HOME記事キャラクターモデルARTPLA「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」をキットレビュー!ラッカー塗料の薄塗りによる透け感を活かした塗装解説は必見!

ARTPLA「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」をキットレビュー!ラッカー塗料の薄塗りによる透け感を活かした塗装解説は必見!

2025.08.14

エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”【海洋堂】 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)

< [前のページ]

塗装解説:重層的な筆致で彩る巨砲像

塗装解説1
▲良質な塗膜が得られるため筆塗りの下地として最適な、ガイアノーツのサーフェイサーエヴォスプレー ブラックを下地として使用。塗装の際は写真のようにある程度の部位ごとに分割して進めていった
塗装解説2
▲初号機は、まずGX5番スージーブルーに65番インディブルーを少量加えたもので塗り始める。色の深みを増すために、筆を重ねながらインディブルーの割合を増やし、ここに順次67番パープルも加えていくという手順を選んだ
塗装解説3
▲頭部は各所の緑、目の黄など発光感のある発色を目指してそれぞれ塗り分けている。緑はGX6番モウリーグリーンに64番ルマングリーン、目は59番オレンジを敷いてからセンターにGX4番キアライエローでハイライトを描き込んだ
塗装解説4
▲ラッカー塗料の透過性を利用してパープルを加えた本体色をさらに重ねる。色味の全体感を見るために緑やオレンジなど、各所を適宜塗り分ける。モウリーグリーンを塗ってからルマングリーンを重ねているが、筆のストロークは用いずに色を置くようにして塗り重ねることでボンヤリとした発光感を出した
塗装解説5
▲本体色の深みが出てきたところで、パープルにこれまでの本体色を少量加えてテクスチャーを立ち上げるように筆で表情をつけていく
塗装解説6
▲この段階で肩、前腕のマーキングデカールを貼る。さらに、ルマングリーンに極少量の1番ホワイトを加えたもので、デカールの上にうっすらとタッチを入れて周囲と馴染ませる
塗装解説7
▲仕上げ段階ではパープル単色でタッチを加えながら、ダメージ表現とハイライトを兼ねた色のテクスチャーを施した
塗装解説8
▲GX2番ウイノーブラックにSM205番スーパーチタン2を加えた明るめの黒鉄色を、ドライブラシの要領で陽電子砲のエッジ部分を中心に施す。この色味はこの後も筆塗りを進めながらところどころ残すことで、ダメージ表現としている
塗装解説9
▲陽電子砲の長いフォルムに合わせて主に横方向で筆を運び塗り進める。黄色い部分はキアライエローにオレンジを加えたもので塗装。その上から、順次キアライエローの割合を増やしつつ塗り重ねていった
塗装解説10
▲砲下部の履帯ディテールや支柱の部分は下地とした黒鉄色をそのまま活かした。青緑がかったグレーは35番明灰白色(三菱系)に34番スカイブルーを少量加えて塗り分けている。白部分も先にスカイブルーの割合を増したグレーを塗っておき、これにホワイトを重ねることで色味の統一感を出している。ここからさらに細かいタッチを入れて筆致の密度感を上げていく
塗装解説11
▲ワンポイントとして各所にレッドの塗り分けを追加した
塗装解説12
▲陽電子砲の大熱量で生じる金属部の焼けをイメージした表現を、前述の調色した黒鉄色で加えた

 まるでキットふたつ分!と言わしめる海洋堂ARTPLAならではのボリュームに加え、長物モチーフで先発のエヴァ量産機に続けて存在感抜群の「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」。新劇場版でリニューアルされた陽電子砲の超兵器感のある形状とカラーリング、そこに初号機のコントラストも相まってさまざまな塗装のアプローチが楽しめるキットです。今回は『新劇場版:序』での第6の使徒との砲撃戦というシチュエーションも意識しながら、ラッカー塗料の筆塗りで仕上げています。
 陽電子砲は、黒サーフェイサーと金属暗色の下地組み合わせを筆致で残しつつ、これを重量感やダメージ表現としながら塗り進めていくことができますが、これを把持して組み合わさる初号機にも筆塗りらしい特性を活用した質感を出していきたいところです。
 第6の使徒が放った加粒子砲の衝撃から体勢を立て直し、最後の一撃を放つというポージングなので、高熱に曝された外装というイメージを初号機の機体色カラーの配合を組み替えつつ重ねて表現してみました。「配合の組み替えとは?」となりますが、初号機はパープルをベースにブルーを加えたカラーリング。これを逆転させ、まずはブルーをベースにパープルを少し加えて塗り始め、段階的にこの割合を目指す色味となるように重ねていき、仕上げ段階ではパープル単色、最後はこれに僅かのホワイトを加え、テクスチャーを施すようにしながら色の奥行きと密度感を上げていきました。この意識をしながら塗り重ねていくと、ラッカー塗料による薄塗りの透け感を活かした質感のある表情を作ることができます。また、モチーフの巨大さも演出したいので、部分にフォーカスされる暗色によるダメージ表現は控え、淡い色を主とした筆致によるテクスチャーで距離・空気感も盛り込んでみました。
 ボリュームもあり情報量も多い本キットですが、大きな部位ごとの構成によって想像よりもずっと塗りやすく、塗りながらの仮組みもしやすいようになっています。皆さんもぜひ思い思いのヤシマ作戦を再現してください!

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA SCULPTURE WORKS”

エヴァンゲリオン初号機
“ヤシマ作戦”

製作・文/大森記詩

ARTPLA SCULPTURE WORK エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”
●発売元/海洋堂●8800円、発売中●約15cm●プラキット

▼ 関連記事はこちら

ⓒカラー

1 2
この記事が気に入ったらシェアしてください!

大森記詩

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2025年9月号

ご購入はこちら

海洋堂ARTPLA解体新書

ご購入はこちら

HJメカニクス09

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー