『未ル わたしのみらい』
現在放送中のTVアニメ『未ル わたしのみらい』は、産業機械メーカーのヤンマーが製作・プロデュースし、毎話異なるアニメ制作会社に制作を委ねるオムニバス形式を採用。さらに通常の製作委員会方式を撤廃するという、アニメ業界でも非常に珍しい手法で生まれた。
異なるスタジオが手がける多彩なストーリーとキャラクターデザインが交錯する中、その中心にいるのがロボットの「MIRU(ミル)」だ。本記事では、そんな本作の魅力について深掘りする。
文/オオマツ(ホビージャパン編集部)
※オムニバス形式
いくつかの独立したストーリーを並べて、全体で一つの作品にしたもの。
自分たち自身で未来を掴むために
ヤンマーは長年、農業・建設・エネルギーといった世界のさまざまな現場で“暮らし”を支えてきた。本作を通じてヤンマーが描きたいのは──そういった多様なコミュニティを尊重し、支え合う「未来の暮らし」ではないだろうか。
MIRUは時に子どもに寄り添い、時に孤独な大人を見守り、時に社会全体を俯瞰する。
エネルギー産業を基盤とするヤンマーらしく、MIRUの装備やアタッチメントは“武器”としてではなく“未来を拓く道具”としてデザインされている。
ただ、本作の中核を担うMIRUのデザインやアタッチメントは、最初から今の姿だったわけではない。
デザインスケッチから立体物まで“多様性のデザインプロセス”をたどる
今、この閉塞感のある時代だからこそ
未来は自分たちで掴めることを
思い出してほしい
ヤンマーホールディングス 非常勤取締役 兼『未ル わたしのみらい』エグゼクティブプロデューサーの長屋明浩氏は去る3月に行われた先行試写会にてこう語った。
「今って紛争や震災などの、身に降りかかるさまざまな災害に対して『どうせ起きるんだから…』といった閉塞感が常に付きまとう時代だと思うんですよ。でもそんな時代だからこそ、そういった閉塞感の中で流れに身を任せるのではなく、“その先に何を想像して、どんな一歩を踏み出すか”を考えるきっかけになってほしいんです。未来を自分たちで掴むことを後押しできるようなプロジェクトを、我々が先兵としてチャレンジしてみせたかったんです。」
その意向が各話に反映されており、
主人公たちがさまざまな困難に直面したとき、「自分にはどうしようもない」と諦めるのではなく、
その先の未来に何を想像し、自分には何ができるのかを考える——。
MIRUは、そんな前向きな思考を支え、解決へと踏み出す手助けをする存在として描かれている。
エネルギーやアタッチメントを貸し、背中を押してくれる相棒のような存在だ。
本作は、娯楽としてのアニメーション作品や、企業が作るプロモーション映像の枠を跨ぎ、さらにその先を見据えた作品に仕上がっており、直接的ではないにせよ、現代の社会課題を内包した、社会派のアニメとしての側面を感じさせる。
この作品が生まれた社会的な背景にまで目を向けると、物語はアニメの中だけで完結せず、視聴者自身の身近な生活にも影響を与えうる前向きなモチベーションを秘めていることに気づかされる。
本作はオムニバス形式で描かれており、どのエピソードからでも気軽に楽しめる構成となっている。
ぜひ、肩の力を抜いて視聴してみてはいかがだろうか。
配信情報
TVアニメ『未ル わたしのみらい』
全5話
◆TV放送
2025年4月2日(水)よりTV放送開始
MBS:毎週水曜26:30~
TOKYO MX:毎週木曜22:00~
◆配信
2025年4月3日(木)より
毎週木曜22:30以降に順次配信
※配信開始日時はサービスによって異なる場合がございます
◆公式WEBサイト
https://miru-anime.com/
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