ARTPLA「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」をキットレビュー!ラッカー塗料の薄塗りによる透け感を活かした塗装解説は必見!
2025.08.14塗装解説:重層的な筆致で彩る巨砲像
まるでキットふたつ分!と言わしめる海洋堂ARTPLAならではのボリュームに加え、長物モチーフで先発のエヴァ量産機に続けて存在感抜群の「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」。新劇場版でリニューアルされた陽電子砲の超兵器感のある形状とカラーリング、そこに初号機のコントラストも相まってさまざまな塗装のアプローチが楽しめるキットです。今回は『新劇場版:序』での第6の使徒との砲撃戦というシチュエーションも意識しながら、ラッカー塗料の筆塗りで仕上げています。
陽電子砲は、黒サーフェイサーと金属暗色の下地組み合わせを筆致で残しつつ、これを重量感やダメージ表現としながら塗り進めていくことができますが、これを把持して組み合わさる初号機にも筆塗りらしい特性を活用した質感を出していきたいところです。
第6の使徒が放った加粒子砲の衝撃から体勢を立て直し、最後の一撃を放つというポージングなので、高熱に曝された外装というイメージを初号機の機体色カラーの配合を組み替えつつ重ねて表現してみました。「配合の組み替えとは?」となりますが、初号機はパープルをベースにブルーを加えたカラーリング。これを逆転させ、まずはブルーをベースにパープルを少し加えて塗り始め、段階的にこの割合を目指す色味となるように重ねていき、仕上げ段階ではパープル単色、最後はこれに僅かのホワイトを加え、テクスチャーを施すようにしながら色の奥行きと密度感を上げていきました。この意識をしながら塗り重ねていくと、ラッカー塗料による薄塗りの透け感を活かした質感のある表情を作ることができます。また、モチーフの巨大さも演出したいので、部分にフォーカスされる暗色によるダメージ表現は控え、淡い色を主とした筆致によるテクスチャーで距離・空気感も盛り込んでみました。
ボリュームもあり情報量も多い本キットですが、大きな部位ごとの構成によって想像よりもずっと塗りやすく、塗りながらの仮組みもしやすいようになっています。皆さんもぜひ思い思いのヤシマ作戦を再現してください!

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA SCULPTURE WORKS”
エヴァンゲリオン初号機
“ヤシマ作戦”
製作・文/大森記詩
ARTPLA SCULPTURE WORK エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”
●発売元/海洋堂●8800円、発売中●約15cm●プラキット
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ⓒカラー
大森記詩
現代美術家。本誌では「ミキシング/キットバッシング」の手法で作り上げたオリジナルSFメカを製作する「MIXINGSCAPE」を連載中。現在開催中の「集英社マンガアートヘリテージ」での展示など、めきめきと頭角を現す実力派モデラー。