『蒼き流星SPTレイズナー』のグラドス軍「ブラッディカイザル」を再現 1/100スケールに施す徹底工作!【サンライズ・メカニック列伝】
2024.10.06サンライズ・メカニック列伝 第67回/SPT-BK-10U ブラッディカイザル【BANDAI SPIRITS 1/100】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2024年11月号(9月25日発売)
[腕部]
肩外装は上半分がキットのもので、下半分がプラ板で加工したHG ガンダムF91のもの。側面のノズルはHGCE インパルスガンダムの脚部のものを流用。上腕はキットの部品と、旧HGUC 陸戦型ガンダムとHGBD:R コアガンダムの各上腕を組み合わせて製作。ヒジ関節は蛇腹モールドがあるHGBD:R ペイルライダーのものを移植。キットのものを0.5mm延長し、ヒジ装甲は旧HG 陸戦型ジムのものを小型化。手首関節はボールジョイント化している
[武装類]
拳はビルドハンズ丸型のSサイズを加工したものに交換。ナックル・ショットは1mmプラ板で自作し、2mm径のランナーから削り出したスパイクを植えた。LDG-10G拡散型レーザード・ガンは銃口をドリルで開口し、各ディテールを市販パーツやプラ板の細切りで作り直し。カートリッジ部はいったん切り取り、整形後に再接着。裏面の肉抜きはプラ板で塞いだ。グリップは新HGUC 陸戦型ガンダムのビーム・ライフルのものに交換。フォアグリップは同キットのマシンガンのものを加工し、折り畳み式にアレンジして両手で構えやすくしている
■あかいSPTです
時計店が大好きなサンライズメカファンの皆さんは、『レイズナー』1/100プラキットシリーズを関節固定で製作したり、股関節と足首関節だけをボールジョイント化したりと、健全な製作スタイルで楽しんでおられることと思います。このサイズでの関節のフル可動化は想像以上に面倒で難しく、まず完成しませんから、そうした作り込みは1/72キットで行うべきでしょう。
一方、私は「SPTといったらレーザード・ガンを両手で構えるあのポーズだろう」「ジュリア姉さんのイメージで腰は細く、脚は長くしてスラッとしたスタイルに変えたいよな」などと考えながら今回もフル可動とバランス調整に取り組むわけですが、まず気になったのが「この小さい上腕に果たして横ロール機構や保持力の高いヒジ関節が入るのか」という点。…入りません。しかし、腕部の確実な可動はSPT作例では何よりも優先すべきだろうと考え、上腕を少し太くしました。すると肩の外装も大きくしなければならず、腕とのバランスをとるために胴体や脚部も大型化する必要が生じるので、それぞれHGガンプラの関節を入れながらボリュームアップさせます。同時にエッジやディテールが甘い箇所を「ブロックごとに切り離し、整形して再接着」の繰り返し、あるいは流用パーツやプラ材で作り直すことでシャープ化します。手作業ではきれいに彫りにくい細かなディテールは思いきって省略。嗚呼、引き算って素晴らしい。工作終了!
…しかし、よく見るとかっこよくないので1からやり直します。結局2回(腕は4回)やり直して3回目にこの状態となりましたが、将来グライムカイザルを作るときにはなんとか1回でうまくまとめたいところです。
■向かい風が吹いている
バンダイ刊「ENTERTAINMENT BIBLE.13 蒼き流星S・P・Tレイズナー大図鑑」と新紀元社刊「蒼き流星SPTレイズナー コンプリートアートワークス」に掲載のカラー画稿を参考に塗装。何しろ「仇討ちのための機体」ですから、設定よりも白の明度を若干下げて、爽やかなイメージにならないようにしています。
赤=ハーマンレッド+モンザレッドにブラウン、純色シアン、ピンクを各少量
オレンジ=ピンク+オレンジに本体赤と本体黄を各少量
黄=イエロー+モデナイエロー1にオレンジ少量
上腕等白=自作の紫系ライトグレー
関節等=自作の赤紫系グレー
キャノピーは純色バイオレット+純色シアン。折からの悪天候に加え、近所で大発生した羽蟻が部屋に侵入してきて、塗料の瓶やエアブラシのカップにダイブしたり、塗りたての部品に体当たりしたりするのでとても困りました。塗面の蟻を取ってリタッチし、エナメル塗料でスミ入れをした後、半光沢にツヤ消しを混ぜたクリアーで塗膜をコートし、蟻を取って終了です。
次回は劇中に多数のカラーバリエーションが登場するあの量産機の作例でお会いしましょう。
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット グライムカイザル 使用
SPT-BK-10U ブラッディカイザル
製作・文/田仲正樹
「サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編」発売中!
古今東西のサンライズメカ作例集、待望の第2弾! 多彩な作品から30体以上が参戦!
ホビージャパン本誌にて連載している「サンライズ・メカニック列伝」のムック化第2弾です。『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』などコーナーのレギュラー作品に加え、『太陽の牙ダグラム』『疾風アイアンリーガー』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、魅力的なサンライズ作品から幅広くメカ作例が集まっています。コーナー中のディープな工作&解説テキストも含めた再録に加え、設定画も追加掲載。『機甲戦記ドラグナー』より、単行本だけの作り起こし作例も予定しています!
ⓒサンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
本誌ガンダム班および「宇宙船」誌の映像倶楽部に所属。「このあと、部屋の羽蟻をなんとかします」とのこと。