HOME記事その他大森記詩がミキシング&キットバッシングで作り上げた「ファーダーベルガ 抗争用非正規ユニット“ベルトード”」作業機ベースの改造機であるオリジナルSFメカの製作過程に注目!!【MIXINGSCAPE】

大森記詩がミキシング&キットバッシングで作り上げた「ファーダーベルガ 抗争用非正規ユニット“ベルトード”」作業機ベースの改造機であるオリジナルSFメカの製作過程に注目!!【MIXINGSCAPE】

2025.07.18

MIXINGSCAPE/ファーダーベルガ 抗争用非正規ユニット“ベルトード”【スクラッチビルド 1/16】●大森記詩 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)

ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“

MIXINGSCAPE No.019

 彫刻家でありモデラーでもある大森記詩が「ミキシング/キットバッシング」の手法で作り上げたオリジナルSFメカを、その製作プロセスとともにお届けする連載企画MIXINGSCAPE。今回も多種多様な形状のパーツから生まれる新たなフォルムの数々をお楽しみいただきたい。


ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“左側面

 衛星軌道上における大規模争乱で受けた損害の早急な回復を図るコントーラ陣営の動向と、宙域ドックの稼働率が低下していたことによる各種艦艇の建造需要が集中したことで、ケレンゼン大特区は空前の造船特需を迎えていた。しかし、急激に増大した利権を巡る対立、コントーラの航宙戦力回復を妨害するメルギドなど過激派組織による建造中艦艇や関連施設に対する破壊工作、労働者抗議運動の扇動などから衝突が頻発する。このような状況下で、サイラシティのミッターヘルミットに代表される抗争組織の非正規機体を模倣した作業機の武装化が横行したのである。密造組織の機体はワンオフが主流であったが、同特区を本拠地とした造船大手であるディッカーガルツ社傘下で組織されたファーダーベルガは、主にマッシュベイルやスパーケルといったメーカーの作業用機体をベースにした改造量産機を多数手がけた。親元のガルツ社が戦場回収業にも通じていたことで、初期は“ベルトード”のような再生転用あるいはコピー兵器を搭載した安価な機体を中心に、密造能力を持たない中小武装組織向けに安定供給することでシェアを獲得している。最盛期には大特区外にも進出し、こうした機体が逆ルートでサイラシティにも流入した。拡散した機体とノウハウは、後にペネトレーターと呼ばれた浸透用機体にも大きな影響を与えている。

ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“右腕上半身アップ
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“左肩アップ

ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中1
▲作業機ベースの改造機ということで、俊敏さよりも安定感のある太めな脚のイメージで芯棒を組みました。当初は作業アームが一本で、反対側の腕部がオミットされて火器が機体に直接取り付けられているイメージでしたが、後述の小顔系になったこともあってアームの取り付け位置など順次組み替えながら進めています
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中2
▲ベトナム戦争時のガンシップ型UH-1を参考にしながら武装アームを取り付けました。改造機感を出すために、こちらのアームは機体色と変えたいところ。移植・転用されていることを色でも強調したいので、武装アーム側には広めに塗れる部分としてプラ板で防弾プレートを作りました。
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中3
▲武装アーム本体も戦闘ヘリの武装として吊るされていそうな構成で、光学兵器と下部にロケット弾発射器が組み合わさった複合型にしています。直線的なラインだけでは単調になってしまうのでケーブルを追加して緩急をつけました
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中4
▲作業アームは足元まで届くように多関節で長いものになっています。航空機キットの胴体と主翼をつなぐ桁や骨組みパーツは、まさにモールドが構造という趣なので、腕部や脚部のディテールとして重宝します
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中5
▲顔にあたる部分をどのようにするか思案していたところ、作業しながら見ていたドキュメンタリーに出てきたシロクマやメガテリウムのシュッとした頭部が印象的だったので、このイメージで頭部にあたるセンサー部分をギュッと小顔にして、その対比でより逞しい体躯となるようにしました。元デザインも素晴らしい上に、流用パーツとしても隅々まで使えることで定評のある万能選手「ハイゴッグ」から腕パーツを拝借し、これを頭部の中心にしてドイツ戦車のマズルブレーキ、航空機のエアブレーキなどを組み合わせています
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中6
▲機体縦方向の量感に対して、機関部は横方向に膨らませてみました。脚部の外装との統一感も意識してプラケース、いつもお世話になっているウェーブの細長丸パイプでまとめています。細長丸パイプを量として使う場合、開口部をプラ板で塞ぐ、もしくはパテで塞ぐなどお好みで。パテを充填する際は中にアルミホイルなどを詰めることでパテを節約しています
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“製作途中7
▲小振りな頭部や末端に集約していくポイントが前方に集中しているので、量はそのまま後方へも集約する指向性を持たせるためにバーを追加してみました。想定するスケールだと2mm径ほど欲しかったので、加工しやすい素材としてタミヤ透明ソフト丸棒を使っています。今回もランナーから英数字モールドを移植していますが、海洋堂ARTPLAのものが文字サイズも大きく厚みがあって、これくらいのサイズでメカを作る時にとても良い感じです! ランナー自体の形状や凹モールドもいろいろなディテールとして使えるので、今後も集めていきたいと思います
ファーダーベルガ抗争用非正規ユニット“ベルトード“

1/16スケール スクラッチビルド

ファーダーベルガ 抗争用非正規ユニット“ベルトード”

製作・文/大森記詩

全高25cm×全福13.5cm×奥行25cm


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