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TVアニメ『遊☆戯☆王5D’s』フィギュア発売記念 宮下雄也(不動遊星役)×星野貴紀(ジャック・アトラス役)×木下あゆ美(十六夜アキ役)スペシャル鼎談インタビュー

2025.10.11

集え! 「遊☆戯☆王」シリーズアイテム! 月刊ホビージャパン2025年11月号(9月25日発売)

 フィギュアブランド「AMAKUNI」よりTVアニメ『遊☆戯☆王5D’s』のジャック・アトラスと十六夜アキが発売決定。主人公・不動遊星に続く立体化とあってファンの関心は高まるばかり。そこでフィギュアの発売を記念し、遊星役の宮下雄也さん、ジャック役の星野貴紀さん、アキ役の木下あゆ美さんに作品とフィギュアの魅力を語っていただいた。

(聞き手/河合宏之)


作品を愛する思いが不変的な人気につながった

──はじめに、皆さんはどのような経緯で『遊☆戯☆王5D’s(以下『5D’s』)』に参加されたのでしょうか?

宮下 僕はそもそも声優自体が初挑戦だったんです。オーディションには、すごいキャストの皆さんがいらして、「これは絶対アカンな」と。初めてのアフレコブースは「こんなに静かなんだ……」と感じて、いつもより緊張したと思います。オーディションでは遊星だけではなく、実はジャック役も受けたのですが、まったく手ごたえはありませんでした。受かるとは思っていなかったので、遊星役が決まったときは本当に驚きましたね。

木下 私はオーディションではなく、出演していた『スーパー戦隊』シリーズ(『特捜戦隊デカレンジャー』)がきっかけで声をかけていただいたみたいで。ですからお披露目のときにキャスト陣に初めてお会いして、とても緊張しました。

星野 僕は最初、ゴドウィン役でオーディションを受けたんです。ただ、そこで「こちらのキャラクターもちょっと読んでほしい」と言われたのがジャックでした。

木下 でも星野さんのゴドウィンも合いそう。

星野 今オーディションを受けたら、声の雰囲気的にもゴドウィン役だったかも。

──当時のアフレコ現場を振り返ってみると、どんなことが思い出されますか?

宮下 『5D’s』は大好きで何度も見返したくなるのですが、自分が下手過ぎて恥ずかしくなるんですよ……。やっぱり初めてのアフレコでしたし、ガッチガチに緊張していましたね。

木下 私は途中参加だったので、現場に慣れるまでは手探りで。ただ女性キャストが多かったので、雰囲気は明るかったですね。

宮下 今でも仲いいもんね。

星野 今は3年も続く作品はなかなかないからね。

木下 人数も多くてワチャワチャして(笑)。収録の合間に、スタッフさんも交えてよくランチも行きました。キャスト、スタッフ全員、仲が良かった作品でしたね。

宮下 3年間、毎週同じメンバーと会って過ごしていたわけですから、本当に学校という感覚でしたね。

木下 みんな忙しくて、最近は会えなくなりました。でも「遊☆戯☆王」シリーズはゲームやイベントで会う機会もあるので、関係がずっと続いているのはうれしいです。

──アフレコで苦戦した思い出はありますか?

