タミヤ新作キット「アメリカ駆逐戦車 M36」レビュー作例! 忠実に再現された重厚感溢れるスタイルを冬季迷彩を施した見事な塗装とともにご覧あれ
2025.09.20U.S. TANK DESTROYER M36
M10の3インチ砲では撃破困難だった、パンターやタイガーといったドイツ戦車に対抗するため、強力な90mm砲を搭載した、第2次世界大戦におけるアメリカ駆逐戦車の到達点といえるM36がタミヤのMMシリーズに登場。その前身となる車両も「M10駆逐戦車(中期型)」としてキット化されているが、新作のM36ではそのほとんどのパーツが新たに設計され、90mm砲の搭載によってカウンターウエイトを備えた砲塔をはじめ、その重厚感溢れるスタイルを忠実に再現している。今回はそんなアメリカが誇る「猛獣キラー」を山田卓司が製作。冬季迷彩を施した見事な塗装とともにご覧いただこう。
「アメリカ駆逐戦車 M36」はモーターライズキットで販売されていた戦車シリーズでは「バッファロー」とか「ジャクソン」の製品名でリリースされていたので懐かしく感じる年配のモデラーさんも多くいらっしゃるのではないでしょうか?
先に「M10 駆逐戦車」がリリースされていますので「M10 IIC アキリーズ」同様、パーツを共用したバリエーションのひとつだろうと予想していたのですが、この「M36」はほとんどが新設計された金型を起こした内容だったのは驚きました。特に足周りは履帯がプラスチック製の組み立て式に変わり、一新されています。これまでは閉じた状態のみだったペリスコープも新たにパーツ化されている所も嬉しいポイント。砲塔後部のカウンターウエイト部分はスライド金型使用で組み立ても容易、かつ形状もバッチリ。鋳造模様の彫刻もいつになく磨きがかかった感じです。ワイヤーロープもこれまでなら糸を使って再現しているところ、細かく分割されたプラスチック成型の部品となりました。捩ったワイヤーの表現も繊細で好感が持てます。細かく丁寧にパーツ分割されていますから説明書をよくチェックして左右の別を間違えないよう、注意しましょう。
キットでは弾薬箱やザック、シートなどアクセサリーパーツが付属しますが、私はさらに「連合軍車輌アクセサリーパーツセット」や「アメリカ戦車兵セット」、「アメリカ軍10in1レーション用カートン」などから荷物を追加しています。塗装は説明書にある冬季迷彩の例が面白いと思い、今回はそれがほとんど剥げ落ちた状態として仕上げてみました。ベースカラーにラッカー系のオリーブドラブを塗り、ヘアスプレーを吹き付けてから水性アクリル系のフラットホワイトを塗装。ぬるま湯を筆にとって迷彩部分を剥がしました。個人的に見て今回の白眉は付属の戦車兵。肩に担ぐようにM3A1短機関銃(グリースガン)を持った自然な立ち姿がカッコイイ。付属のフィギュアはこの立像のみではありますが存在感ある一体です。背景には昔ながらのCampbell Scale Models社の針葉樹を使用。こちらは数十年前に購入した私物のストックですが、現在はジョーフィックス社から同様の製品が流通しています。地面はスタイロフォームから切り出してからタミヤのテクスチャーペイントで地表を覆い、そこに赤玉土を撒いて、水溶き木工用ボンドで固定しています。わずかに残った残雪はモーリン社のスノーパウダーを撒いたあとからリキテックスのライトモデリングペーストを馴染ませて表現しました。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
アメリカ駆逐戦車 M36
製作・文/山田卓司
アメリカ駆逐戦車 M36
●発売元/タミヤ●4950円、発売中●1/35、約21.6cm●プラキット
\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/
優れた機動力と火力を合わせ持つ機敏な対応が可能な軽戦車

タミヤ1/48新作!「快速の軽戦車」M5A1スチュアートをウェザリングで躍動感ある仕上げに【小澤京介・キットレビュー】
第二次大戦アメリカ陸軍のM5A1スチュアートは、M3に続く軽戦車として1942年9月に登場。軽快な機動力を生かし、ノルマンディ上陸作戦後の欧州戦線の戦いで大いに活躍した戦車が[…]
LEOPARD 2 A7V

タミヤ1/35のドイツ連邦軍“レオパルト2”の最新バージョン“A7V”型を製作! ディテールアップパーツを使ってより精密度を高める!
アメリカのM1エイブラムスと並び世界最強クラス戦車に数えられる、ドイツ連邦軍の主力戦車レオパルト2の最新型、A7Vをタミヤが完全新規でキット化。タミヤのMMシリーズでは[…]