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【コードギアス 新潔のアルマリア】ep10「なんだかいやな予感がする」

2025.10.05

コードギアス 新潔のアルマリア●長月文弥 月刊ホビージャパン2025年11月号(9月25日発売)

コードギアス新潔のアルマリア10話top画像

『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語

 『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。広州郊外の廃れた漁村にあるオルフェウスの拠点に突如、揚陸艇が接舷、サザーランド部隊が次々と上陸してきた。いち早く撤退を決断したオルフェウスだが、サトリが新月を駆り、ひとりで迎撃に向かってしまう……。

STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
ナイトメアフレーム新月モデル製作 おれんぢえびす
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部


ep.010『なんだかいやな予感がする』

 広州郊外の廃れた漁村にある廃ビル。オルフェウスが拠点としているビルのトラックヤードの端にサトリは膝を抱えて座り込んでいた。その脳裏に思い出されるのは、先ほどのハクバとのやり取り。


「グラナードは、私の目の前でパパを殺した奴なんだよ? そんな奴を放っておけるわけないじゃない!」

「落ち着け。俺たちの使命は人々の平和を脅かす脅威を排除することだ。私情をはさむべきじゃあ……」

「私情? そんなのハクバに言う権利ある ハクバはこの仕事自体が復讐みたいなものじゃない!」


 ハクバの悲しみを湛えた瞳が頭から離れない。


「めちゃくちゃいやな言い方。ハクバの気持ち、知ってるのに私……」


 顔を自分の膝に埋めると、近づいてくる足音が聞こえる。振り返ると、そこにはマリーベルが柔らかい微笑みを浮かべていた。


「マリーさん……」

「ごめんなさいね、私で」

「ううん。今はハクバにもドクにも顔向けできないから、マリーさんでよかった」

「ふふっ、隣に座っても?」

「あっ、はい」


 サトリが膝を下ろしてトラックヤードのプラットフォームに腰かけると、マリーベルがその隣に腰を下ろす。


「……」


 マリーベルは無理に話を聞こうとはせずに柔らかい笑みを浮かべたまま。そんなマリーベルにサトリはつい口を開いてしまう。


「マリーさん」

「はい」

「マリーさんも私のこと、ヤな奴だって思ったよね。あんな言い方して」

「いいえ。思っていないわ。それだけお父様はサトリさんにとって大切な人だったのだとわかるから。でも、ハクバさんも……」

「ええ。ハクバも大戦の時に奥さんと娘さんを失くしているの」

「奥さんと娘さんを……」

「前に教えてくれたんです。子供たちを娘さんのように戦いの犠牲にしたくないって。ひとりでも多く助けたいんだって……」

「優しいひとなのね」

「はい。それなのに、私は復讐みたいなものだなんて……」

「それならなおのことよ。ハクバさんもあなたを酷い人間だなんて思っていない。それどころか、心配しているはず。そうでなければあんな言い方はしないもの」

「そうですよね……。わかってるの。ハクバが私のことを心配してくれていることは……」

「なら……」


 サトリの様子を見て、ハクバのもとに戻るよう促そうとするマリーベル。しかし……。


「でも!」

「サトリさん?」

「でも、私はグラナードを許せない。パパを殺したグラナードだけは! 優しかったパパを……」


 父セヴェリの優しい笑顔を思い出すサトリ。


「グラナードはあんなに殴って……」


 最愛の父を殴り続けるグラナードの悪辣な顔を思い出すサトリ。


「殺した!」


 サトリの脳裏には、執拗に殴打され続けた父の姿がこびり付いて離れない。


「グラナードだけは私の手で……!」

「サトリさん……」


 涙で視界がぼやける。しかし、サトリはそのぼやけた視線の先に、不審な光を捉える。サトリには、それがサザーランドのファクトスフィアの光だとわかった。


「グラナードの部隊……?」


 咄嗟にそばに駐機されている新月を見やるサトリ。ポーチから新月のスペアキーを取り出す。



 ハクバたちのいる2階フロアでは、ドクのタブレットがナイトメア接近のアラームを鳴らしている。


「ナイトメアの部隊……。オルフェウス、グラナード以外の心当たりは?」

「今はないな」

「だとすると、目的はイワンだろうな」


 この拠点の主であるオルフェウスに心当たりがないのなら、接近してくるナイトメアの目的はイワンしかない。


「オルフェウス、あんたにイワンを任せる。ドクはサトリを連れてオルフェウスと一緒に行け。俺が新月で時間を稼ぐ」


 ハクバがさっき会ったばかりのオルフェウスを信用していることに少し驚くドク。しかし、オルフェウスはハクバの意図を汲んでいるらしい。


「いいのか?」

「理屈はわからないが、奴らはこっちの動きを察知している。拠点が把握されている可能性がある以上、下手に迎撃するよりも逃げたほうがいい」

「では、ポイントC3P448で落ち合おう」

「了解だ。よし、すぐに……」

「大変よ!」


 それぞれ行動を起こそうとするハクバたちのもとへマリーベルが駆け込んでくる。


「マリー、わかっている。ここが割れたらしい」

「そうだけど、そうじゃないの! サトリさんがハクバさんのナイトメアで……」

「何だって!?」


 窓に駆け寄るハクバ。新月が生垣を越えて海に向かっていくのが見える。


「くそっ!」

「ハ、ハクバ、どうするの?」


 想定外の事態にドクも焦りが隠せない。


「プランに変更はない。お前はオルフェウスたちと行くんだ。俺もサトリを連れてC3P448に向かう」

「でも、ナイトメアもなしで……」

「それぐらい何とかなる。ほら、早く」


 ハクバはドクの背中を押すと、窓から飛び降りてサトリの乗る新月を追う。

ⒸSUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design Ⓒ2006-2017 CLAMP・ST

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