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アカデミー製「ドイツパンター戦車G型最後期生産型」 で「if設定」の東部戦線”ベルリン陥落”を舞台にしたディオラマを製作!

2025.06.11

ドイツパンター G型最後期生産型【アカデミー 1/35】●野島哲彦 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)

廃墟のレクイエム

終戦があと1年遅ければ……
鉄壁のナチスドイツがソ連軍に首都にまで
攻め込まれた上、さらには“降伏の白旗”を上げた
時には、自軍の兵士に狙撃されてしまう……。
鬼畜とも取れるこの状況下での「正義とは?」
「救いの無いこの状況でのせめてもの救いを求めて……。」

野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」特撮

 第二次大戦末期の1946年、第三帝国の首都ベルリン奪取を巡り、この世とは思われぬほどに破壊された廃墟の中で、敵味方の区別すらない激しい攻防は、ようやく終わりを告げようとしている……。瓦礫の上に遺棄されたパンター戦車G型最後期生産型を主役に、終戦が1年伸びたイマジネーションの世界をディオラマ展開。渾沌の中に整理された構成、フォルムとディテールがみごとに調和したアーティスティックな再現に注目!

野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」全体
▲ディオラマは大戦末期ベルリンの悲哀と静けさを表現。現実には起こらなかった「if設定」だが、非常に説得力のある作品に仕上げられている
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」全体左側
▲1944年3月から生産を開始、大戦末期のドイツ軍主力戦車だったパンターG型。1945年以降の仕様を再現したアカデミーの最後期型キットを製作
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」ディオラマの裏側
▲ディオラマの裏側となる建物の内部も再現しており、360°の視点にも対応。瓦礫や割れたガラスが散乱する2階の室内フロアには、ビン入り飲料とケース、箱の上に乗るネコなどが配置されている
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」がれき
▲破壊された建物から落下し、路上に積み上がった石材や木材の瓦礫の山。スタイロフォーム、石膏、レンガなどの素材を組み合わせて高低差を意識して積み、自然なかたちの表現を目指した
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」パンターG型車体後部
▲パンターG型の車体後方。各部の最後期型仕様に加え、グリーンの工場基本塗装色の車体とキューポラ、レッドオキサイドのまま搭載された砲塔など、混乱した製造現場を窺わせる塗装にも注目
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」
▲狭いベースの中に高低差とバランス、メリハリを表現。車体ぎりぎりの面積のベースは高さのあるタイプを選択、さらにベース奥に建物を配置することで縦方向の立体感を強調している
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」パンターG型製作途中
▲アカデミーのG型最後期生産型は部品点数も少なく組み立てやすい良キット。使用感やダメージ表現、物資や部品、燃料不足の状態を再現するための要素も取り入れている
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」ベース製作マテリアル
▲製作に準備した追加マテリアル類。建物はカット済みのスタイロフォーム数枚と合板からなる組み立てキットを使用。組み上げるだけで欧州の破壊された建物が完成する
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」製作途中
▲ベース上にパンターと建物を仮配置し、車体や砲塔の向き、建物の位置などをイメージに合わせていく。プロット相談は吉岡和哉氏、ラッピングベース提供は下谷岳久(タケポン)氏
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」製作途中2
▲建物の壁の表現にはさまざまな技法を用い、レンガの質感や崩れかけた様子のリアルな再現を目指した。塗装もアクリルガッシュの手描きを多用し、全体の重みと深みを意識している
野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」製作途中3
▲路上に積もった瓦礫は、軽量なスタイロフォームの大小さまざまな破片を活かしつつ、さらに石膏を使ったり、市販の1/35スケールレンガなども組み合わせている

■作品について
 作品タイトルは「Requiem der Trümmer(瓦礫の鎮魂歌)」であり、戦場の悲哀と静けさを表現しています。今回の作例は、大戦末期の東部戦線“ベルリン陥落”を舞台にしたif設定としました。「もしも終戦が1年延びていれば……」的なプロットで想像を働かせて、私なりのアート的要素も盛り込みつつ製作してみました。もしよろしければそのあたりを踏まえて作品を見ていただき、いろいろと妄想やら考察をして楽しんでいただけたら製作者としてこの上なく幸いであります。

■製作のポイント
 パンターG型の組み立てですが、使い込まれた感じや破壊された部分、さらに物資や交換用部品や燃料の不足状態を再現するための要素も取り入れて製作しています。キット自体は、ディテールが精密に再現されておりながら、かつ部品点数も最小限に抑えてあるので、組み立てやすい良キットです。若干、組立説明書に分かりにくいところもありますが、注意して組み立てれば問題はありませんので、ビギナーからマニアにも楽しめる良キットだと思います。
 ディオラマの中心である建物ですが、メーカーは不詳ですが1/35「ヨーロッパの古い建物」もしくは「燃える建物」という製品をベースに使用しました。Amazonで多数の輸入業者が扱っている製品ですがカット済みのスタイロフォーム数枚と合板からなる組み立てキットで、組み上げるだけでヨーロッパの破壊された建物になるというものです。狭いベースの中に高低差とバランス、メリハリを表現するアイテムとしてひと役買ってくれているのですが、安価で手に入るという意味では「良い時代になったものだなぁ」と素直に感動しました。もちろん微細なところに多数手を入れて仕上げています。
 壁の表現はレンガの質感や崩れかけた様子をリアルに再現するために、さまざまな技法を用いています。今回はアクリルガッシュの手描きを多用することで、塗装全体の重みと深みを意識しました。
 地面を覆う瓦礫ですが、大小さまざまな破片を軽量なスタイロフォームを活かしつつ、高低差を意識して組んでみました。さらに石膏を使ったり、市販の1/35スケールのレンガなどを組み合わせ、破壊された瓦礫の山を自然なかたちで表現することを意識しています。

野島哲彦製作「ドイツパンターG型最後期生産型」

アカデミー 1/35スケール プラスチックキット

ドイツパンターG型最後期生産型

製作・文/野島哲彦

ドイツパンターG型最後期生産型
●発売元/アカデミー、販売元/インターアライド●4180円、発売中●1/35、約24.7cm●プラキット


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野島哲彦(ノジマテツヒコ)

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