いよいよ本日より予約開始!やりすぎ!? あみあみ×蝸之殻1/12「I:P マスカレーナ Ver.1」デコマスから製品までの道のりを開発者自ら語る【遊戯王カードゲーム MFC】【後編】
2024.10.25「遊戯王カードゲーム」の25周年を記念して “メーカーの垣根を越えた歴代モンスター立体化プロジェクト”が本格化。さまざまなメーカーから超精巧なスタチューフィギュアがリリースされるなか、新ブランド・あみあみ×蝸之殻 Snail Shell よりついにアクションフィギュア「I:P マスカレーナ Ver.1/遊戯王カードゲームモンスターフィギュアコレクション(以下、I:P マスカレーナ Ver.1)」が登場する。
決闘者の諸君! こんにちは!
「I:P マスカレーナ Ver.1 1/12 完成品アクションフィギュア/遊戯王カードゲーム モンスターフィギュアコレクション 」の企画・開発を担当しております、あみあみ中国事業室のビュービューです。
本題に入る前にまず予約解禁が遅れたことについてお詫びさせていただきます。6月に掲載された前編では「2024年夏頃」と予約解禁日を発表したのですが、諸事情で再度延期になり、結果的に秋解禁となりました。申し訳ございません。
商品情報をご覧になりましたでしょうか? 実は商品画像に映っているのはレジン製のデコマスではなく、工場で成型したパーツを一部工場プリントとフィニッシャーさんが塗装して制作した彩色テストショットです。その調整を予約解禁前に行ったためいろいろと時間がかかりすぎてしまいました。
ではここからは本題に入ります。本日は I:P マスカレーナ Ver.1の予約開始を祝して、前編に続き開発の裏話を話していこうと思います!!
前編は企画~実物原型までの開発過程を紹介しましたので、今回はデコマスの開発からお話させていただきます。一言でまとめると…いろいろとやりすぎです!
まずは彩色から語りましょう。デコマス1回目の彩色は、ほとんどフィニッシャーさんにお任せしました。唯一こだわったリクエストは、本体のメインカラーに「偏光塗料」を使うことです。(※偏光塗料とは、角度によって色が変わって見える塗料のことです。)
I:P マスカレーナの服はエナメル合皮のような質感に見えますので、量産品の再現度を考慮してまずは成型色を却下しました。普通の光沢塗料で塗っても良かったのですが、塗料だけで何か面白みをもたせたかったので、普段あまり使われない偏光塗料の投入は企画初期段階で決定していました。
ワンフェスでご覧になった方ならおわかりかと存じますが、全身青や赤、紫に変化して見えるギラッギラな塗膜がとてもキレイです! とは言えこれは彩色1回目なので、他の部分に修正すべき箇所は存在します。
本来はこうした細かい部分を少し修正すれば無事量産に進めたはずでしたが…ワンランク上の彩色表現をユーザーに提供したくて、再度コナミさん、フィニッシャーさんと彩色の検討を行いました。ボディスーツのストライプ柄の彩色は当時のイラストに準拠しており、「ノーマルカード」のイメージに近い「オレンジ」と「シルバー」で仕上げています。
余談ですがデコマスを制作していた 2023年末頃は、遊戯王OCG商品「TACTICAL-TRY DECK 怪盗コンビEvil★Twin」は未発売のため、「I:P マスカレーナ」のノーマルカードは存在していませんでした。SR以上のレア度のカードはすべて、特殊加工によってオレンジの部分が反射で光っており、メタリックな輝きを確認できます。それとは対照的にシルバーの部分は光らないので、フードや袖口のホワイトに近い色に見えます。カードの反射具合まで再現するために大幅な彩色調整を決定しました。
そういった照明によるカラーチェンジが起こるので、色の変更はリクエストしにくいものです。それまでは画像と文字資料で依頼していましたが、今回はメタリック表現が入ったため、色見本帳を使用しても目視判断が難しくなり、自分がほしい色をフィニッシャーさんに伝えるのが難題でした。この問題を解決するために、リクエストした「メタリックオレンジ」と「ホワイトシルバーメタリック」を私自身が調色し、初期原型の両脚に塗って色校正サンプルとしてスネイルさんに送りました。これでようやく思い通りの彩色が仕上がりました。
では彩色関連のエピソードは以上になります。次は布製の上着の開発過程を紹介させていただきます。
上着も企画初期から布で作ると決定していたものです。可動への支障がなくキレイに見える生地を見つけるのが難点でした。なんとかこの難点を攻略するために、スネイルさんは十数種類の生地で大量に試作品を制作しました。
人間サイズであればいくらでも華麗な生地を使えますが、このスケールではそうはいきません。キラキラした素材はもちろん試したのですが、1/12スケールサイズで試作したら繊維がとても目立ってしまいます。それが原因で布地は普通のクリア素材に留めました。
また良品率や耐久性なども考えなければなりません。皺が出やすいのはNG、厚すぎるのもNG、小サイズに縫製できないのもNG…厳しい条件の中で結局採用可能な生地は1種類のみとなりました。スネイルさんには最良の生地を見つけるためだけに数ヵ月もかけて現地で材料を探していただきました。本当にありがとうございました。(※上着に使用されている素材はTPUです。広義的な意味での『布』です。)
では試作品の話はこれですべてとなります。順番が逆になっているかもしれませんが、量産仕様が確定したからこそようやく説明できるという理由もありますので、ここからは制作に対するこだわりを語りましょう。
スネイルさんはこれまでも造形と塗装に優れたアクションフィギュアを多数展開しています。せっかくスネイルさんに作ってもらうのですから、「I:P マスカレーナ Ver.1」は“決定版商品”を目指して仕様はできるだけ豪華に、付属品はできるだけ豊富に仕上げていただきました。別の側面から言えば、今回「I:P マスカレーナ Ver.1&2」を作れること自体、非常に貴重なチャンスだと認識しております。推しモンスターを連続で制作するチャンスはそうはないと思いますし、この2商品に自分のキャラ愛をすべて注ぎ込んだといっても過言ではありません。その結果、工場にとっての「超絶めんどくさい仕様」になりましたが、皆さま、この私のわがままにひとっ走り付き合ってください!
このように、色数とギミックの関係で妥協する部分を極力少なくした結果、パーツ数が多く色分けも細かいため、量産工程数が異常に多くなりました。また、偏光塗料の投入も初なので、これまでのスネイル製品の中でも屈指の高コスト製品になった次第です。
本商品には「普通そこまでする?」と言われそうなこだわりポイントがとにかく多いですがこの「やりすぎ感」と一切妥協のないクオリティをご堪能ください。
そして、今回は「DX版」と「STD版」の2種類を用意しました。「I:P マスカレーナ」の関連カード「EM:P グレニャード」のカードストーリーまで思う存分楽しめる「DX版」はすべてのパーツが付属します。一方、「I:P マスカレーナ」の本体だけに興味をもつ方もおられるかもしれませんので、そちらには一部内容物が付属しない「STD版」がおすすめです!
「STD版」は「DX版」よりは価格が抑えられているので、複数買いの方もぜひご検討してみてください!
@スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI