HOME記事アニメ・ゲームアニメの歴史を変えた『宇宙戦艦ヤマト』とは?原点であるオリジナルシリーズの航跡を振り返る。【1974年~2009年】

アニメの歴史を変えた『宇宙戦艦ヤマト』とは?原点であるオリジナルシリーズの航跡を振り返る。【1974年~2009年】

2025.10.01

宇宙戦艦ヤマトの大航海【PART.1 オリジナルシリーズ】 月刊ホビージャパン2025年11月号(9月25日発売)

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宇宙戦艦ヤマトの大航海
【PRAT.1 オリジナルシリーズ】

 時に1974年10月6日──。『宇宙戦艦ヤマト』は始まった。アニメの歴史を変え、多くのクリエイターに影響を与えた不朽の名作を、まずはオリジナルシリーズから一望してみよう。

(構成・文/島田康治[TARKUS])


1974
宇宙戦艦ヤマト

放映期間:1974年10月6日~1975年3月30日
毎週日曜日 19時30分~20時/全26話/読売テレビ系列

宇宙戦艦ヤマト場面カット

 時に西暦2199年──。地球は謎の異星人・ガミラス帝国の侵略を受けていた。遊星爆弾により大地は焼け海は干上がり、青く美しい地球は赤茶けた姿へと変わり果てた。圧倒的な科学力を持つガミラスに対し、人類は為す術を持たなかったのである。

宇宙戦艦ヤマト場面カット6

 しかし絶望の淵に立たされた人類に、救いの手を差し伸べる者がいた。イスカンダル星の女王スターシャである。スターシャは、青い地球を復活させる力を備えた放射能除去装置「コスモクリーナーD」の用意があることを告げると、その装置を受け取るため片道14万8000光年にも及ぶ航海という試練を人類にもたらした。スターシャから受け取った波動エンジンの設計図を基に、人類は九州坊ヶ崎沖に沈む戦艦「大和」を、宇宙戦艦ヤマトへと改造。歴戦の勇将・沖田十三を艦長に、古代進ら若き宇宙戦士たちが乗り込んだヤマトは、人類最後の希望を担い、イスカンダルへと旅立つ。謎の敵・ガミラスの罠のみならず、想像を超えた大宇宙の驚異が、ヤマトの行く手を阻む。一方、地球の地下都市には刻々と放射能汚染が迫っている。人類滅亡まで、あと1年しか残されていないのだ──。

宇宙戦艦ヤマト場面カット3

 『宇宙戦艦ヤマト』は、それまで子供向けだった「テレビまんが」を広い世代が希求しうる「アニメ」として認知させた金字塔である。未知の宇宙に挑む冒険とロマン、登場人物たちの群像劇、そして圧倒的に「リアル」なメカニック描写──何より絶望的な状況を一目で伝える「赤い地球」のインパクトは、ハイティーンの視聴者を魅了したのである。独特の美学を備えた冷徹な支配者・デスラー総統も人気となった。しかし本放送当時はさほど話題にはならず、赤い地球に物言わず横たわる戦艦大和のように宇宙戦艦ヤマトには、しばし雌伏の時が訪れるのだった──。

宇宙戦艦ヤマト場面カット2
宇宙戦艦ヤマト場面カット4
宇宙戦艦ヤマト場面カット5
宇宙戦艦ヤマト場面カット7

1977
宇宙戦艦ヤマト 劇場版

公開日:1977年8月6日/東急・東映系公開
上映時間:130分

宇宙戦艦ヤマト-劇場版ポスター

 再放送を契機に人気が高まりヤマトのファン活動も全国各地で活発化。そうしたファンの声を背景に、TVシリーズの再編集版を劇場にかけるという構想が立ち上がる。長大なヤマトのストーリーをまとめるにあたり、沖田十三を中心とした物語に編纂。初公開時においては、スターシャがすでに死亡しているという衝撃の展開も用意された。当初は小規模な公開を予定していたものの、反響の大きさから全国ロードショーが決定。劇場に詰めかける若いアニメファンたちの姿はニュースとなり、最終的に興行収入21億円(この年の邦画の第9位)をたたき出す大ヒットとなった。ヤマトブームが始まったのである。


1978
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち

公開日:1978年8月5日/東映系公開
上映時間:151分

さらば宇宙戦艦ヤマト--愛の戦士たちポスター

 時に西暦2201年。大宇宙を新たな脅威が席巻していた──。その頃、青い姿を取り戻した地球にはハイカラな都市が建ち、人類は再び繁栄を極めていた。あのヤマトのイスカンダルへの大航海も過去のものとなっていたのである。そして古代が捕捉した脅威を報せるSOSを、地球防衛軍司令部は一蹴する。やむを得ず古代は独断でSOSの謎を探るため出航。空間騎兵隊や新艦長・土方を迎えたヤマトの旅が始まる。そしてSOSの主であるテレサの囚われたテレザートで脅威の正体──ズォーダー大帝率いる白色彗星帝国の存在を知らされるのだった。白色彗星は地球を目指している。地球へと引き返すヤマトに、あのデスラー総統が強襲する!! ヤマトに立ちはだかる白色彗星、都市帝国、そして超巨大戦艦……。永遠の愛とロマンをのせて、宇宙戦艦ヤマトは最後の旅へと発進する──。

さらば宇宙戦艦ヤマト--愛の戦士たち場面カット1

 大成功を収めた劇場版第1作に続いて製作された、完全新作となる劇場用映画。監督には実写映画の巨匠・舛田利雄が就任。新たな敵「白色彗星帝国」との激闘によりヤマトの乗組員が次々と倒れ、ヤマトすら最後には――という衝撃のストーリーは、劇場を埋め尽くすファンを号泣させた。アニメ映画の主題歌に人気歌手・沢田研二が起用されたことも大きな話題となった。観客動員数400万人、興行収入は43億円、配給収入21億円と、同年の邦画第2位を記録。ヤマトに始まるアニメブームは、社会現象となったのである。

さらば宇宙戦艦ヤマト--愛の戦士たち場面カット2

1978
宇宙戦艦ヤマト2

放映期間:1978年10月14日~1979年4月7日
毎週土曜日 19時~20時30分/全26話/読売テレビ系列

宇宙戦艦ヤマト2場面カット

 時に西暦2201年。ヤマトは古代進を艦長代理に、太陽系外周艦隊旗艦として辺境警備の任に就いていた。地球への帰還のさなか攻撃を受けたヤマトは、謎のエネルギー波を受信。しかし軍事力を過信する上層部は取り合わず、古代は独断で出航を決意。戦闘衛星や最新鋭戦艦アンドロメダをかわし、太陽系第11番惑星で空間騎兵隊を収容。新たな脅威・白色彗星帝国ガトランチスと戦いながら、ヤマトはエネルギー波の発信源であるテレザートへと向かう──。
 『さらば』を基に独自のストーリーを描いたTVシリーズ。テレサと島大介のロマンスや、彗星帝国内の人間模様、アンドロメダと地球艦隊の活躍が楽しめるのも、本作ならではの魅力。最大の変更点は、メインキャラの多くが生還するラストであろう。以後の作品群は、本作の世界線に連なるものとなった。

次ページ──新たなる旅立ち~復活篇

ⓒ東北新社/著作総監修 西﨑彰司 

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島田康治

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