宮下 口上は難しかった……。たしか口上は『5D’s』から始まったんですよね。

木下 だんだん声が嗄れちゃって。

星野 ディレクションでは「テストは頑張らなくていい」って言われていましたね。でもつい声が出ちゃうんですよ。

宮下 個人的には「波動竜騎士 ドラゴエクィテス」の「ィ」の位置が難しくて。このカードの言い方については、スタッフ陣のなかでも審議になって。

木下 でもイントネーションについては、星野さんやベテランさんが教えてくださったので助かりました。

星野 カードゲーム特有のイントネーションがあるからね。

宮下 星野さんはバーニング・ソウルのときに、右足がピッと延びるんですよ。かっこよくて好きなんです(笑)。

星野 今でもそうなんだよね(笑)。上半身を固めると喉にきちゃうので、下半身を固めるんです。

宮下 なるほど。たしかに「地に足をつける」といいますもんね。

──物語はサテライトとシティという格差のあるエリアをつなぐという使命がテーマの1つとなっていますが、現在の格差社会にも通じる物語でしたね。

宮下 そうですね。遊星は「立場なんて関係ない」というスタンスで、最初は拾ったカードで戦っていたじゃないですか? 「カードにも強いも弱いもない。使い方によって勝てる可能性がある」というのが面白さでした。シリーズのなかでも、その面白さを強調しているのが『5D’s』だったと思います。遊星はずっと一緒に戦ってきたカードで、最後まで貫くところが素晴らしい。僕自身は『遊戯王デュエルリンクス』では、めちゃめちゃ嫌なプレイヤーですからね(笑)。遊星から学ばないといけないことは、今でも多いと思います。

──『5D’s』のストーリーは冒頭から引き込まれます。自分を裏切った友から大切なカードを取り戻すために、戦いに望むわけですからね。

宮下 スターダスト・ドラゴンを盗まれたところから始まりますからね。本当に少年心をくすぐるストーリーだと思いますよ。

──3年という長期間の作品となりましたが、劇中でのキャラクターの変化について感じたことは?

宮下 遊星は当初、かなり尖っていたと思うんです。あまり心を開かず、塞ぎ込んでいるタイプでした。その要因は、きっと自分に自信がなかったからかもしれません。ただ、『5D’s』は「絆」が重要なテーマの1つだったと思うのですが、いろいろな人と出会い、いろいろな人の力を借りて、いろいろな人から教えてもらって。人との関わりによって、遊星の殻が、どんどん剥がれて行ったんでしょうね。多くの出会いがあったから、最終回で「みんなをハイタッチで送り出す」という立場になれたんです。3年かけて、ビター遊星からマイルド遊星に変わったんだなと感じます(笑)。

一同 (笑)。

星野 なかなか主人公が第1話で「雑魚」とは言わないからね。

宮下 そうそう、D-ホイールをいじりながら「雑魚だったろ、相手」ですからね。最終回の遊星なら、絶対言わなかった(笑)。

一同 (笑)。

宮下 ジャックとの戦いも、最後にジャンクウォリアーで倒すというのが大好きです。だからジャンクウォリアーのフィギュアも作って欲しい!

星野 ジャックとの向き合い方を考えると、徐々に彼の本心や繊細な部分が見えてきたことは影響していると思います。今は自分が大人になった分、俯瞰して見ることができるようになったのは大きいでしょうね。

木下 アキは劇中で変化したキャラクターですから、途中から落ち着いた性格に変化していきましたよね。最初に登場したときはだれも寄せ付けない雰囲気があったじゃないですか? そこから劇中でガラッと印象が変わって、仲間ができたことで、ちょっとお姉さん的な立場になって……。遊星とスケートデート(第75話「十六夜アキ アクセラレーション!」)のエピソードもありましたし。その変化は一緒に成長しているようで楽しかったですね。

──放送終了から14年が経過しましたが、現在演じられているときのキャラクターのイメージは変化がありますか?

宮下 自分も遊星と一緒に年齢を重ねているような感覚はあります。最終回のあとのそのまま、人生を過ごしてきたようなイメージで、とても優しくなったと思います。そもそも遊星は超不器用ですから、あまり笑顔がなかったタイプ。でも、きっと超不器用が不器用ぐらいになって笑顔は増えたんじゃないかな? 最近の収録やCMでは、変化した後の遊星のイメージが近いですね。僕と同じぐらい年齢を重ねた不動遊星で、ちゃんと自立して暮らしている。作品の世界では、すごい功績を残した人ですが、きっとひっそりと暮らしているんじゃないかな? 個人的にはライ麦畑のなかにある家で暮らしていて、自家製パンを作ってる感じです。遊星はひとりでいろいろなことができちゃうから、きっとまだ独身でしょうね。

