった。まあ、作品としては鬼っ子みたいな感じでしょうか。なにげに、一緒に落ちてきたのであろう空母をお城にしたりとか、米軍の車両をベラーナが使っていたり、そういったほのかなリンクはありましたけど、基本的には別個のお話だと思っています。テレビシリーズからの続投は、ほとんど僕ひとりだったかと思います。他は音響の藤野貞義さんくらい。そういうケースって、なかなかないですね。富野(由悠季)さんが参加していないのは仕方がないとしても、湖川(友謙)さんたちビーボォーの面々もいないし、今回は脚本も五武冬史さん、監督は滝沢敏文さんがやっている。音楽も坪能克裕さんから小六禮次郎さんにバトンタッチ。すべてが変わっていくなかで、なぜひとり残ったかというと、滝沢さんが監督を打診されたときに、『AURA FHANTASM』の1冊目のムック(B-CLUB SPECIAL「Aura Battlers」)を見たらしく、「これをやりたい」とおっしゃられたそうなんです。いや、無謀だと思いますよ(笑)。あれをプラモデルでは再現できないっていうのと同じです。作画で動かすことを考慮して描いてはいないわけですから。むしろ「アニメでは不可能だよね」っていうところを狙っているので。ただ、当時公開された『風の谷のナウシカ』の映画で、王蟲をハーモニー処理で動かしていましたよね。滝沢さんとしては、「あの手法でやりたい」「ああいう感じでできないか」と。王蟲は虫だから、ちょっとずつズラしていけば何とかなるんですけど、手足のあるものをそうやって動かすのは難しいはず。でも、見てはみたいじゃないですか。どうなるのかな、と。デザインを提供する際も、「そういう処理をするからアニメ的に描かなくてもいい」っていうニュアンスでオーダーがあったような気がします。結果、ああいう映像になり、一部では紙芝居と揶揄されることに(苦笑)。それでも一瞬、作画で動くパートがあるんです。あそこは良いんですよ。やっぱり作画でやったほうが、作画用にもっと線を整理した設定を起こしたほうがよかったのかなと、今でも思います。

──これも『AURA FHANTASM』に触発された作品のひとつと言えますね。

 ビジュアル面ではそうですね。サーバインという名前は、ダンバインの企画段階での名前なんです。富野さんも、最初はサーバインという名前でやろうとしていた。それを拾わせてもらっています。

──機会があれば、また『ダンバイン』に携わりたいと思いますか?

 死ぬまでに、もう一回くらいやってみたいですけどね。今だったら、CGでかなりの表現ができるので。こういう複雑なデザインや質感って、CGのほうが向いていると思うんです。手描きでは限界がある。その一方で、『AURA FHANTASM』的なものとは違う方向性でやり直すっていう手だってあるんですよ。とはいえ、やるのが難しい作品であるのも間違いないところで。ベタに考えると、新たな主人公がバイストン・ウェルに落ちて、最終的にまた地上に還るっていう同じような話になるんでしょうけど、今は転生ものがたくさんあるから、それ自体にはそんなに目新しさもない。そもそも同じことをやっても意味がないでしょうしね。『AURA FHANTASM』をやっていた頃のように、純粋なハイ・ファンタジーとして、向こうの世界だけで完結すればいいじゃないかと思っていた時期もあったけれど、それもけっこう厳しいと思う。『ロード・オブ・ザ・リング』みたいな作り込み方は、なかなかしんどいし、バイストン・ウェルは魂の安息地という、ちょっとスピリチュアルな要素もある独特の世界だから。富野さんが作った世界であることも含めて、アプローチの仕方が難しい作品なんです。でも、……



再挑戦するなら
永続性のある意匠

続きは「月刊ホビージャパン2025年12月号」に掲載!
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