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会期は残りわずか!「特撮のDNA in 信州上田展」 手塚昌明監督の回顧録『ゴジラ×市川崑 1977〜2006年の現場』の発売記念トーク&サイン会レポート!

2024.08.28

 8月25日(日)、長野県上田市にて開催中の「特撮のDNA in 信州上田展」で、『ゴジラ×メカゴジラ』などで知られる手塚昌明監督のトーク&サイン会が開催された。
 このイベントは市川崑監督の助監督として経験を積み、ゴジラ映画3本を監督した手塚昌明氏の回顧録『ゴジラ×市川崑 1977〜2006年の現場』の発売を記念したもので、会場では8月30日の発売に先駆けての先行販売(現在も同展会場で限定販売中)。今回のDNA展では手塚監督ゆかりのプロップが多数展示され、トークで話題に出た作品のプロップを目の前で見られるという、親和性の高いイベントとなった。


手塚昌明監督トークレポート

 トークはここ上田で撮影された『犬神家の一族』(2006年)の話からスタート。市川崑監督が1976年に監督した『犬神家の一族』のセルフリメイクである本作に、監督補として就いたときの苦労が語られた。「前回の『犬神家』のロケ地を探して写真を撮って、『監督、ここですね』って見せるんですけど、『違うな。ここやない』と一蹴されちゃうんです。どう見ても同じ場所なんですけど(笑)」。すでにゴジラ作品を3本監督していた手塚監督だが、市川監督のために上田市はじめ長野県全域を駆け回ることとなった。
 さらに手塚監督のゴジラとの出会いや、市川監督作品との出会い、山口百恵主演映画で業界入りしたことへ話題が移り、怒号が飛び交う市川組の強烈なエピソードの数々や、オフレコトークで会場は盛り上がる。

 そして話題はDNA展に絡めてゴジラ作品に。『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』で主演の田中美里がゴジラの背ビレに乗るシーンについて、当初手塚監督は反対したが、脚本家チームから『初めてのゴジラなんだから、それくらいインパクトがあったほうがいい』と説得されたという。その後設定を煮詰めて、コンテを描き、脚本チームにフィードバック。田中美里の熱演もあって大成功のシーンとなった。しかし監督は「某監督が自分で監督したゴジラ作品のことを、『こんなにゴジラが人に近づいたのは初めてです』って言っていて、ああ、『メガギラス』見てないんだろうなって(笑)」と苦笑い。
 ゴジラ作品には『ゴジラVSモスラ』『ゴジラVSメカゴジラ』に助監督で就いていた手塚監督。自作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では、『ゴジラVSモスラ』の経験が活かされたという。「結局小美人が人間の手や身体に乗ったりすると、どれだけうまく合成をしてもやはり違和感が出てしまうんですね。なので自分の作品では小美人がペンを跨いだりという動きは入れていますが、人間とは身体的に絡ませないようにしました」
 質疑応答コーナーでは、「市川監督のように、ご自分の作品をリメイクするとしたらどの作品を作りたいですか?」という質問に、「リメイクではなく、機龍の続編を作りたいですね。俳優も変えずに、今の釈ちゃんが五十嵐総理の墓前に立つシーンから始まるような」と返答。機龍ファンには嬉しい発言で、大盛況のトークイベントは幕を閉じた。

▲サイン会の様子
▲ トークを聴きに訪れた、手塚監督自身も大ファンの元祖ウルトラヒロイン・桜井浩子さんと

会場展示レポート

 毎回貴重なプロップの物量に圧倒されるDNA展。今回は『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』『ゴジラ×メカゴジラ』『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』といった手塚監督作品はもちろん、本編助監督として参加した『ゴジラVSメカゴジラ』、B班特撮監督として参加した『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』など、手塚監督が関わった作品のプロップが満載だ。

▲ ゴジラ頭部 撮影用オリジナル(アップ・ショット用ギミック入り)(『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』)
▲ ゴジラ 撮影用オリジナル(『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』)
▲ ゴジラ上半身スーツ 撮影用オリジナル(『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』)
▲ アンギラス、バラン、バラゴン、キングギドラ頭部 検討用ひな形(『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』)
▲ ゴジラの骨格(『ゴジラ×メカゴジラ』)
▲ カメーバ 撮影用オリジナル(『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』)

 メカ怪獣のプロップが並んだコーナーにも手塚監督ゆかりのものが多数。

▲ 国連G対策センターエンブレム 撮影用オリジナル(『ゴジラVSメカゴジラ』)(写真中上)、MFS-3 3式機龍 胸部パーツ 撮影用オリジナル(『ゴジラ×メカゴジラ』)(写真右上)
▲ MFS-3 3式機龍 メンテナンスブース開扉パネル 撮影用オリジナル(『ゴジラ×メカゴジラ』)
▲ MFS-3 3式機龍の眼 撮影用オリジナル(『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』)
▲ メガギラス 撮影用オリジナル(『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』)

 中でも手塚監督のおすすめは、今回初展示となるメガギラスの1/2モデル。メガギラスの全身が映るカットで大活躍したプロップだ。監督ご自身が所蔵していた貴重なもので、モーターが入っていて重量もかなりのもの。

▲ 上田市立美術館の目の前を流れる千曲川のセットで戦うゴジラとメガギラス
▲ 我が子のようなゴジラを紹介する手塚監督
▲ ベビーゴジラ スーツ頭部 撮影用オリジナル(『ゴジラVSメカゴジラ』)

 同じく初展示となるベビーゴジラも手塚監督所蔵のもので、撮影の都合で作られた予定外の造形物だったため、持って帰ることを許されたという。

▲ メカゴジラ2 スーツ 撮影用オリジナル(『メカゴジラの逆襲』)
▲ MFS-3 3式機龍 スーツ 撮影用オリジナル(『ゴジラ×メカゴジラ』)

 メカゴジラ2と機龍が並び立つコーナーでの手塚監督。メカ怪獣のコーナーに機龍のパーツが並ぶなど、手塚ファンにはたまらないラインナップとなっている本展。会期は残りわずかだが、ぜひ撮影所の空気を纏ったようなプロップの数々を間近で見てほしい。


<手塚昌明関連イベント>
・9月1日(日)新文芸坐 映画作家・市川崑の80年代『古都』上映後トークショー
・9月14日(日)東京・神保町「猫の本棚」サイン会(my-site-108285-102336.square.site)


「特撮のDNA in 信州上田展」9月8日(日)まで!

特撮のDNA in 信州上田展

日程/2024年7月12日(金)〜 9月8日(日)※火曜休館
時間/9:00~17:00 (最終入場は16:30まで)
会場/サントミューゼ 上田市立美術館 企画展示室


ゴジラ×市川崑 1977~2006年の現場」は8月30日発売!

「ゴジラ×市川崑 1977~2006の現場」表紙

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TM & © TOHO CO.,LTD. ©特撮のDNA製作委員会

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