──アキも登場時は辛い背景を背負ったキャラクターでしたが、力強い仲間となりました。

木下 初期のアキはかなり感情的なキャラクターでしたから、演じる際にも必死で「はっきりセリフが聞こえるように声を張って言い切る」ということを意識していたと思います。それから3年が経過したアキは、もっと落ち着いて、どっしりと構えたキャラクターになった印象があります。現在は声が低くなってきたこともあるので、当時を意識して高めの声で演じることが多いですね。

──登場したときは、人を傷つけることで自分の感情を逃がしていた部分も感じられて、とても難しい立場のキャラクターでしたね。

木下 そうですね。感情的な難しさはあったと思います。

宮下 それこそアキはよく笑うようになりました。一番変わる努力をしたキャラクターなんじゃないかな。木下 ずいぶん穏やかになりました。

──遊星がデュエルを通して、アキを救おうとしていたのも熱かったですね。

宮下 「何度でも受け止めてやる! 全部吐き出せ、お前の悲しみを!!」みたいなことを言うでしょう? もう告白ですよね。

木下 たしかに(笑)。

宮下 すべての人と平等に接しているのが遊星らしい。

星野 スターダスト・ドラゴンの効果と微妙にかみ合ってないのが面白いよね(笑)。

──ジャックも序盤のキングのポジションとは、徐々に立場が変化しました。

星野 ジャックはいろいろな変化があったキャラクターですので、どの時代を演じるかによってアプローチはその都度変えているんです。ゲームの収録の場合、基本デュエルになりますので、 キングとしてのパフォーマンスが前面に出るような言い方になると思います。 また、僕自身もカードゲームへの造詣が深くなり、理解度も深まったので、カードに込める思いも高まっていると思います。

──ファンがイメージするのは、やはりキングとしての姿が強いでしょうね。

星野 そうですね。キングでは、圧倒的なエンターテイナーという雰囲気をだいぶ強めに打ちだしています。これが『遊☆戯☆王ARC-V』のジャックになると、「絶対王者」という雰囲気になるので、機会があれば演じ分けてみたいですね。

──当時、アフレコ現場では、宮下さんと星野さんで並んで収録されていたとか。

星野 ライバルですから、特に序盤はふたりの掛け合いが多くて。

宮下 そうですね。後半はキャラクターが増えてきて、仲間との掛け合いが多くなっていったんですが、序盤はジャックとの絡みは多かったですね。

星野 デュエルの回数的にも一番多かったでしょうね。

宮下 最終回もジャックとの戦いになりましたから。

──遊星とジャックのデュエルは、ファンも一番熱が入ると思うんです。

宮下 ジャックとのデュエルは、僕もテンション上がるんですよね。しかも周りも元気になるんですよ。

星野 『5D’s』のデュエルって、言い方は変かもしれませんがプロレスなんです。だからちゃんとお客さんを煽って盛り上げないと格好がつかない。 そこは他のシリーズとはまた違う面白さではないでしょうか。

宮下 ジャックはパワータイプで、攻撃力の高いカードが中心。だから戦っていて楽しい。「どうやって勝つか?」という部分も、ファンの皆さんが期待されているところかもしれません。

星野 たしかにジャックのカードは、効果がわかりやすいよね。

──ついにジャック・アトラス、レッド・デーモンズ・ドラゴン、十六夜アキ、ブラック・ローズ・ドラゴンの発売が決定しました。あらためてフィギュアの印象についてお聞かせください。

宮下 以前のホビージャパンさんのインタビューでも感じたのですが、自分が演じたキャラクターのフィギュアが、しかも素晴らしいクオリティで登場したということで感謝しかありません。フィギュアは自分のテンションを一番上げてくれる存在だと思っているので、ファンの方が遊星の誕生日にフィギュアの写真をSNSアップしてくれるのは本当にうれしいです。

