HOME記事キャラクターモデル「R3 ビルバイン」を的を絞った改修と設定画準拠ながら高級感を演出した塗装で作例製作&キットレビュー!!【聖戦士ダンバイン】

「R3 ビルバイン」を的を絞った改修と設定画準拠ながら高級感を演出した塗装で作例製作&キットレビュー!!【聖戦士ダンバイン】

2025.09.15

ビルバイン【BANDAI SPIRITS 1/35】●只野☆慶 月刊ホビージャパン2025年10月号(8月25日発売)

ビルバイン出現

 オーラーロードを超え、ついに現代社会に出現したBANDAI SPIRITSのR3 1/35 ビルバイン。MG ダンバインと並べられる同スケールなのも嬉しいのが、何より設定画や劇中のプレーンなスタイルを見事に再現していること。キットの出来の良さはもちろん、模型素材としての可能性の広さもモデラーにとってはありがたい要素といえる。今回は待望の本キットのレビューをお届けする!

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」特撮トビラ

的を絞った改修にとどめ、キャラクター性を重視した仕上げを目指す

 只野☆慶によるキットレビュー作例をお届け。良好なキットの素性を存分に楽しみながら、ショット・クローや爪裏の肉抜き処理など、よりキットの完成度を高める工作を行っている。カラーリングは設定画準拠だが、黄色をゴールドに、紺色をメタリックブルーに変更するなど高級感を演出。さらに白い部分にはわずかながら動脈や静脈をイメージしたような模様を下地に描き込み、生物感も付加している。

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」背面
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」素組み比較
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」素組み比較背面

▲キット素組み(写真左、スネのカラーシールは未貼付)とのツーショット。美しいグロス成型でのカラーリング再現、合わせ目が目立たないパーツ分割構成など、キットの素性の良さが改めて確認できるだろう。作例ではクリアーブルー成型のコクピットハッチを、作者の好みで、表面のみメタリックブルーで塗り潰している

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中頭部アップ
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」頭部アップ

▲頭部はトカサを中央でいったんカットしてプラ材をはさみ、4mmほど延長。アゴ先端と合わせてエポパテでラインを整えている。因みにトサカ延長の際、インサートしたプラ材を貫通するように真鍮線を差し込み強度を確保している

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中首
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」首元アップ

▲首や肩、股関節などには隙間隠しのため、ポンチでリング状に抜いたスポンジロール(イノアック製)をはさんでいる

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」コクピットハッチオープン
▲コクピットハッチはもちろん開閉可能。シートユニットはウイング・キャリバー時に回転するギミックを有する。ハッチ外側はXC05サファイアブルーを、内側にはタミヤカラーラッカー塗料のLP-48 スパークリングシルバーを軽く吹き付けている
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」左腕部
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中拳
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」握り拳アップ

▲握り拳の中央に面があり、握りしめた時の力強さを追加するため、あえて光硬化パテでいったん埋めて彫り直している。また、各武器持ち手の肉抜きも光硬化パテにて埋めている

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中ワイヤーショット
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ワイヤーショットアップ

▲スケジュール的にワイヤーが間に合わなかったため、本作例ではワイヤーショットをオミット。肉抜き穴を光硬化パテで埋めシャープ化。ディテール重視に仕上げている

ぺんてるのアクリルガッシュ水色と赤
▲白い部分には動脈、静脈をイメージ源としたラインを「ぺんてる」のアクアッシュ(水で溶ける全芯色鉛筆)で描き込み、上からEx-ホワイト+ライトブルーを低圧でゆっくり吹いてみたが、下地の模様はほとんど認識できなくなってしまった
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」左足アップ
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中太モモ
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中股関節アップ

▲股関節はそのままに、太モモ内部の受け側ポリパーツを外側に計6mmほど移動、腰の幅詰めに伴い股間パーツ外装を切削し調整している

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中足裏
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」製作途中足裏2
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」足裏

▲足の爪も腕と同様に裏面をエポパテで埋めて生物的なディテールを追加している

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ポージング例
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」オーラ・ソード、オーラ・ライフル
▲オーラ・ソード、オーラ・ソード・ライフルはメタリックで塗装している
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」翅
▲翅の塗装には、XC02トパーズゴールド、XC04アメジストパープル、XC05サファイアブルーを翅脈単位でランダムに吹き、透明部をマスキングして、骨格をサーフェイサーエヴォパープルで塗装。翅脈凸部に油彩クリムソン レーキをスポンジに付けポンポン軽くたたいて着彩、乾燥後不要部分をMr.ウェザリングカラー専用うすめ液に浸した綿棒で拭き取っている
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ウイング・キャリバー形態
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ウイング・キャリバー形態背面

