小森陽一氏が語る『ウルトラマンタロウ』と怪獣達の夏【コモリプロジェクト】
2024.09.14 コモリプロジェクトHP
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皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。いやぁ暑い。ほんとに酷暑ですね。しかも、突然のゲリラ雷雨まで襲いかかってきます。熱中症にコロナウイルス、気をつけることばかりでうんざりします。夏ってもっと楽しかったけどなぁ。
時は1973年、第一次オイルショック、ノストラダムスの大予言、日本赤軍による日航機ハイジャック事件と世相は混迷を極めておりました。私こと小森陽一は当時六歳、小学校一年生です。クソ生意気なガキ大将として君臨し、夏休みは仲間とともに虫取り、川遊び、草野球とそりゃもう遊び惚けておりました。そんな小森少年にとって金曜の夜七時は特別な時間です。茶の間にあるテレビの前に陣取り、毎週、『ウルトラマンタロウ』のオンエアを楽しみに観ておりました。それから半世紀―――と思ったら、なんと今年は周年を通り越して五十一年になっているじゃありませんか! あぁ、やらかした……。でもいいですよね、どこまでも牧歌的なタロウ世界、「気にすんな。そんなのは些細なことだ」と東光太郎は太陽のように笑ってくれると思います。
7月27日、第17話の「2大怪獣タロウに迫る!」が放送されました。ここから三週にわたって地球生まれの最強怪獣、バードンが登場します。バードンの強さは圧倒的で野生そのもの。最初こそ自分を重ねて(バードン、かっこいい)なんて思っていましたが、ZATは太刀打ちできず、タロウだけでなくついには救援に来たゾフィーまでも倒してしまってショックを受けました。ド派手なビジュアルと口から吐く猛烈な火炎は鮮烈で、何度も手に汗握りました。開けっ放した窓の外、網戸の向こうから聞こえるセミの声。時折台所から匂ってくるカレーの香り。短パンから出た太ももに汗が滲んで床に張りつき、扇風機は何時の間にか明後日の方に風を送っています。思い返すとそんな情景がはっきりと脳裏に浮かび上がってきます。それが僕にとっての夏、タロウのいた夏なのです。
ウルトラの初期三部作と比較すると、どうしても扱いが小さくなっていたタロウですが、今では多くのファンが存在します。ガレージキットシーンでもタロウ怪獣が次々と生まれています。アストロモンス、ムカデンダー、タイラント、他にも箱の中で出番を待つ怪獣達がたくさんいますし、まだまだ造形化されていくでしょう。タロウの熱い流れはこれからも留まりそうにありません。
文/小森陽一
撮影・構成/土井眞一
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怪獣ガレージキットを大迫力の特撮写真で小森陽一が解説
小説・文筆家であり怪獣ガレージキットメーカーも立ち上げた小森陽一氏セレクトの怪獣ガレージキット。熱い怪獣愛で怪獣ファンも認める小森氏が、各メーカーの怪獣ガレージキットを塗装完成品と大迫力の特撮写真で解説していく作品集です。
さまざまなガレージキットメーカーの怪獣ガレージキットを円谷特撮作品から厳選して50体、新規撮り下ろしにて掲載。その魅力を小森陽一氏による解説で紹介していきます。
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