HOME記事キャラクターモデル『蒼き流星SPTレイズナー』のグラドス軍「ブラッディカイザル」を再現 1/100スケールに施す徹底工作!【サンライズ・メカニック列伝】

『蒼き流星SPTレイズナー』のグラドス軍「ブラッディカイザル」を再現 1/100スケールに施す徹底工作!【サンライズ・メカニック列伝】

2024.10.06

サンライズ・メカニック列伝 第67回/SPT-BK-10U ブラッディカイザル【BANDAI SPIRITS 1/100】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2024年11月号(9月25日発売)

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」特写

SPT-BK-10U ブラッディカイザル
(『蒼き流星SPTレイズナー』より)

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は『蒼き流星SPTレイズナー』から、グラドス軍スーパー・パワード・トレーサー(SPT)「ブラッディカイザル」の1/100作例をお届けしよう!
 グラドスの反逆者となった弟のエイジを説得するためにグレスコ艦隊へ派遣された、アルバトロ・ミル・ジュリア・アスカ。彼女が搭乗するSPTがブラッディカイザルである。レイズナー追撃隊隊長アーマス・ゲイルの専用機であった特殊型SPTグライムカイザルの同型機で、基本的に同じ仕様だが、機体色が血を連想させる赤系に変更されているのが最大の特徴。そのカラーリングには、婚約者ゲイルの仇であるエイジを自らの手で討たんとする、ジュリアの決意が表れているのだ。
 1/100スケールではホビージャパン初となる作例は、田仲正樹が私物を3セット投入して製作。「SMPシリーズの各機体と違和感なく並べられるものにする」ことを目標に可動部を刷新し、同時に全身のバランスを細かく調整している。全高10cm程度の作例としてはあまりにも膨大な労力が費やされた、徹底工作の結果をご覧いただこう。

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」正面
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」背面

[製作途中状態]

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」製作途中正面
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」製作途中背面

 『レイズナー』1/100キットシリーズでは比較的まとまりのよい部類に入るグライムカイザルだが、他の機体と同様に各部の肉抜きが目立ち、可動部にはポリキャップが使われていないのに加えて、全体的にモールドが甘く、左右が非対称の歪んだパーツも複数存在するなど、見た目以上に手ごわいキットといえる。作例は本コーナーで製作されてきた1/100SPT作例と同様、「SMPシリーズの各機体と違和感なく並べられるものにする」ことを目標に、各関節の保持力強化と可動範囲拡大を図りながら、全体のバランスを調整したもの。設定画に描かれた形状の再現と確実な可動を可能なかぎり両立させるために、また1985年発売の安価なキットをシャープ化するために費やされた膨大な労力を、製作途中画像から読み取っていただきたい

[頭部]

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」頭部
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」頭部製作途中

 口元をいったん切り取り、プラ材でディテールアップしながら奥まった位置に再接着。HGガンプラの首関節を入れるスペースを稼ぐために操縦席は撤去し、中が見えないようにキャノピーを塗装した。後頭部裏には設定画に合わせて適当なジャンクパーツや市販のディテールアップパーツを詰め込み、ドリルで三つ穴のディテールを追加。基本的にはキットの形状を活かしている

[胴体/バックパック]

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」胴体アップ
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」胴体製作途中
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」腰部製作途中
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」バックパック
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」バックパック製作途中

 首関節と肩関節にはHGAC ウイングガンダムのものを移植し、可動範囲を拡大。胸部側面のダクトは市販パーツを組み合わせたものに、腹部はHG 局地型ガンダムの腹部外装を加工したものにそれぞれ交換してシャープ化。腰部は旧HGUC 陸戦型ガンダムのものを小型化し、積層プラ板から削り出したフロントアーマーと、キットのものをプラ板で加工したサイドアーマーをポリキャップで接続した。股関節はHG カラミティガンダムのものに交換しボールジョイント化。下部には各種ディスプレイベースに接続するための3mm穴を設けている。汎用型バックパックUV-10Tはブロックごとに切り離し、各ノズルやマウント基部をプラ板や市販パーツで作り直しながら整形し、再接着。バーニアアームは本体への取り付け角度を変更。2キット分を貼り合わせて厚みを増やし、1.5mm延長。動力パイプは1mm径のスプリングに交換した

[脚部]

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」脚部
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」靴部製作途中
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」脚部製作途中2
田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」脚部製作途中

 太モモはHG アビスガンダムのものをエポパテで形状変更。ヒザ関節は蛇腹モールドがあるHG 局地型ガンダムのものを移植。スネは足首装甲を切り離したあと、左右のブロックをプラ板で大型化し、前面と後面をプラ板で作り直して設定画の形状に近づけた。ヒザ装甲はプラ板で大型化。ふくらはぎのバーニアは市販パーツに交換。つま先とかかとは足首関節ブロックからいったん切り離し、さらに足の甲と靴部を切り離して整形後に再接着。足首関節はHGCE インパルスのものを移植して接地性を向上させた

田仲正樹作例「SPT-BK-10U ブラッディカイザル」ポージング例2

ⓒサンライズ

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