【鈴鹿8耐DAY3レポート】Team HRC with Japan Postが3連覇。記念すべきホンダ30勝目、そしてライダーの高橋巧は8耐最多勝の6勝目を飾った
2024.08.07 2024 FIM世界耐久選手権第3戦”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久レース 第45回大会が7月19日~21日にわたって開催された。Team HRC(ホンダ)がこれまで2連勝しており、今年は3連覇に期待がかかるが、世界耐久選手権の昨年の覇者、YART YAMAHAのスピードも侮れない。そして全日本ロードレース選手権で話題を独占するDUCATI Team KAGAYAMAも参戦。何かと話題豊富だった今大会をレポートする。
(文/夏目健司・写真/大西としや、夏目健司)
決勝が行われるこの日、鈴鹿サーキットは朝から強い日差しが降り注ぎ、ウィークでは一番気温が高くなるという予報が流れていた。朝のフリー走行の後セレモニーやチーム紹介が行われ、午前11時半、大観衆のカウントダウンを受けて8時間の長く熱い戦いの火ぶたが切って落とされた。絶妙なスタートを切ったのはBMWのマーカス・ライターベルガー。だが後方につけたYARTのカネパがマーカスをとらえると1周目をトップで通過する。やがてBMWは徐々にポジションを下げ、かわりにHRCの高橋巧やDUCATIの水野涼、ハルクプロの國井勇輝といった有力チームがトップ集団を形成してハイペースでレースをリードする。その後方では、SSTクラスのカワサキプラザレーシングの岩戸亮介がS字でクラッシュ。さらにSSTトップを快走していたTERAMOTO@J-TRIP Racingの村瀬健琉もデグナーカーブで激しくクラッシュし、上位争いから脱落してしまう。
トップグループはスタート後しばらく激しいバトルを繰り広げていたが、やがてHRCがトップに立つと、徐々に後方との差を開いていく。2番手以降はYART、ドゥカティ・チームカガヤマ、そしてヨシムラSERT、ハルクプロといったチームが順位を競っていた。SSTクラスでは、1時間経過時点では#13Taira Promote Racingがトップを走る。
HRCはその後も序盤に築いたアドバンテージをさらに広げ、レースが半分を経過した時点で、2番手のYARTとの差を1分21秒にまで広げ、首位の座を盤石にしていった。2番手のYARTもこの時点では3番手のヨシムラSERTに30秒ほどの差をつけていた。4番手にはDUCATI、5番手にはハルク・プロが続く。世界耐久の強豪TSRホンダはデグナーカーブでジョシュ・フックが転倒してしまうも、ピットには入らずに傷ついたマシンで走行を継続し、予定のラップを終えてピットに戻ると、修復を終えたマシンでレースに復帰した。SSTクラスは#95TONE RT SYNCEDGEがトップに上がり、2番手にTaira Promote、3番手には世界耐久レギュラーチームのエトワールが続く。
レースの中盤以降もHRCのペースは安定していたが、2番手のYARTも首位をあきらめていない。一時は1分以上開いた差を1分以内の差にまで縮めるものの、HRC陣営も手堅い走りを継続し、逆転は難しそうだ。その後方では3番手争いがヒートアップ。3番手を走行するヨシムラSERT、4番手ドゥカティ・チームカガヤマの差は徐々に詰まり、ピットインのタイミングでポジションが前後し、どちらのチームにも表彰台の可能性が残されていた。レース終盤、ピットインのタイミングでDUCATIがヨシムラSERTをパスして3番手に浮上し、さらに4番手に下がったヨシムラSERTにライドスルーペナルティが課されてしまい、その差は一気に広がってしまう。SSTクラスではTONE RT SYNCEDGEがトップを守るが、2番手と3番手の差はわずかで、レースが7時間を経過した時点ではTaira Promoteがチームエトワールに先行していた。
レースは残り1時間、これまでずっとトップを快走してきたHRCは8耐最多勝を目指す高橋が最後の走行を担当する。だがここにきてHRCに40秒加算のペナルティが課されてしまう。だが高橋は2番手のYARTに50秒ほどの差をキープしており、高橋とYARTととのラップタイムの差もごくわずかった。午後7時半、HRCの高橋はサイリウムが彩るグランドスタンド前を通過し、HRCは8耐3連覇、そして高橋は歴代最多となる8耐6勝目をかざった。そしてホンダはこの勝利で通算30勝目を記録した。周回数は過去最多の220周だった。2位はYARTで、3位はレース終盤、先行するDUCATIをパスしたヨシムラSERTが続いた。SSTクラスはTONE RT SYNCEDGEが制し、2位にはレース終盤の追い上げでポジションを上げたチーム・エトワール、3位にはTaira Promoteが続いた。