ハセガワ「YF-19 バトロイド“マクロスプラス”」18 年ぶりとなる完全新規金型のバトロイドキットをさらに高密度に仕上げる
2024.09.10▶『マクロスプラス』30周年の目玉!
出ました! 待望の1/72「YF-19 バトロイド」! ハセガワスタンダードのあえて欲張らない非変形のキットですが、バトロイド形態に特化したスタイリングとアクションは目を見張るものがあります。特化したといっても、ファイター形態と違和感なくリンクした各部のバランスとディテールは圧倒的な説得力で、脳内で変形シーケンスを再現して楽しむこともできますね。キットのプロポーションは設定画のマッチョな雰囲気と比べると幾分細身で好みの分かれるところですが、力強い太モモからシャープなつま先までの脚ラインは絶妙な曲線でとても美しく、鋭く流れるファイターのイメージとも、細身のイサムのイメージともマッチしていて、実にかっこいいのです! 一方の上半身はカッチリしたメカ感抜群の造形となっていて、こちらもすばらしい! 特に胴体・背中周りの複雑に立体が噛み合った一体感と、メリハリの効いた彫刻の立体感は最高であります! 細分化された精密パーツを組み合わせて立体を構築していく過程は「伝統的模型製作の真骨頂!」でワクワクです。
さあ、今回はキットレビューということで基本形はそのままに、各部をよりシャープに整えたり、ディテールが不足しているところを補足して、より高密度でスケール感ある仕上がりを目指します。
▶基本工作での注意点
今回は初期のテストショットを使用したので、各部調整しながらの製作です。まずは足首のガタつきです。作例では隙間に瞬間接着剤を流し込んでガッチリ固定してみましたが、逆にタイトになりすぎて軸のほうが耐えられず折れてしまいました(爆)。ポリパーツを固定するなら、角穴の周辺ぐらいにとどめておくのがよさそうです。はさみ込み式の主翼は塗装時に不便なので、最上部の穴を切り欠きダボのピンを短くカットしておいて、プラの弾力を活かした“後ハメ式”で組むといいです。
キットは合わせ目が気にならないように設計されてはいますが、唯一スネの足首側、バーニアの横に大きな合わせ目があります。ここだけは接着して一体化処理を施すほうがよさそうです。はさみ込み式のヒザ関節はそのままでもうまくやればギリギリまで分解できるので、マスキングを頑張れば接着してもなんとかなりそうです。
▶リアル感を追求する
プラスαとしておなじみの技を紹介しましょう。
・エッジ処理:ヤスリを斜めに当てて均一にC面加工を施し、精密感を上げます。
・関節軸:可動を邪魔しない範囲でディテールを貼り付けます。
・丸バーニア:センターに穴を開けたりディテールを貼ったりして二重化します。
・航法灯:翼端灯や着陸灯などは透明素材に置き換えます。
・パネル:抜きの関係でモールドの寂しい箇所は、テンプレートとニードルでアクセスハッチ風のスジ彫りを追加してみましょう。
・リブ:プラ材や伸ばしランナーで部分的に凸モールドを追加すると、ゴツイ印象を加えることができます。
・表面ディテール:キットのモールドに+αでボルト穴、ラッチ溝、エッジの段差など、適宜メカディテールを彫っています。
▶華麗なる夏アゲハ
キットには便利なデカールが用意されていますが、今回は繊細なモールドを潰さないためにも、可能な箇所は極力マスキング塗り分けで仕上げました。また、主要なカラーはサーフェイサーを基本に調色して表面処理兼用とし、厚塗りにならないよう注意して塗りました。なので、赤はキャラクターレッドですが、ベージュは白サフ+グレーサフ+茶サフ+黄橙色あたりで何度か調整。メカ部は黒+シルバー基本でツヤを調整したもの。グレー系は混色の混色で説明困難…。それぞれ気に入るまで何度も微調整していますので、まあ、レシピは参考程度に…(爆)。
エナメル塗料のグレー、黒でスミ入れを施し、付属デカールを貼り、濃さとツヤを調整したスーパークリアーグレートーンで軽くグラデをかけて完成です。
ハセガワ 1/72スケール プラスチックキット YF-19 バトロイド“マクロスプラス”使用
YF-19
製作・文/木村直貴
YF-19 バトロイド“マクロスプラス”
●発売元/ハセガワ●5390円、発売中●1/72、約22.5cm ●プラキット
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