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上演中の舞台「死神遣いの事件帖 終(ファイナル)」鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹座談会! 完結を迎えるシリーズへの思いに、舞台の注目ポイントを語る!

2025.08.15

鈴木拡樹 久坂幻士郎
×
安井謙太郎 十蘭
×
梅津瑞樹 無限狼

 いよいよ開幕した舞台『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』。5年間続いたシリーズと「ムビ×ステ」について、そしてシリーズの最後を飾るこの舞台について、鈴木拡樹安井謙太郎梅津瑞樹の3人にお話を伺った。


5年にわたるシリーズの『終(ファイナル)』に向けて

――まず鈴木さんと安井さんから、『しにつか(死神遣いの事件帖)』シリーズが『終(ファイナル)』を迎えるにあたって、現在のお気持ちをお聞かせください。

鈴木このシリーズは5年ぐらいですね、映画と舞台合わせると……?

安井6作品。「かなりハイペースでやらせていただきましたよね」という話をプロデューサーさんにしたら「もっともっとやりたかったんだよ」って言われました(笑)。たくさんやらせていただいて、楽しかったですねぇ。

鈴木「ムビ×ステ」という企画は映画と舞台が連動しているけれど、中でも『死神遣いの事件帖』は、映画だけ、舞台だけと、それぞれが完結した観やすさも徹底しているんですよね。長く続いているシリーズではあるけれど、途中からでも気楽に観られるというよさを持っていると思います。

安井振り返ってみると寂しさよりは「こんなにたくさんやらせてもらったんだ。しかも5年も……」という気持ちが大きいですね。

鈴木またしっかり『終』と言えるのがいいよね。

安井確かに。

鈴木どんなシリーズでもいつかどこかで終着を迎えなきゃいけないけど、『終』と言わないばかりにずっと続編を待ち続けるお客さんがいらっしゃったり「ここが目標地点だったんだ」と伝わりにくい場合もあるので、今回みたいに『終』と銘打って公演できるのはすごく潔いなと思いますし、作品にとってもすごく幸せなことだと感じています。

――スタートした時はここまで長く続けるものだと思っていましたか?

鈴木最初の映画を撮った時に「この作品はシリーズ化もできそうなテイストだよね」っていう話から広がったシリーズなんですよ。

安井「やれたらいいね」が実際にここまで続いたことは、すごくありがたいことだなと思っています。

――梅津さんは『しにつか』シリーズはご存知でしたか?

梅津「ムビ×ステ」のほかの作品には出させていただいているので、もちろん知っていました。「ムビ×ステ」の中でも温かそうな作品だなという印象がありますね。自分が出ている作品は割と硬質というか、平たく言えば血なまぐさい世界観で、僕自身はコメディアクション風の作品がすごく好きなので「いいなぁ」と思っていたんです。『ラッシュアワー』のような、コメディが入ったバディアクションにもすごく憧れがあるんですが、『しにつか』はそれを「ムビ×ステ」でやっている作品なんだな、という印象を持っていました。
 そしてそんな作品の『終』にこうしてお邪魔させてもらうと……インタビューの時にこんな寂しさを感じるんだ、と思っています(笑)。

安井「自分が同じ立場だったらいやだな~」と思っていました(笑)。

梅津今こうして話を聞いていても、皆さんで築き上げてきたものがあるんだな、と実感しますよね。「5年間か」と。5年ってなかなかないですよね。

安井始まった頃小学校に入学した子があとちょっとで卒業しますからね。

梅津そこに急遽お邪魔させてもらうっていうのは、少し緊張しましたね。

安井いやいやいや、本当にありがたいです。

鈴木しかも「最恐の敵」としてね。

梅津でも映画の『終』でとてもきれいに完結しているので、お客さんは「この後、舞台で何を付け足すんだろう?」と思ってしまいますよね。

安井映画と舞台はもちろん同じチームではあるんですが、映画の脚本は須藤泰司さんで、舞台は毛利亘宏さん。多分須藤さんは「映像で終わらせるぞ!」という気持ちでお話を作ってくださっていて、それに対して毛利さんが「いやいやまだでしょ!」とライバルとまでは言いませんが、いい切磋琢磨が起きている気が個人的にはしています。この座組だったからこういう風にできたんだろうなぁ、と思いますね。

▲鈴木拡樹演じる久坂幻士郎(写真左)は死神遣い。しかし相棒だった十蘭が冥界へ帰ったため、今は1人で探偵業を続けている

舞台は『終(ファイナル)』にして、エピソードゼロ

――舞台の『終』のストーリーについては、どのように捉えていますか?

