わずか2両で開発が終了した幻の車両「ドイツ 試作偵察車 RU251」をプロモデラー・井上賢一氏が独自の解釈を落とし込み製作
2024.10.10RU251 Honomag Spahanzer
制式車両だけでなく、マニアックな試作車両も精力的にキット化する個性的なラインナップが魅力のアミュージングホビー。今回はそんな同社の大ファンである井上賢一が1960年代に西ドイツ陸軍が開発したRU251を製作。試作車がわずか2両のみ存在するという、ドイツの超マイナー車両ながら、大戦時代の戦車から戦後の主力戦車へ移行する過渡期であることを感じさせるフォルムは、なかなか魅力的ではないだろうか。
実車は初期の西ドイツを代表する車両のひとつ“Kanonenjagdpanzer(KanJPz)”のシャシーを利用し1963~64年に2両だけ製造された試作車両でした。
“威力偵察”を目的とし、全方位対応可能な回転砲塔の搭載や、装甲厚を犠牲にしても軽量化し機動性を追求(最大速度80km/h!)という、ベース車とは全く異なるコンセプトで生み出されました。しかし搭載砲の威力不足などから同時期に開発が進められていた“レオパルト中戦車”へと計画が統合され、幻の車両となってしまいます。
車体全高を控えるためエンジンデッキ部に段が付けられた車体や、その車体傾斜に沿うようにデザインされた鋳造砲塔等々、大戦車両と現用車両の中間のようなスタイルがカッコ良いですね♪
■車体
実車でも“KanJPz”と共通の車底部品は、車種によって一部の“転輪アーム位置”が異なり、これに伴い付属部品(B44)を使った“穴埋め作業”が必要になります。位置を確認の上、箱組みする前にスムーズに仕上げたいですね。
組み立て式の履帯はブロック化されておりスムーズに組み上げることが可能です。今回は各転輪が無理なく履帯へフィットできるように、誘導輪のアームをいったん可動できるように加工し(ダンパーを切り離す)、履帯装着後に固定しました。2灯装備される丸形ヘッドライトへは好みでミニカー用レンズを付けてみました。
■砲塔
上下2分割で特徴的な砲塔形状が見事に再現されています。今回は“鋳造製”を強調するために“溶きパテ”でコーティングしました。砲手側ハッチはキット形状のままでは開放時にアンテナと干渉してしまうので、ヒンジ部を可倒できるように加工しています。
■塗装
現役(試験中?)当時の白黒写真から、大戦中の“RLM02”程度の明度と想定、ただ当時の実配備車がオリーブグリーン的な色なので、その中間を狙い“明るいグレーグリーン”ぽい色で塗装しました。その実車写真には、マーキング等が一切確認できなかったのですが、それではちょっと寂しいので“後に公道走行用にナンバー追加され、同時に国籍マークが描かれた”と俺設定し、キット付属デカールの一部を貼り付けました。
アミュージングホビー 1/35スケール プラスチックキット
ドイツ 試作偵察車 RU251
製作・文/井上賢一
ドイツ 試作偵察車 RU251
●発売元/アミュージングホビー、発売元/ビーバーコーポレーション●6600円、発売中●1/35、約22cm ●プラキット
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