▲ヒジの引き出し関節などにより、より設定画に近いウイング・キャリバー形態に変形可能。ハンドパーツは取り外し、専用カバーを取り付ける仕組み。腹部にアクションベース用の穴があるので、別売りのアクションベースで展示可能

只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ウイング・キャリバー専用台座
▲作例ではウイング・キャリバー展示用に木製ベースと透明パイプで専用台座を製作した
只野☆慶製作「R3 ビルバイン」ウイング・キャリバー形態横

■ゼロ年代からの渇望
 MG ダンバインが発売された頃は熱かった。雑誌コンテストやガレージキットシーンでも熱を帯びていた。今思えば遂げられなかった想いが再び熱を帯びつつある。
 そして、オーラロードを超えてあのキットが地上に現われた。R3 ビルバインである。静岡ホビーショー2025にて公開されたその姿を目の当たりにした時、「長生きはするものだ」と、老境に差し掛かる男は思わず感慨に耽った。
 2023年発行の「HJメカニクス15」ではHG ビルバインをふたつ組み合わせて完全変形を目指す試みを行っていたので、R3 ビルバインの製作依頼を受けた時、妙な納得感を覚えた。
 さて、テストショットを組み上げた時の印象からお伝えしよう。アニメーション設定画の力強いシルエットを的確に再現しつつも、関節の有り様は最新の技術で成り立っており、解釈が難しいキャラクター性を堅実にまとめ上げている。特に握り拳の造形はオーラ・バトラーとしてのあるべき流れを昇華させている。キットレビューでは的を絞った改修にとどめ、キャラクター性を重視した仕上げを目指す。
■ピンポイント改修
 まずは頭部、トサカは4mmほど延長し各所エッジワークを施す。
 次に股関節、若干幅広に感じたのでボールジョイント受け側を各3mm程度外側に移動。股間パーツは若干裏打ちして干渉箇所を削りフィットさせた。
 腕部のツメや脚部鳥足だが、肉抜き穴のリブがデザイン的に工夫されているので「ここはユーザーが工夫して埋めよ」とも解釈できる。なのでエポパテ等で埋め切削して生物的ディテールを施してみた。
 これら改修はあくまでも個人的な直感で施したので、読者の皆様に対して、さらなるイメージ投影を面白がるキッカケとなれば幸いだ。
■塗装
 下地は主要箇所にガイアノーツのメカサフヘヴィ、爪など金部分にサーフェイサーエヴォゴールドを使用。白および赤部にはさらにサーフェイサーエヴォフレッシュにてグラデーション下地を施した。
 この下地に対して動脈、静脈をイメージ源とした情報を描き込むのに使用したのは「ぺんてる」のアクアッシュ(水で溶ける全芯色鉛筆)だ。模様を描き込んだあと、若干の水分を含んだ綿棒で擦り抑揚を付けた後、基本色を重ねるといった簡単な手法だ。今回赤部に使用したのはガイアノーツから発売された、プロモデラー朱凰氏がプロデュースするRAYVE(レイヴ)ブランドのSR-L02ブラッディレッドだ。「隠蔽力がありつつも下地の色を若干透過させ」という製品解説が決め手であった。彩度が抑え気味なのも気に入った。そう、若干の透け感が肝なのだ。
■総括
 只野的にこのキットは世に放たれた事実だけでも快挙だとまず申し上げたい。堅実でしっかりとした設計だと感じた。そりゃあリアタイ直撃世代だから映像を何度も視聴し、模型、造形シーンも一通り体現していれば「欲」が出て然るべき。なので、ここからは今後このキットに何を落とし込みたいかの私欲を語ろう。コクピットもコンバーター等各所も納得いくまで作り込み、夜間迷彩仕様として仕立てたい! オーラロードを行き来する旅はまだまだ続きそうだ。

「R3 ビルバイン」

BANDAI SPIRITS 1/35スケール プラスチックキット“リアルロボットレボリューション”

ビルバイン

製作・文/只野☆慶

R3 ビルバイン
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●6050円、受注終了●1/35、約25cm●プラキット●プレミアムバンダイ販売アイテム


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