鈴木一応映画→舞台という時系列で、一部過去回想もありますが、基本的には映画の「その後」のお話です。

安井エピソードゼロ的な要素もちょっと入っていますよね。十蘭と幻士郎の出会いがここで描かれるというのが楽しみです。

鈴木今まで2人の出会いについては、会話でのやりとりで触れていただけで、明確には描いてなかったので、そこを描けるのは楽しみですね。この5年間で十蘭と人間との距離が近づいていく、その成長を描いていたと思うのですが、そこを描ききった後に、完全な死神としての部分をもう一度見せられるのは、面白いと思います。
 幻士郎は基本はチャランポランな人間なのもあって、大幅な変化はないようにも見えますが、やっぱり最初は今よりも気遣いもあったし、十蘭との距離感をすごく感じていたはずですよね。それを最後に描けるのは確かに楽しいかもしれません。

安井舞台『しにつか』は、いい意味で映画とのギャップを描くイメージがあるし、今までずっとシリーズを追いかけてくれている人も、舞台ならではの深掘りが楽しめるようになっていると思います。

――映画で別れた十蘭と幻士郎が、舞台で再会するということですが……。

鈴木このシリーズを通してずっと、十蘭と幻士郎は喧嘩をし、事件を解決し、仲直りして、一回別れ……。

安井もう一回戻って……って、もう面倒くさい彼女みたいになっているな!(笑)

鈴木でもそれがよさなんだよね。

安井そう! 今回はそこに梅津さん演じる無限狼がどう登場し、関わってくるのか? というのが観どころです。

梅津でも、映画で最後井戸に落ちた後バシャーンって音がするじゃないですか。

安井……えっ、ビショビショで出てくるのかな?(笑)

▲幻士郎と別れて冥界の王となった十蘭(演:安井謙太郎)。今までシリーズであまり描かれることのなかった冥界の様子にも注目だ

映画「終(ファイナル)」、撮影の思い出は「裾」と「ガンガン」?

--公開は終わりましたが映画『終』のお話も聞かせてください。撮影で印象に残っていることは?

鈴木この3人だと、やっぱり最後のアクションシーンです。スタジオの中で撮るのも大変だったんですよね。ドライアイスをスタッフさんが用意していらっしゃるのも大変そうでしたし、僕たちも下に煙がたまるのを待ったり、殺陣の「手」を間違ったらいけないというプレッシャーがありました。

安井あとは無限狼の衣裳が結構な大変さで。

梅津あれはやる前からわかっていました(笑)。鎌を回転する動きがあるんですが、袖や裾がぐるぐるぐるぐる巻きついてしまって、どう見えているのか気になっていたんですが、初号試写を見に行ったらものすごいエフェクトがかかって、裾がいい感じに見えなくなって大技になっていました(笑)。ただ舞台ではそうはいかないですよね……。

安井舞台ではノースリーブになったりする?(笑)

鈴木でも何気に『死神遣い』を5年やってきて鎌は初めて出てきたんですよね。死神のシンボルのような部分を無限狼が担ってくれました。

――柴﨑貴行監督とのやりとりで印象に残っていることは?

鈴木1作目の時は監督とそれぞれの役について話しあったり、セリフや掛け合いを見せながら全体の空気感を作っていく作業をしたんですが、今回はそんな世界観、空気感を今回から加わるキャストと一緒に作っていってね、という感じでしたね。柴﨑監督は、細かいシーンについてはそのときそのときで話はなさいますが、撮影している最中は、どちらかというと世間話というか、日常の話をする方なんです。特に今回はここまでシリーズを通してやってきているので、信頼していただいていたと思います。

安井僕が印象に残っているのは、2作目からガンガンという、暖を取るための火を入れているドラム缶で焼き芋を作るのが撮影現場で流行っているんですが、今年はさらに進化して、ソーセージを監督が買ってきてくださるようになったんです。アルミホイルで包んだソーセージを監督に「それ入れといて」と頼まれて、僕が出来上がった頃に「監督~! ソーセージできました!」って持って行ったら、ちょうど海外メディアが京都撮影所の中の様子を紹介するドキュメンタリーで柴﨑監督のインタビューを撮っていて……。監督に「今はちょっとやめてください」って言われて、それがすごく印象に残っています(笑)。監督もそこはちょっとカッコつけたかったのかな……って(笑)。

鈴木撮影中はわりとそんな感じだよね。いざカメラを回す前に演出モードになる監督という印象です。

▲映画で封印したはずの最恐の死神・無限狼(演:梅津瑞樹)が復活!? しかし、なんだか様子がおかしい……?(写真右)

映画と舞台との違い「ムビ×ステ」ならではの楽しさ

――映画と舞台で同じ役を演じるにあたり、違いはどのような時に感じますか? 「ムビ×ステ」ならではの難しさや楽しさなどあれば教えてください。

鈴木映画と舞台とが連動してひとつのストーリーになってはいるのですが、映画には一貫して定番の流れがあるんですよ。幻士郎と十蘭が喧嘩して事件。「事件帖」なので推理が入って、その答えにたどり着いたら黒幕が見えてきて、バトルする。という構成です。対して舞台は映画のお話の中でキャラクターの気になったであろう部分を、深く描いて見せていくんです。幻士郎のいなくなった後の十蘭や、幻士郎の過去の話というふうに、スピンオフのような描き方をしているのが舞台になっていると思います。今回もそういうことなのかもしれないですね。