▲不動遊星とスターダスト・ドラゴンを前に満面の笑みを浮かべる宮下さん。2体ともお気に入りとのことで、宮下さんのSNSにはたびたび私物の遊星とスターダスト・ドラゴンフィギュアが登場している

木下 フィギュア化してただいて本当に光栄です。仮面や表情のパーツが付属するということで、劇中のアキの変化も再現できるのが素晴らしいですね。ブラック・ローズはまだ彩色されていない状態ということですが、ここまで細かく再現されていることに驚きます。色がついた状態も楽しみですね。

▲彩色原型の十六夜アキとサフ吹き原型のブラック・ローズ・ドラゴンを初めて目にし、その出来映えを絶賛する木下さん。2体をさまざまな角度から眺める先から笑顔があふれる

星野 ここまで作りこんでいると、ショーケースに入れてしまうのはもったいなく感じてしまいます。ぜひセットで揃えたいし、飾りたいですね。

▲ジャック・アトラスと彼のエースモンスターであるレッド・デーモンズ・ドラゴンに熱い視線を注ぐ星野さん。クールな2体だが星野さんにとっては「可愛い」存在でしかない模様

宮下 やっぱり『遊☆戯☆王』はデュエルじゃないですか? 飾っていても、相手がいないと物足りない部分ってあるんですよ。ここでライバルや仲間が増えるっていうのはうれしいですね。

──2025年は『5D’s』放送から17年になります。作品を支え続けてくれているファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

宮下 15周年がアッと言う間に過ぎて、おそらく20周年や25周年も、すぐにやってきてしまうでしょうね。僕が参加している芝居にも「『5D’s』見てました!」と言ってくれる若い役者さんもいて、驚いたんですよ。SNSでは今も当時の気持ちのまま、応援してくれる方がたくさんいて、めちゃくちゃうれしくなります。「なぜこんなに『5D’s』が愛されているのか」と考えたときに、キャストのみんなが『5D’s』のことが大好きだからなんじゃないか、って思えるんです。『5D’s』のことを発信するときに、大好きだから自然と熱が入りますからね。こうしてフィギュア化されることで、『5D’s』が皆さんにとって、再び近い存在になってくれるとうれしいです。

木下 10年以上も愛される続ける作品は、なかなかないと思います。そして17年かけて、やっとアキのフィギュア化にたどり着いたのはうれしいですね。遊星、アキ、ジャック、そして3体のドラゴンはずっと見ていて飽きないクオリティです。ぜひ手に入れていただいて、ずっと眺めながらデュエルを思い浮かべて欲しいですね。

星野 ジャックのフィギュア化は、本当にうれしいです。劇中ではソリッドビジョンというシステムによって、モンスターが現れますが、こうして実際に立体物として手に取ることができるのは素晴らしいですね。躍動感のある造形も驚きますし、何よりジャックの可愛さがたまりません!

宮下 「ジャックが可愛い」は星野さんしか言えないです(笑)。

星野 ぜひ一家に1アトラス、1レッド・デーモンズ・ドラゴンでお願いします!

宮下雄也(みやした・ゆうや)(写真左)

大阪府出身。吉本興業所属。不動遊星役で声優デビュー。舞台を中心に俳優として活躍する傍ら、トークイベント「今月の宮下雄也」を毎月開催するなどマルチに活動中。

星野貴紀(ほしの・たかのり)(写真右)

栃木県出身。PACage所属。『遊☆戯☆王5D’s』でジャック・アトラス役を担当。アニメや吹替え作品の出演経験を活かし、音声収録・舞台芸術研究所VORPALの代表を務める。

木下あゆ美(きのした・あゆみ)(写真中央)

愛知県出身。enno所属。『特捜戦隊デカレンジャー』の礼紋茉莉花/デカイエロー役など俳優業を中心に活躍。『遊☆戯☆王5D’s』は声優デビュー作であり十六夜アキ役を演じる。


© スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI

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