全日本模型ホビーショーでARTPLA新作“怪獣”造形解禁!仕掛け人の松村しのぶ氏を直撃インタビューを掲載【海洋堂】
2025.10.07海洋堂のプラスチックモデルキット・ARTPLA(アートプラ)情報を紹介する当コーナー。前回に引き続き、今回もARTPLAに関わるクリエイターをご紹介。
ARTPLA新作“怪獣”造形解禁間近 仕掛け人の松村しのぶ氏を直撃!
海洋堂が誇る造形作家として、ARTPLAシリーズでも複数の原型を提供している松村しのぶ氏。10月18、19日開催予定の全日本模型ホビーショーで解禁予定の、ARTPLA新作“怪獣”の原型も氏が担当するという噂を聞きつけた編集部がインタビューを敢行。「まだ新作についてはお答えできないのですが……」と断りを入れつつも、意気込みやこれまでのお仕事を情熱的に語ってくれた。

松村しのぶ (Shinobu MATSUMURA)
1962年山口県生まれ。哺乳類、爬虫類、虫類、魚類や恐竜などなど、あらゆるいきものへの深い造詣を持つ、生物造形とイラストの第一人者。99年に発売されたチョコエッグ「日本の動物コレクション」にて、その名を日本中に知らしめた。膨大な知見に裏付けられた生態や特徴を踏まえたリアリスティックかつ生命力溢れるフィギュアは、国内外で高い評価を獲得。過去にニューヨーク自然史博物館に恐竜復元モデルを提供した実績からもその実力がうかがえる。数多の生物フィギュアとともに、その造形力を活かしたオリジナルのドラゴンや、「エヴァンゲリオン初号機」なども代表作。
<代表作をピックアップ!>
編集部チョイスで松村氏の過去作をご紹介。虫、恐竜、かわいい動物、UMA何でもござれ!
<MINI INTERVIEW>
ー最近はデジタルモデリングで造形されているそうですが、いつ頃からデジタルに切り替えられたのですか。
松村 デジタル造形を始めたのは6年くらい前で、海洋堂の中でも早かったですね。ヘタに練習期間を設けるより実践で学んだほうが早いと判断して、まずスキャンした旧作品「エヴァンゲリオン初号機」の改修から始めました。最終的に自分の思い通りのものができればいいと考えているので、自分にとってデジタルか粘土かはまったく関係ないです。
ーデジタルモデリングのメリットは。
松村 サイズを気にせずに始められること、複数バージョンの試作・検討が可能なこと、異なるタイプの造形物の同時進行や、中断していたものの再開も容易なことですかね。半面、必ずしも画面上のバランスやディテール感通りには出力されないこと、出力サイズによってディテールの密度感がかなり異なるので、ある程度出力想定サイズに見合った造形をする必要があることとかはデメリットかもしれません。
ー原型製作の作業環境を教えてください。
松村 使用ソフトはZBrushです。他、仮出力や個人造形用に3Dプリント用機材(Saturn3 Ultra他)一式です。前述のとおり、出力してみないとわからないことが多いので3Dプリント環境はあったほうがよいと思います。
ーご自身の代表作と思うものは。
松村 ひとつに絞るのはなかなか難しいですが、デジタル造形に慣れた頃の「ナイルワニ」あたりから、自分のやりたいことがデジタル画面で表現でき始めたと思います。
ー動物系はフォルムに忠実に造形されている一方で、怪獣造形では撮影用スーツに忠実に作るというよりも、ご自身の解釈も一部盛り込んでいるように見えます。
松村 僕にとって撮影用スーツだけが「実物」ではないからでしょうね。劇中で語られる設定や映像表現、ポスターやスチールのイメージから、こう表現したいなという思いが漠然とあって、造形ではそれを再現する感じです。ですから別にわざといろいろ弄っているわけではありません(笑)。実は動物や恐竜造形でも同じことをやっていると思っているので、特に作り分けをしている感覚はないんです。
ーARTPLAゴジラの造形には凄みを感じました。松村さんのお仕事といえばどちらかといえば実在する生物のイメージがあったのですが、ゴジラもお好きなんですか?
松村 僕は怪獣ブーム世代なので当時は周りに無数の怪獣・怪人が溢れていて、出来も子供から見ても玉石混交状態、ゴジラも別格というよりそのうちのひとつ、といった感じでした。それでも当時、好きな怪獣はゴジラ、ガメラの2トップに加えていくつかのウルトラ怪獣……他にもたくさんいましたが、さすがに今作りたいな、とまで思うものは少ないですね。世代的なこともあってゴジラに対して恐怖や凶暴性は特に感じないのですが、製作する際にはそれぞれの作品のキャラクター性に合わせた造形をしている感じです。
ーいちばん好きなゴジラは?
松村 好きなゴジラ映画は『怪獣大戦争』と『怪獣総進撃』。大戦争ゴジラがいちばん好きでカッコいいゴジラだと思っていて、それは今も上書きされていません(笑)。他と比べて……とかそういうことではないんですよね。『(大怪獣空中戦)ガメラ対ギャオス』もそれらに並ぶ一本です。
ー最後に、今後のARTPLA怪獣シリーズでは、どんな怪獣を作ってみたいですか?
松村 今後の展開については、広い世代に手に取っていただきたいと思っているので僕的には良い「絵」になれば新旧どんな怪獣でもOK、という感じです。プラモデルは金型の制約もあり生物的なものの再現は得意ではない一方、その他のさまざまなストラクチャーをカッチリと成型できる強みもありますので、それらを活かしたたARTPLAでしか表現できない造形世界を展開したいですね。そのためにもデジタル造形は必要不可欠な手段だと思っています。
ーありがとうございました。
(2025年8月末に取材)
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