安井そうですね。冥界の話とか、僕ら自身も舞台で「そうだったんだ!」と初めて知ることがあります。僕ら自身もファンとしてこの世界を紐解いていくような部分がありますし、お芝居としても、キャラクターのギャップを見せることができたり、ひとつの役を深掘りすることができる楽しさがありますね。

鈴木なんとなくですけど、比較的気軽に観られる映画と、さらにそこから深い考察にもつながる舞台、という魅力の違いがあるのかな。

梅津映画は先ほどの殺陣もそうですが、完成品の想像がつかないところもあるんですよね。出演したドラマでも完成したオンエアを見て「あれ、こんなシーンあったけ」と思うこともあります。そういう意味では舞台は、始まって幕が降りるまで自分で自分の役をコントロールして、どう見せるかということを決定できるんじゃないかなっていう気がします。連動していることで、映画でやり残したことを舞台でできるという、助かる余地がありますよね。映画で感じた「もうちょっとこうしたかったのになぁ」という気持ちを舞台に持ち込んでできる部分はあるかもしれませんね。

――では最後にお客様へのメッセージをお願いします。

鈴木映画をご覧いただいた方には、今回もまたより楽しめる作品を舞台でお届けできると思うので、舞台も楽しんでいただけたらなと思います。そして何より、映画に続いて舞台も『終』と銘打っております。ここまで支えてくださった皆様に感謝してお届けしますので、ぜひ受け取ってください。よろしくお願いします。

安井5年間やらせていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。『終』と銘打ってやれるのはすごくいいことだと思っているので、いいピリオドが打てるようにしっかりとやり切りたいと思います。「ムビ×ステ」の企画自体はこれからも続くので、『しにつか』のようにまたシリーズ化する作品が生まれることを期待していただけるような最後を迎えたいなと思います。

梅津……とか言ってたら、数年後に『ファイナル・リターンズ』っていうタイトルで……。

安井それはそれで!(笑)

梅津本当にこうして『終』に参加させていただけて、どういうふうにこの関係値が出来上がっている中に斬り込もうかなと思っていましたが、すごく優しい方々に迎えてもらいました。この楽しい座組で夏を過ごせるのがとても楽しみです。今度こそ死なないよう、生き抜ければと思います(笑)。

▲初めて描かれる幻士郎と十蘭の出会い。シリーズの終着点で、2人の始まりが明かされる!

鈴木拡樹
すずき・ひろき

1985年生まれ、大阪府出身。2007年のドラマ『風魔の小次郎』でデビュー。『最遊記歌劇伝』シリーズで人気を博し、舞台『刀剣乱舞』シリーズ、ミュージカル『SPY×FAMILY』、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 下弦の月などに出演している。

安井謙太郎
やすい・けんたろう

1991年生まれ、神奈川県出身。5人組アーティスト・7ORDERのリーダー。メインボーカルを務める。俳優としては2018年『ニート・ニート・ニート』で映画初主演。近年の主な出演舞台は2022年『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』や、朗読劇「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(2024年)など。

梅津瑞樹
うめつ・みずき

1992年生まれ、千葉県出身。2015年に「虚構の劇団」に入団し、舞台俳優デビュー。2022年まで在籍。以降は小劇場から人気劇団の客演、2.5次元舞台まで様々な作品に出演し活躍の場を広げ、自身で結成した演劇ユニット言式では脚本・演出も手掛けている。


舞台『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』は9月15日まで全国で上演!

 舞台『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』は8月17日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演中! その後、福岡、大阪、石川、京都と全国で公演が9月15日(月・祝)まで続く。堂々完結を迎える死神遣いと死神の物語を見逃すな!

舞台『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』

[キャスト]鈴木拡樹●安井謙太郎(7ORDER)●梅津瑞樹●森崎大祐●田淵累生●田口涼●松本寛也●田辺幸太郎●ザンヨウコ●宮原華音●鈴木裕樹●星賢太●前田将吾●日南田顕久●高田紋吉●青木謙●中野みほ●滝山翔太●朴貴好
[スタッフ]原案:須藤泰司●脚本・演出:毛利亘宏(少年社中)●音楽:YODA Kenichi●アクション監督:栗田政明(KLC)●振付:本山新之助

東京公演
上演中~8月17日(日) サンシャイン劇場

福岡公演
8月21日(木) 福岡サンパレス

大阪公演
8月30日(土)、31日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

石川公演
9月5日(金)、6日(土) 石川県小松市 團十郎芸術劇場うらら 大ホール

京都公演
9月13日(土)~15日(月・祝) 京都劇場

作品ホームページ:https://shinitsuka.com/stage/index.html

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