HOME記事特撮『ウルトラマン』他 桜井浩子氏、『仮面ライダー響鬼』渋江譲二氏、『牙狼<GARO>TAIGA』雨宮慶太監督登場! 「特撮アーカイブ」トークショーレポート【スーパーフェスティバル92】

『ウルトラマン』他 桜井浩子氏、『仮面ライダー響鬼』渋江譲二氏、『牙狼<GARO>TAIGA』雨宮慶太監督登場! 「特撮アーカイブ」トークショーレポート【スーパーフェスティバル92】

2025.10.10

 9月28日(日)東京九段下・科学技術館で「スーパーフェスティバル92」が開催された。毎回恒例、特撮レジェンドゲストを招くトークショー「特撮アーカイブ」は今回も豪華三本立て! 『ウルトラマン』フジ・アキコ役をはじめ数々の円谷特撮作品に出演している桜井浩子氏、『仮面ライダー響鬼』よりイブキ役の渋江譲二氏、そして劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』原作・総監督の雨宮慶太氏が招かれ、いつもに増して幅広い話が飛び出す時間となった。ここではトークの一部を写真とともにお届けしよう!


『ウルトラマン』フジ・アキコ役 他 桜井浩子氏 トークショー!

 はじめに登壇したのは『ウルトラマン』フジ・アキコ役を筆頭に数々の円谷プロの特撮作品に出演している桜井浩子氏。今回は9月に立東舎から発売された著書「ヒロインの追憶 ウルトラの絆」を記念して、『怪奇大作戦』『ウルトラマンマックス』の撮影時のエピソードを中心に、桜井氏ならではの新旧円谷特撮作品トークが展開された。

 桜井氏が貴重な経験談を記した「『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話: ヒロインの記憶」が発売されたのが昨年の6月。そこから1年3カ月と新著が発売された。「飯島(敏宏)監督たちが「活字で残しときなさい、桜井君」と言われたので、拙い文なんですけど生きてる間は頑張ろうかなと思って書きました」の言葉に観客は拍手喝采! 「飯島監督には「桜井君を通して円谷プロダクションの創成期、それから昭和のアナログの時代を残しておくとひとつの歴史になるかもしれないから書いておいた方がいいよ」って言われました。歴史になるかどうかはわからないんだけれど、化石のように生きておりますのでもうちょっと頑張りますよ」ということで、『ウルトラQ』『ウルトラマン』を除いたほぼすべての出演作の話題が網羅された本が出版される運びとなった。

 まず話題は本の表紙のカットにも使われている『怪奇大作戦』第4話「恐怖の電話」での実相寺昭雄監督について。「このシーンが何十年後に表紙になってTシャツにまでなるとはまったく思ってませんでした。やっぱり実相寺さんの切り取り方、シャープな絵柄は今日でも通用するんだなって」。フィルムの時代の撮影法としては異例なほど大胆な、カメラマンを信じていなければできない撮影法であった。「稲垣涌三さんってカメラマンなんですけど、稲垣さんと実相寺さんのせめぎ合いも面白かったんです。最初に実相寺さんがアングルを決めて芝居をするんです。で、本番になると稲垣さんがフレームをクッと下げるんですよ。そうすると実相寺さんが「カーット!」って止めるんです。「なんで下げたんだ」「この方が桜井さんの顔が謎めいて撮れる」って言うんですけど、フィルムの時代だから今みたいに撮影したものがその場で見られないじゃないですか。それで実相寺さんは不満げで……(笑)。でも結局最後には「稲垣さんの画がいい」っておっしゃってましたね」とリアルな現場の様子が伺えるエピソードが飛び出した。
 『怪奇大作戦』では固定ではなくカメラを移動させ延々と役者を追い掛けて撮るというフィルムの時代では非常に珍しい撮影方法もとられていた。「岡持ちなんですよ、あれ。岡持ちで360度ぶっつけ本番で。(カメラのモニターは撮影中は)覗かない。最初だけ稲垣さんが覗いて、後は岡持ちに乗せてうーって撮って、「はいOK」って。だからブレてるところもあると思いますよ」「今はいろんな技術があっていい映像が撮れるけど、昔はアナログでしたからね。でもアナログの時代の面白さもあるんですよ。岡持ちもカメラクルーが手で作ってたんですよ。カメラが動かないようにガムテープでぐるぐる巻きにして……そんなだったから、本番まではちょっと時間かかりましたね」

 そして話題は桜井氏がヨシナガ教授役で出演していた2005年放送の『ウルトラマンマックス』へ。「黒部進さん(トミオカ長官役)とコンビで出してもらったんですけど、初日に黒部さんと「こういう役僕たちもやるようになったんだね。これで円谷さんにご恩返しできるね」なんて話していたんです。でもご恩返しどころじゃないの、大変で! セリフがものすごい難しいんですよ。江川宇礼雄さん(『ウルトラQ』一の谷博士役)とか平田昭彦さん(『ウルトラマン』岩本博士役)も当時、ものすごく膨大で難しいセリフをずーっと唱えてたんですよ。でも一回もNGを出さないんです。私たちはNGの出し合いっこをしていました(笑)。ものすごい難しいですね、博士の役は。専門用語だから息継ぎができなくて、次のセリフを思い出す隙がないんです」

 時代を超えて円谷特撮作品に出演している桜井氏が変化を実感したことは「セットのモダンさ」。「DASHの本部があって向こうにエリーがいて広いんですよ。左の端にカウンターがあって、そこにコーヒーコーナーがあるの。あれが羨ましかった! 昔のセットはほんとに本部だけだったんですよ。でもDASH本部はコンパクトにいろんないいものがあったんですよ」。「『マックス』は新しい人たちと一緒にやって、違う道が開けたかなという感じがありますね。やっぱり昭和とは全然違いますから、撮り方が」

 最後に桜井氏から一言。「今日はちょっと難しい話になってしまいましたけれど、よろしかったらこの本をお求めになっていただいて「こんなもんかなあ、昭和は」と思っていただければ。あとはやっぱり監督たち、スタッフたちの思いも書いてありますので、そこも拾い上げて読んでいただけると嬉しいなと思います。この前の「ヒロインの記憶」と共に、ウルトラと円谷プロの歴史をお読みいただけるとありがたいです。今後ともウルトラをどうぞよろしくお願いします!」

次ページ:『仮面ライダー響鬼』渋江譲二氏のトークショーレポート!

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