【試し読み】現代ガンダムの集大成「PGU νガンダム」に込められたこだわりとは?設計担当の曽根大地氏と企画担当の稲吉太郎氏が語る。完成見本の撮り下ろしもお披露目【月刊ホビージャパン8月号より抜粋】
2025.07.05PERFECT GRADE UNLEASHED RX-93 νガンダム 開発記録 Vol.1 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)
PGU νガンダムの実現に立ちはだかるフィン・ファンネルの壁
――商品企画は稲吉さんが担当されたわけですが、どのような方向性を考えて仕様や内容を決めていったのでしょうか?
稲吉 基本的には「1/60サイズでできることは何なのか?」ということを落とし込んで企画を進めて、3つの商品の打ち出しポイントを提案しました。ひとつ目は「アルティメットユニットシステム」。1/60サイズのパーツ分割だからできる、フレームやユニットごとに組み立てができるパーツ構成や仕様をこのように呼称しています。ふたつ目がガンプラ45周年の集大成アイテムということで、二次加工済みのランナー、金属パーツ、リード線などを使った表現を投入することで密度感を上げていること。3つ目は私がコレクターズ事業部出身だということで提案した、組み立て後の遊び様です。LEDギミック、ハッチオープン、そしてポージングというディスプレイをしていても楽しめる要素になります。
――可動も含めて1/60スケールというサイズ感がひとつの大きなポイントではあるわけですね。
稲吉 そうですね。完成時は結構な大きさになるので、ものすごくたくさん動かすというよりも、1/60サイズだから映える部分を意識し、1/60サイズだとダメになってしまうところをケアした可動を考えています。特に足腰に関しては、教科書のような整えでアプローチしてくださっています。
――そのなかでも重要なのがフィン・ファンネルの保持なんですね。
稲吉 フィン・ファンネルは設定通り、バックパックから平行に近い角度で取り付けることができるのですが、1/60サイズになると巨大な板が横に並んで付いているのがものすごく野暮ったく見えてしまうんです。そこで、ここには私のワガママを曽根さんに伝えて叶えてもらった機構が入っています。接続されたフィン・ファンネルは、基部で湾曲するようにしていただいて、設定通り横に平行に並べて取り付けることができるのに加え、身体に沿わせたり、少しずつ角度を付けるなどのちょっとした色気を出して飾ることができます。フィン・ファンネル自体がただでさえ重くて、嵌合もさせないといけないのに、そこにも可動軸を入れ込む。そうするとさらに重くなってしまうわけです。まさにやりたいことと実際のものづくりが完全に矛盾というか、相反する要素なのですが、そこに今のホビーディビジョンの技術を凝縮した構造をかたちにして、設計に落とし込んでいただきました。
――νガンダムは映画制作時、設定を作っていくにあたって「マントを付けたガンダム」というコンセプトがあったわけですが、まさにそのイメージを表現しているところでもあるわけですね。
稲吉 私自身も開発担当としてνガンダムについていろいろと勉強しているなかで「マントを付けたガンダム」というコンセプトがあったと聞いていたので、今回のPGUではそういった要素もぜひ組み込んでみたいと思い、この機構は強く進言させていただきました。さらに、シールドに関しても取り付け部分に可動軸を仕込んでいただきました。シールドも設定通りだと腕に平行に付けるかたちになってしまうので、1/60サイズだと直角にシールドが固定されるとやはり野暮ったくなってしまう。そこで基部で可動することで微妙に角度を調整でき、干渉を回避させることができるようになっています。そういった1/60で飾ることを意識した細かい可動域がふんだんに詰め込まれています。
完成見本を撮り下ろし!
インタビュー時に静岡ホビーショーでも展示された完成見本をその場で撮影することもできたので紹介していこう。
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■PGU RX-78-2 ガンダムから進化した内部フレーム表現
■1/60サイズのνガンダムだからこそやれること、できたこと
■1/60サイズだからこその可動性とポージング
■νガンダムだからこそこだわりたかったポイント
続きは「月刊ホビージャパン2025年8月号」に掲載!
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