タミヤの恐竜シリーズを使用した高密度ディオラマ!白亜紀の草食恐竜が集う日常的な一幕をご覧あれ
2025.09.04情景王による恐竜の情緒あるワンシーン
「恐竜」というとT-レックスをはじめとした肉食恐竜が目立つ中、同じ時代に生きた草食恐竜たちをフィーチャーしたディオラマをご覧いただこう。代表的な草食恐竜たちを中心に水場に集まる日常的な様子を作り込み、平和な白亜紀のワンシーンを製作。恐竜プラモデルの定番であるタミヤの恐竜世界シリーズに情景王の手が入ることで、穏やかな息遣いまで聞こえてきそうな見事な情景となった。


▲シリーズの情景セットに付属しているヒプシロフォドンや翼竜のニクトサウルスを加えて、賑やかな水場を演出
タミヤの恐竜世界シリーズを使って、水飲み場に集う恐竜達をほのぼのした方向性でディオラマを作ってみました。
本シリーズは恐竜研究家でありイラストレーターのヒサクニヒコ氏の解釈による、優しい表情の恐竜キットであり、細かなウロコのモールドが素晴らしいものです。組み立てが簡単で万人に勧められる内容のため、そこはスポイルしないように気を付けています。草食恐竜として、トリケラトプス(以下トリケラ)、カスモサウルス(以下カスモ)の親子、パラサウロロフス(以下パラサウロ)、加えて「小型恐竜セット」からヒプシロフォドンを組み合わせ。さらにその中に、満腹なので目の前の草食恐竜には興味がなく、群れから離れたヴェロキラプトルにも参加してもらいました。
このシリーズは付属のオマケが楽しくて、トリケラには小魚が3匹、魚、両生類、カエル。カスモにはリクガメ、トカゲ。パラサウロにはニクトサウルスが飛行している2匹を含め3匹付属。彼らも総動員して賑やかにしています。
恐竜キットは組み立てがシンプルなぶん、塗装が楽しめます。実在した恐竜の色は誰も見たことはありませんから、自由に楽しめるのが魅力です。今回はトリケラをブラウン→レッド。パラサウロをオレンジ→レッドと暖色系。カスモをブルーと寒色系にしました。下地塗装はラッカー系で、発色の良いアクリルガッシュ、水性アクリル系、エナメル塗料系、ウェザリングカラーなど油彩系と各種の塗料を組み合わせて塗装。部分的にメタリックカラーも使っています。
キット付属のベースは4種類をつなぎ合わせると大きなサイズのベースになるように工夫されていて、大陸移動説の発端となったゴンドワナ大陸を感じられる楽しい仕掛けがあります。ですが、今回はそれでは巨大になりすぎると考え、トリケラ付属のベースを基本に、パラサウロ付属のものから切り取ったベースを付け足して、キットのものより少し大きめのサイズのベースとしました。地面の彫刻のあるタミヤのキットというのも珍しく、このシリーズでは地面のひび割れや足跡、露出した岩などのディテールは観察していて見飽きません。また、いくつかのキットには樹木も含まれており倒木と成木をチョイスできたり、シュロやソテツはクレープ紙を葉に使うなどプラ素材以外の採用と、さまざまな工夫も面白いです。今回はディオラマ用の草素材スタティックグラスを撒いて、さらにハケを切って着色した背の高い草も追加しました。トリケラのベースには小さな池が設定されており、そこに魚と両生類を設置してから透明エポキシ樹脂を流し込みました。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット タミヤ恐竜世界シリーズ使用
白亜の日々
ディオラマ製作・文/山田卓司
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山田卓司(ヤマダタクジ)
本誌を代表するレジェンドディオラマビルダー、情景王。キャラクターからAFVまでさまざまなジャンルを手がける。