『魔神英雄伝ワタル』の魔神「ヘルコプター」をタカラ 魔神大集合(マシンコレクション)を使用して徹底工作!7割以上自作部品のほぼスクラッチとなった秀逸作例を詳しく解説!【サンライズメカニック列伝】
2025.06.08サンライズ・メカニック列伝 第72回/ヘルコプター【タカラトミー】 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)
ヘルコプター
(『魔神英雄伝ワタル』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は『魔神英雄伝ワタル』から、ドアクダー魔神「ヘルコプター」の作例をお届けしよう!
ヘルコプターは異世界・創界山に救世主として召喚された戦部ワタルの前に敵として立ち塞がった3体目の魔神である。ドアクダー七人衆のひとり、クルージング・トムの部下でアップダウンシティの支配者、サンダーブルーが搭乗し、飛行能力と強大な火力で龍神丸と戦神丸を窮地に追い込んだ。また、空戦用の魔神でありながら腕力も強く、『七魂の龍神丸』では同型機が接近戦で邪虎丸を圧倒。いわゆるボス級ではないものの、バトルゴリラと並んで多くのファンに強い記憶を残す魔神である。
タカラ 魔神大集合(マシンコレクション)の作例は田仲正樹が私物を投入して製作。キットのフォルムを全面的に見直し、各関節をフル可動化。特徴的なギミックは活かしながら全体の7割以上を自作の部品に置き換えた、ほぼスクラッチというべき徹底工作作例として完成させている。
[製作途中状態]
「魔神大集合」は低年齢層をメインターゲットとした組み立て式トイ。劇中の印象的なギミックが再現され、初心者でも作りやすく、頑丈で安全性も高いが、一方で可動は限定的で、各部の形状も中沢数宣氏によるシャープな設定画から離れ気味なのは仕方のないところだろう。また、肉厚のABS樹脂と軟質樹脂製という材質の関係上、改造や作りこみも相当に難しい。作例はキットのフォルムを1から見直し、可動部の新造と各部のシャープ化およびディテールアップを行ったもの。全体の7割以上を自作したパーツに置き換え、使用したキットのパーツすべてに手を入れた、スクラッチに等しい徹底工作作例である。一方で製作途中画像からは、頭部や脚部等はパーツの基の形状が活かされていることがわかり、キットの味を可能なかぎり残そうとする田仲氏の意図も見えてくるはずだ。
[頭部/胴体]
頭部は設定画を参考に前後に延長し、額のカメラを市販のノズルパーツに置き換え。黄色の頬当てはプラ板を積層し形状変更。機首は「某サメ映画のサメ」的な印象をより強くするためにエポパテで大型化。機首の展開ギミックはキットのものを活かし、内蔵のキャノン砲は肉抜きを埋め、砲身をプラパイプに置き換えた。左右のエンジンブロックは前から見た形が台形になるようにプラ板で作り直し。翼は1/144ネオファムのスリング・パニアーのものを形状変更して使用。股関節はHGUC No.32シャア専用ザク(以下HGザク)のものでボールジョイント化し、腰の後部にエポパテを盛って設定画の雰囲気に近づけた。テールブームはHG ガザCのスタビレーターを形状変更したものに交換し大型化。シュリケーン機関砲は砲身を真鍮パイプと真鍮線に交換しシャープ化し、本体は左右にプラ板を接着してボリュームアップした。
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田仲正樹(タナカマサキ)
月刊ホビージャパンガンダム班と「宇宙船」誌映像倶楽部に所属。「『フレンチ・コネクション』は2も好き」とのこと。