アカデミー製「ドイツパンター戦車G型最後期生産型」 で「if設定」の東部戦線”ベルリン陥落”を舞台にしたディオラマを製作!
2025.06.11廃墟のレクイエム
終戦があと1年遅ければ……
鉄壁のナチスドイツがソ連軍に首都にまで
攻め込まれた上、さらには“降伏の白旗”を上げた
時には、自軍の兵士に狙撃されてしまう……。
鬼畜とも取れるこの状況下での「正義とは?」
「救いの無いこの状況でのせめてもの救いを求めて……。」
第二次大戦末期の1946年、第三帝国の首都ベルリン奪取を巡り、この世とは思われぬほどに破壊された廃墟の中で、敵味方の区別すらない激しい攻防は、ようやく終わりを告げようとしている……。瓦礫の上に遺棄されたパンター戦車G型最後期生産型を主役に、終戦が1年伸びたイマジネーションの世界をディオラマ展開。渾沌の中に整理された構成、フォルムとディテールがみごとに調和したアーティスティックな再現に注目!
■作品について
作品タイトルは「Requiem der Trümmer(瓦礫の鎮魂歌)」であり、戦場の悲哀と静けさを表現しています。今回の作例は、大戦末期の東部戦線“ベルリン陥落”を舞台にしたif設定としました。「もしも終戦が1年延びていれば……」的なプロットで想像を働かせて、私なりのアート的要素も盛り込みつつ製作してみました。もしよろしければそのあたりを踏まえて作品を見ていただき、いろいろと妄想やら考察をして楽しんでいただけたら製作者としてこの上なく幸いであります。
■製作のポイント
パンターG型の組み立てですが、使い込まれた感じや破壊された部分、さらに物資や交換用部品や燃料の不足状態を再現するための要素も取り入れて製作しています。キット自体は、ディテールが精密に再現されておりながら、かつ部品点数も最小限に抑えてあるので、組み立てやすい良キットです。若干、組立説明書に分かりにくいところもありますが、注意して組み立てれば問題はありませんので、ビギナーからマニアにも楽しめる良キットだと思います。
ディオラマの中心である建物ですが、メーカーは不詳ですが1/35「ヨーロッパの古い建物」もしくは「燃える建物」という製品をベースに使用しました。Amazonで多数の輸入業者が扱っている製品ですがカット済みのスタイロフォーム数枚と合板からなる組み立てキットで、組み上げるだけでヨーロッパの破壊された建物になるというものです。狭いベースの中に高低差とバランス、メリハリを表現するアイテムとしてひと役買ってくれているのですが、安価で手に入るという意味では「良い時代になったものだなぁ」と素直に感動しました。もちろん微細なところに多数手を入れて仕上げています。
壁の表現はレンガの質感や崩れかけた様子をリアルに再現するために、さまざまな技法を用いています。今回はアクリルガッシュの手描きを多用することで、塗装全体の重みと深みを意識しました。
地面を覆う瓦礫ですが、大小さまざまな破片を軽量なスタイロフォームを活かしつつ、高低差を意識して組んでみました。さらに石膏を使ったり、市販の1/35スケールのレンガなどを組み合わせ、破壊された瓦礫の山を自然なかたちで表現することを意識しています。

アカデミー 1/35スケール プラスチックキット
ドイツパンターG型最後期生産型
製作・文/野島哲彦
ドイツパンターG型最後期生産型
●発売元/アカデミー、販売元/インターアライド●4180円、発売中●1/35、約24.7cm●プラキット
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野島哲彦(ノジマテツヒコ)
ご無沙汰です。ついに60歳の大台に乗っかってしまった老人モデラーです(笑)。これからも老眼と日々闘いながらもバリバリ製作し続けます。