『戦闘メカ ザブングル』の「ドラン・タイプ」をHG化に先駆けて半完成品キットを現行キットのレベルまで引き上げる! ディテールアップ&可動機構の強化に注目!!【サンライズメカニック列伝】
2025.11.11サンライズ・メカニック列伝 第75回 ドラン・タイプ【BANDAI SPIRITS】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2025年12月号(10月24日発売)
[腕部]
キットは肩と上腕が左右とも同じ形状だが、作例は設定画に合わせて右腕の形状を調整。上腕のロール機構と手首関節は後ハメ化を兼ねてポリキャップを内蔵させた。右腕のロケットランチャーは肉抜きを埋め、弾頭を追加し、可動部の塗膜が剥がれないように加工。左マニピュレーターは肉抜きを埋め、2本がつながっているツメを分割し、根元に真鍮線を入れて1本ずつ動かせるようにした。ヒジ関節はキットの機構をそのまま活かしたが、「ヒジとヒザの軟質樹脂部品は経年劣化で使えない可能性があります。その場合は、可動範囲が狭くなりますが適当な関節を移植するか、固定しましょう」とのこと。
[トラッド11・タイプ(ファットマン搭乗機)]
「ブラッカリィと並べたいWM」と言えばこの機体。スーパーミニプラで製作した。コクピット周りのフレームは1/144キットのものを流用してシャープ化し、真鍮パイプ製のキュサ81mmロケットランチャーをほぐしたリード線で固定した。胴体は肩の後ハメに分割位置を変更。各部の甘めのモールドやステップ類は市販パーツと金属線に置き換えた。上腕には横ロール機構を追加。正装のファットマンはMGキットに付属の適当なフィギュアを加工。帽子やマフラーは保湿ティッシュを瞬着で固めて形作った。
■WM作例補完計画(第3回)
ヤゴと岩田屋が好きな(それはドランじゃないだろ)サンライズメカファンのみなさん、HG ブラッカリィは製作されていますでしょうか。私はまだ入手できていないのですが、完成させたブラッカリィの隣には絶対ドラン・タイプを並べたい! という気持ちはみなさんと変わりません。そこで今回は、「高確率でニューキットが登場するおまじないシリーズ」最新作として、超合金魂ウォーカーギャリア同梱のドランを製作しました(そして早くもおまじないの効果があったようです)。
キットは胴体や脚などの一部パーツが組み立て済みで、部分塗装も施された半完成品。フォルムは設定画や劇中作画に忠実でたいへん良好、可動範囲も十分に広く、1/144プラキットシリーズを意識したデザインのパッケージも嬉しい良作です。ただあくまで「トイ」ですので、ディテールやエッジの甘い箇所や大胆な肉抜きも存在します。また、関節機構が全体的にシンプルなため、飾る際にポーズが微妙に硬くなってしまうのも気になります。そこで本作例では、キットのフォルムとパーツ形状を最大限活かしながら関節の刷新と各部のシャープ化を行い、HGキットやスーパーミニプラのWMたちと並べた際に違和感が生じないものにすることを目標としました。まずは組み立て済みの部品を分解し、瞬間接着剤と流し込み接着剤(ABS樹脂を接着できるもの)で合わせ目を処理。腕と脚の部品は特に材質がやわらかく、プラとソフビの中間という感じで傷も付きやすいのでご注意ください。股関節と足首関節はボールジョイント化し、上腕、太モモ上部、手首関節にはポリキャップを内蔵させて強化。ローター上部のラインは本編に描かれているカットがありますが(原画を描く際に入れた補助線のようにも見えます)、今回は設定画に合わせて消しました。ツメ周辺の可動部は塗膜がすごい勢いで剥げるので、全塗装する場合は加工が必要です。ヒジとヒザの関節はキットの部品を使うしかないのですが、手持ちの2機のうち、未製作のものは経年により軟質部品に亀裂と割れが生じていて使えず…。組んであったほうの関節が無事だったので助かりました。このキットをマウンテンサイクルに積んでいる方は、一度確認してみてください。
■意外にピンクが似合うと思う
日本サンライズ刊「戦闘メカ ザブングル記録全集3」と、講談社刊「テレビマガジンロボット大全集8 戦闘メカ ザブングル」のカラーページを参考に塗装。資料によって色味が異なり、特に腕と脚の青はほぼ紫だったり、緑系の青に近かったりするので、好みで塗ってください。本編の白い機体を寒冷地仕様と考えて、他のイノセント側WMに合わせた色で塗ってもよいと思います。
青=ガイアカラーのコバルトブルーに純色シアンと純色バイオレットを各少量、クリアーレッド微量
白=クールホワイトに本体青、ブルーFS15044、純色バイオレットを各少量
マニピュレーター等=自作の青緑系グレー
頭部キャノピーはクリアーイエロー。ホバーノズルは焼鉄色+シルバー。髙荷義之先生のイラスト風にダークイエローで塗装した作例も必ず製作しますので、どうか気長にお待ちください。
次回は変形して飛ぶ主人公メカの作例が登場します。

BANDAI SPIRITS “超合金魂” GX-35 ウォーカーギャリア使用
ドラン・タイプ
製作・文/田仲正樹
「サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編」発売中!
古今東西のサンライズメカ作例集、待望の第2弾! 多彩な作品から30体以上が参戦!
ホビージャパン本誌にて連載している「サンライズ・メカニック列伝」のムック化第2弾です。『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』などコーナーのレギュラー作品に加え、『太陽の牙ダグラム』『疾風アイアンリーガー』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、魅力的なサンライズ作品から幅広くメカ作例が集まっています。コーナー中のディープな工作&解説テキストも含めた再録に加え、設定画も追加掲載。『機甲戦記ドラグナー』より、単行本だけの作り起こし作例も予定しています!
ⓒ 創通・サンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
「HG ドラン・タイプ発売だけでも嬉しいけど、一番欲しかったブラン・タイプが付くのでもっと嬉しい」とのこと。
























