『ウルトラマン』他 桜井浩子氏、『仮面ライダー響鬼』渋江譲二氏、『牙狼<GARO>TAIGA』雨宮慶太監督登場! 「特撮アーカイブ」トークショーレポート【スーパーフェスティバル92】
2025.10.10『仮面ライダー響鬼』イブキ役 渋江譲二氏トークショー
続いて登壇したのは、20周年の『仮面ライダー響鬼』でイブキ/仮面ライダー威吹鬼役を演じた渋江譲二氏だ。『響鬼』の話はもちろんのこと、その前に出演していた『美少女戦士セーラームーン』の話も!
渋江氏が俳優を目指したきっかけはテレビっ子だったこと。「テレビの業界を目指したいなと思って、とりあえず八王子にある日本工学院っていうスタッフを育てる学校に入ったんです。その学校でテレビ番組を撮る実習授業があって、外部から演者さんを呼ぶんですけど、そのときに「やりたいのはあっちだな」と思ったのがきっかけです。当時隣の席に座ってたヤツに「事務所に入ろうと思うんだけど」って誘われて、一緒にいろんなところに履歴書を送って入ったのが最初の事務所でした」
その後『美少女戦士セーラームーン』で俳優デビューを果たした渋江氏が次に受けたオーディションが『仮面ライダー響鬼』だった。「東映作品に2回連続で出るってあんまりないですよね。髙寺プロデューサーの中に多分もう明確に役のイメージがあって、選んでいただけたんだと思います」
『セーラームーン』地場衛、『響鬼』イブキのように若い頃は爽やかでクールな役を演じることが多かった。「あと僕、昔からお金持ちの役が多いんですよ。当時は実家が太くていいヤツ。で、今は金持ちで嫌なヤツに変わってきてます(笑)」
イブキはトランペットで戦う鬼だったが「家族で唯一楽器ができないんですよ。母がピアノ教師で、兄弟も吹奏楽をやっていて。僕もピアノを嫌々やってたんですけど、全然身につかなかったんです」という意外な話も明かされた。
イブキの役作りについて聞かれると「当時はまだ右も左もわからない状態で、役作りっていうレベルのことをした記憶がないですね。2回目の登場の石田(秀範)組で役の感じがガラっと変わったんですよ。もっとゆっくり喋って、とか……だから今見ても初登場とそれ以降でキャラクターが乖離してるんですよね。もうほぼ素人だったので、現場では「はい」「すいません」しか言ってないみたいな。監督方の指示のおかげでやれていた感じです」と話す。
ここで毎回恒例、鈴村展弘監督が登場。鈴村監督と渋江氏が出会ったのは『響鬼』よりも前、『美少女戦士セーラームーン』の頃だ。「最初タキシード仮面の仮面がアクリルっぽい光沢がある感じで、作り直しましたよね」「6話くらいで早々に変わりましたよね、なんの説明もなく(笑)」「アニメなら許されるけど実写だと……って感じだったからね」。そんな仮面の視界は良好だったそうだが、衣裳での苦労は他にもあった。「真夏の撮影で、エンディミオンの衣裳の上にさらに黒いのを着て、光るからバッテリーが入ってるっていう暑い衣裳でアクションしなきゃいけなくて……後にも先にも身体的にはいちばんキツかった仕事かもしれないです(渋江)」
「『セーラームーン』ではアクションも吹き替えなしでほとんど本人がやらなきゃいけないから、大変でしたよね。ライダーは変身しちゃえば後は押川(善文・仮面ライダー威吹鬼役)がやりますから(笑)。セーラームーンではセーラー戦士含めて変身したら衣裳替え、メイク替えで1時間待ちなので、その間他のシーン撮って、とかやってましたね(鈴村)」
威吹鬼の変身アイテムである変身鬼笛・音笛はCSMでの発売が決定しているが、『響鬼』当時撮影に使われていたプロップはかなりアナログだった。「角の展開も手動で、手を振った勢いだけでやっていたので加減を間違えるとカタッ! て(笑)。だから何回か撮り直した記憶がありますね(渋江)」
シリーズでもやや特殊な作風の『響鬼』を撮るにあたって監督が気をつけていたことを聞かれると「設定が難しかったというか、いろんなところにこだわってましたよね。たちばなのセットとか魔化魍とか……だから新しいOP(鈴村が担当)に関東十一鬼を出すときも、もちろん十一鬼の着ぐるみなんかないので、既存のスーツをベースにして合成で作ったりしましたね」と答える。
また『響鬼』といえば鬼たちの顔だけ変身解除した状態も印象的だ。「当時、今より15キロくらい痩せてたんですよ。ガリガリだから、押川さんの体型に合わせるために中に肉襦袢を着てたんですよ。それでさらに暑いっていう(笑)(渋江)」
最後に渋江が「20周年らしいんですけど、なんか20年も経ってないような気がして……でも僕の芸歴もそれだけの長さになったんだなと思うと感慨深いです。それだけ長く愛される作品に携われたことを俳優としてすごく幸せに思っております。これからもずっと忘れないで応援していただければ嬉しいです」と締め、拍手で2本目のトークショーも幕を閉じた。