【コードギアス 新潔のアルマリア】ep05「あなたの目的は?」
2025.05.09『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語
『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。ブリタニア共和国の首都、ニューマーリンに降り立ったハクバたち。空港で出迎えてくれたセシル・クルーミー博士に連れられ、一行が目指した先は…。新たな展開が待ち受ける『新潔のアルマリア』第5話、開幕!
STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
ナイトメアフレーム新月モデル製作 おれんぢえびす
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部
ep05|『あなたの目的は?』
ブリタニア共和国の首都、ニューマーリンにあるセントクレア国際空港に降り立ったハクバ、サトリ、ドクの三人。出入国審査カウンターを通ったサトリが自分のパスポートを眺めながら小首を傾げる。
「あれ? ブリタニア共和国になってる。ブリタニアって公国じゃなかったっけ?」
「うわっ、まだそんなこと言ってる人がいる。サトリ、ニュース見てないの?」
「えっ? 何かあったっけ?」
学生のようなやり取りをしているサトリとドク。あとから来たハクバが見かねて修学旅行を引率する教師のごとく説明する。
「数ヵ月前にあらためられたんだよ。3年前に最後の皇帝であるルルーシュが死んだあと、貴族の復権を掲げた大貴族が領地を寄せ集めて、ブリタニアは公国として再スタートした。ここまでは知ってるだろう?」
「うん。当時の大貴族連合の人たちが中心になって作ったって」
「でも、上手くいかなかったんだ」
「帝国時代の栄華を忘れられなかったんだろうね。自分たちだけ甘い汁を吸おうとするから、国が立ち行かなくなったんだ。馬鹿な話さ」
ハクバの言葉を受けて、辟易とした様子でドクが答える。
「ブリタニア人のドクでもそう思うの?」
「もちろん。僕の家はごく普通の平民の家だったからね。搾取される側だったからせいせいしてるよ」
「ふ~ん。で、どうしようもなくなったから共和制になったんだ?」
「元貴族たちは帝政に戻そうとしたみたいだけどね」
「でも、泣きついた方が悪かった」
「あっ! それって……」
出口に向かっていたサトリたちの目の前に、大きく「ようこそ、ブリタニア共和国へ」と入国を歓迎する看板が掲げられている。そこに写っているのはシュナイゼル・エル・ブリタニア。かつて、神聖ブリタニア帝国の宰相を務めていた第2皇子。
「そう。シュナイゼル大統領だ」
利権争いが収まらず、早々と公国としての限界を悟った大貴族連合は、シュナイゼルを新しい皇帝に迎えて帝国の復興を画策したが、冷静に世界情勢を見据えたシュナイゼルはこれを拒否。ブリタニア人の民主制を重視し、共和国へと導いたのだ。
「おっと、説明がまだ足りないが、サトリへの社会の授業はまたあとにするか」
「へっ?」
ハクバが何かに気づいたように視線を下げる。同じようにサトリが看板から視線を下げると、そこにはサングラスをかけた女性が手を振っている。
「あのきれいな人が協力してくれるって言ってた……」
「セシル・クルーミー博士だ!」
サトリもセシルの容姿の美しさに驚いたが、それ以上に驚いた声を上げたのがドク。伝説ともいえる第九世代ナイトメアの開発に関わった技術者としてのセシルに会えたことに感動を隠せないでいる。
「あなたたちが、ラクシャータさんが連絡をくれたエージェント新月ね」
と、サングラスをずらしながらハクバたちを見るセシル。
「すみません。わざわざ出迎えていただいて」
「いいのよ。道すがら話したいこともあったから」
にっこりと微笑むセシルとハクバが握手を交わす。
ワイキキにある黒の騎士団本部の会議室。ゼロを中心に中核メンバーが中央に据えられたモニターを注視している。そこには、先日の本部襲撃の様子を記録した映像が流れていた。
「エージェント新月のおかげで被害は最小限に抑えられたか」
「ああ。神楽耶のやつに礼を言っておかないとな」
映像を見るゼロにコーネリアが答える。その一方で総司令であるインディラの表情は暗い。
「ゼロ……。私を糾弾しないのか……」
「糾弾などしない。あなたほどの武人なら、自分の落ち度は承知しているだろう。それならば、この襲撃者の正体を掴むことを優先すべきだ」
「わかった……」
ゼロに責任を問われなかったとしても、自責の念でインディラの表情が晴れることはない。
「コーネリア大将。捕らえた襲撃者たちの身元は割れたのか?」
「うむ。これを見てくれ」
ゼロの問いに答えるようにコーネリアが手元のタブレットを操作すると、中央モニターに20名ほどの顔写真と名前、簡単な経歴が映し出される。
「これは……」
映し出された襲撃者の共通点に気づいた香凛の口から、つい言葉が漏れる。
「そうだ。全員ブリタニア人。それもかつてブリタニア軍に所属していた者たちばかりだ」
コーネリアがばつが悪そうに香凛の言葉を拾う。
「なるほど。こちらもそうか」
「こちらもって、先に報告のあった神楽耶さま襲撃も?」
ゼロの言葉に、日本で起きた皇神楽耶が襲撃された事件を思い出すジノ。
「ああ。私が日本に渡っていた際、皇神楽耶を襲撃した武装集団も全員が元ブリタニア軍人だ」
「それって……」
と、会議室内のリュボフや古仁科たちがざわめく。
「ブリタニアのクーデター?」
誰かが、その言葉を口にしてしまう。
「それは違う」
迷うことなく否定するゼロ。
「私たちは超合集国から国防を請け負っている黒の騎士団だ。ブリタニア共和国は超合集国加盟国。憶測で安易にそういった言葉を口にするべきではない」
その場にいる士官たちはゼロの言葉を黙って聞いている。
「逆を言えば、超合集国各国で暮らす人々の平和を脅かす者は誰であろうと許しはしない。それが我々黒の騎士団だ。襲撃者の身元は判明したが、その目的も首謀者も不明のまま。一刻も早く人々の脅威を取り除く必要がある。いいな?」
「はっ!」
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