HOME記事その他大森記詩が放つオリジナルSFメカ「非統制多脚戦車”グラクネル”」が登場! クモを彷彿させるビジュアルや独自の世界観を堪能せよ!【MIXINGSCAPE】

大森記詩が放つオリジナルSFメカ「非統制多脚戦車”グラクネル”」が登場! クモを彷彿させるビジュアルや独自の世界観を堪能せよ!【MIXINGSCAPE】

2025.06.24

MIXINGSCAPE/非統制多脚戦車”グラクネル”【スクラッチビルド 1/35】●大森記詩 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)

大森記詩スクラッチビルド「非統制多脚戦車“グラクネル”」

MIXINGSCAPE No.018

 彫刻家でありモデラーでもある大森記詩が「ミキシング /キットバッシング」の手法で作り上げたオリジナルSFメカを、その製作プロセスとともにお届けする連載企画 MIXINGSCAPE。今回も多種多様な形状のパーツから 生まれる新たなフォルムの数々をお楽しみいただきたい。


グラクネル 全体

「カーシガ、見える? グラクネルの直掩にいる二脚達を頼みたいのだけど」

「また囮かね? 今回も取り分に期待するとしよう」

「状態の良い脚が獲れたら、あなたの総取りでどう? ヤザにはまだ経験 が足りないから、お手本を見せてやってほしい。それにしても、あれが観測隊の言う母艦から放たれているのだとしたら、大規模な遠征になるかもしれない。ケーレスブーンの夕暮れともお別れか。残念」

「それは、好条件だ。しかし、駒だけでなく、艦まで新造されているという話が事実なら、たしかに厄介だ。速やかに発見の上で破壊、あるいは」

「奪取、したいでしょうね。彼らはそう考える。破壊しても剥ぎ取れないのでは、割に合わないもの。観測隊と協働するなら、欺瞞コードの提供も期待できるかな。きっと、ブーシュ辺りがもう渡りをつけてるはず。バリンガンに戻ったら準備を始めましょう。ジュエルダにも声をかけてみようか。 そろそろ蓄えも減った頃合いだろうし」

「戻ったら機体を分解整備に出すとしよう。弾も目一杯必要だ。ちょうど 馴染みが乗り込んでる輜重艦が来る。今回も買い付けは任せてくれ」

「お願いするわ。じゃあ、一層気合いを入れて仕留めましょうか。ヤザ、ディーレイで火力支援を、カーシガに当てないようにね」

グラクネル 側面拡大1
グラクネル 側面拡大2

グラクネル 素体
▲前回は歩行できる脚部を持たない宇宙用機体を作ったので、その反動から脚が持ち越されて六脚メカになりました。多脚のスタイルでは定番の蜘蛛型配置などが浮かぶところですが、せっかくなので脚の付け方を工夫したいところです。しばしの芯棒組み替えを経て、自走砲のように後方に重量があって、馬力のありそうな二脚とそれを支える四脚のユニットが組み合わさっているという構成にしてみました
グラクネル 製作過程画像1
グラクネル 製作過程画像2

▲自走砲的なイメージからスタートしたこともあって、当初は無砲塔で固定式砲を搭載しているというのも思案していたのですが、それだと自走砲のイメージそのまま過ぎますし、全周砲塔が1基というのはいかにも過ぎるし…それならば多砲塔? となり、そこから直列で砲塔2基配置の戦間期フランス戦車FCM F1などを思い出しつつ、脚部、機体、全周砲塔で高低差を強調した三段構造の姿になったのでした。機体の背中にあたる部分はタミヤ1/35キングタイガー(ヘンシェル砲塔)の砲塔底面パーツをベースにしつつ、そこに円筒プラケースのフタを重ね、砲塔基部らしい厚みを持たせています。フタのところまでは正中線を基準にして積み上げていますが、砲塔もそのまま中心軸で配置すると単調になってしまうので、ズラして取り付けました

グラクネル 製作過程画像3
▲それぞれの砲塔は、ジープ/コマンドカー系の車体パーツを中心に、特に上面はそのモールド/窪みを利用しながらディテールを追加しています
グラクネル 製作過程画像4
▲前部の砲塔は、上方をカバーするための外装によって扁平な印象ですが、これが良い感じになったので正面や側面からのシルエットと量感でこれを打ち消してしまわないように意識しています。機関砲の弾倉的な部位を作り、これを基準にしながら接続部との外見的な兼ね合いも踏まえてディテールを加えていきました
グラクネル 製作過程画像5
▲後ろ側の外装は車のボンネットを切り出して使っています。ふと、多脚なのだから前後関係なく動けますな…となったので、前後が切り替わってもそのまま行動できるようにカメラやセンサーらしく見える箇所を設けました
グラクネル 製作過程画像6
▲機体色をざっと塗り、ツヤ消しにしたグレー系のエナメル塗料を使ってウォッシングの要領で全体のトーンをいったん落としました。機体色のメインであるウッドブラウンにダークイエローやミドルストーンを加えながら再び塗り進めていくのですが、この時に塗料皿で各塗料を完全に混ぜ合わせるのではなく、その都度で色の割合を変えながら筆を重ねて表情を増やすようにしています
グラクネル 塗装前全体
▲六脚だと文字通り部位が複数なので、フォルムとディテールの関係性や密度の塩梅を考えるポイントがより多くて楽しいですよね。四脚でももちろんなのですが、次の機会には動きをもっと感じられる多脚メカに取り組んでみたいと思います。動きそうなフォルムとポージングのバランスなど、一層やり甲斐もありそうで、これはじっくり取り組みたいところです
大森記詩スクラッチビルド「非統制多脚戦車“グラクネル”」

1/35スケール スクラッチビルド

非統制多脚戦車“グラクネル”

製作・文/大森記詩

全高23cm×全福34cm×奥行32cm


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