HOME記事スケールモデル名機ボーイング707をベースに開発された「E-3G セントリー」が登場! 『歩哨』の名を持つ早期警戒管制機を製作。多数のアンテナ類を自作し仕上げる

名機ボーイング707をベースに開発された「E-3G セントリー」が登場! 『歩哨』の名を持つ早期警戒管制機を製作。多数のアンテナ類を自作し仕上げる

2025.07.22

USAF E-3G Sentry“ AEW&C”【アカデミー 1/144】●山田昌行 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)

USAF E-3G Sentry“ AEW&C”

名機ボーイング707をベースに開発された
『歩哨』の名を持つ早期警戒管制機

 アメリカ空軍が本土防空用のAWACS(空中早期警戒管制システム)機として1977年に導入したのがボーイングE-3セントリーだ。旅客機のボーイング707-320B旅客機をベースに胴体上部に大型の円形レドームを搭載、距離約400kmの全周監視を可能としている。2014年には「E-3G」と呼ばれるブロック40/45近代化改修型が登場、OSをLinuxとするなどコンピューターシステムを一新、ネットワーク対応などの能力を向上させている。旧ミニクラフト製品の再販を進めるアカデミーから1/144スケールのE-4Gも登場。沖縄の嘉手納基地所属機など最新マーキングでのリリースだ!

E-3G 俯瞰
▲旅客機をベースとした機体だが、各部に増設されたレーダー類や地味なグレーの塗装など、軍用機としてのすごみを感じさせるフォルムとなっている
山田昌行製作「E-3G セントリー “AEW&C”」キャノピー
▲キャノピーはクリアーパーツだが、胴体とのラインを調整するため接着してパテを盛って整形。窓部分はデカールを貼って再現している
油圧回転式のロートドーム
▲本機のキモといえる油圧回転式のロートドーム。取り付け用ステーとともに別個に組み立てと塗装を済ませておき、機体の塗装後に取り付けた
E-3G 背面1
▲マーキングはアメリカ空軍のE-2G 2種、NATO空軍のE-3A1種の計3種類を用意。作例はF-15C戦闘機と同じ「ZZ」と兜のマーキングの沖縄嘉手納基地駐留機を選択した
山田昌行製作「E-3G セントリー “AEW&C”」右主翼アップ
▲707旅客機からそのまま流用された主翼。前縁は濃淡の異なるシルバーで塗り分け。主翼端後方のアンテナが省略されているので、伸ばしランナーで追加している
山田昌行製作「E-3G セントリー “AEW&C”」胴体前部右側
▲胴体前部両側面のAN/AYR-1 ESMセンサーは別パーツで再現。機体上下面にある多数のアンテナ類が省略されているので、資料写真を参考に自作している
TF33エンジン
▲バリエーション展開のためエンジンポッドが3種類入っているが、E-3GはTF33エンジンを選択。エンジンパイロンも左右、内外側と異なるので取り違えに注意
垂直尾翼
▲マーキングは派手さを抑えた控えめなサイズ。垂直尾翼先端のアンテナは先端にテーパーした形状を再現するため、伸ばしランナーで作り替えたものを使用
E-3G 背面2
▲機体全体はグレー単色迷彩。資料写真から判断し、今回はGSIクレオスのMr.カラーC338ライトグレーFS36495で塗装。付属のデカールは良質で、貼り付けも問題ない

キットについて
 アカデミー1/144 のE-3G セントリーですが、このキットは一連のミニクラフト製金型を使用したものの一環で、キットの出来は最近のアカデミー製品のものとは異なります。今回のE-3G はそのなかでも比較的古めのキットで、パーツのモールドや適合などはあまり良くありません。ただデカールはアカデミー製なので非常に良質です。フィルムも薄いしモールドへの密着性も優秀です。またこのキットはバリエーションが多かったようで、エンジンポッドが3種類付いています。当然使用するのは1種類なので、不要パーツは切り離して除いておきましょう。
組み立てについて
 まずは胴体からですが、左右のパーツを接着する前に外側から取り付けるパーツ用の穴を開けておきます。コクピットの窓はクリアーパーツになっていますが、コクピットパーツはありませんしバラスト用のオモリを20g入れなければなりませんので、胴体内部は塗装する必要はありません。胴体と窓パーツの合いは悪いため、クリアーパーツを接着してしまい、パテを盛って胴体とのラインをきれいに調整します。窓の部分はデカールで再現しますが、大きさ、位置ともにモールドとは合いません。ですのでそれぞれにデカールをカットして分割して貼っていくのがいいでしょう。操縦席前方のアンチグレアーの黒のデカールも窓のラインと合わないのでタッチアップして調整してあげます。
 次に翼です。主尾翼ともに分厚く、後縁もだるい、主翼と胴体の接続部分の形状も違うなどありますが、ほどほどに削ってやってやると見映えがよくなります。胴体に主尾翼を取り付ければ外形が出来上がります。エンジンポッドを4個組み立てパイロンに取り付けておきます。エンジンポッドは4個とも同じものですが、パイロンは左右、内外側と異なりますので、間違えないように気を付けましょう。主脚など降着装置も別途組み立て塗装を終わらせ、最後に取り付けます。胴体上部の円盤状のレドームも取り付けパーツともにそれぞれ組み立て塗装し、デカール貼りまで終わらせておきます。
塗装について
 塗装およびマーキングですが、組立説明書にある塗装例「第18航空団 第961空中航空管制中隊」の沖縄嘉手納基地駐留のものを選択しました。F-15 戦闘機によくみられるす直尾翼のZZと兜のマーキングが良いアクセントになります。
 機体の塗装ですが、組立説明書の指定ですとGSI クレオス Mr. カラーC325とC338の中間くらいの明るいグレーです。資料写真を見るとC338に近いようですので今回はC338で塗装しました。機体全体をまずガイアノーツ サーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、その後C338で全面を塗ります。レドームを黒と白で塗り分け、主尾翼前縁をシルバーで塗ります。主翼前縁は濃淡の異なるシルバーで塗り分けています。スミ入れしてデカールを貼り、C181でオーバーコートして脚を取り付ければ完成です。
最後の仕上げ
 しかしこのあと、ここでこのキット最大の問題点を処理しなければなりません。このキットでは、機体上下面にある多数のアンテナ類がまったくパーツ化されていません。ボックスアートにも描かれておらず困ったものです。このままでは間の抜けた仕上がりになりますので資料写真を集めて、自作することにしました。
 他にも主翼端後方のアンテナもパーツがありませんし、垂直尾翼先端のアンテナはパーツがあるもののただの太い丸棒なので、主翼のアンテナと一緒に伸ばしランナーで作り替えました。機首下面のレーダーポッドは少し大きすぎると思ったのですがキットのままです。
最後に
 完成すると全長約32cmと、それなりに迫力もあり見映えもします。しかし今の目でみると、形状的にも不満の残る部分もあるのはたしか。そこでここはぜひ、新規開発のキットがほしくなります。ドイツレベルから新キットが発売されるとの情報もありますが、このキットのOEMなのかドイツレベルの新規開発キットなのかは不明で気になるところです。

アカデミー 1/144 スケール プラスチックキット

USAF E-3G Sentry“ AEW&C”

製作・文/山田昌行

E-3G セントリー “AEW&C”
●発売元/アカデミー、販売元/インターアライド●3520円、発売中●1/144、約32cm●プラキット


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