ボークスHSGK最新作「GTMハイファ・ブリンガー」メタリックカラー+クリアカラーの混色で透明感を残した“暗黒色装甲”のイメージで仕上げる【ファイブスター物語】
2024.08.10メタリックカラー+クリアカラーの混色で透明感を残した暗黒色装甲を模索する
ボークスHIGH-SPEC GARAGE KITシリーズ最新作、ハイファ・ブリンガーを桜井信之が製作。“暗黒色装甲をまとった特殊GTM”という騎体のイメージを、混色したクリアーカラーを何層も重ねて表現。半透明とはまた趣の異なる美しい暗黒色装甲のハイファ・ブリンガーが完成した。プリズムブルーブラックにクリアーを混ぜた塗料を軸に、混色クリアーをオーバーコートした“暗黒色装甲”をじっくりお楽しみいただきたい。
今年の3月、5年ぶりに『ファイブスター物語』のデザイン集「DESIGNS 7 ASH DECORATION」が発売されました。そこにはこれまで以上に新発表のGTMが多数掲載されており、ボークスからもこれらGTMが続々と立体化されることがアナウンスされています。今回はその『ASH DECORATION』中で発表されたハイファ・ブリンガーを製作しました。長年『F.S.S.』を追いかけ続けている身としては、このハイファ・ブリンガーがどんな騎体で、どんな特徴や目的を持つかはよく理解しているつもりですが、デザインを目撃したのはつい先日のことです。まだ日が浅いため、まるで立体資料のように全体の形状把握を行いながらキットを組み上げていきます。今回、いろいろあって初めて組み図なしで製作をスタートさせました。「果たして何も見ずにGTMを組むことができるのかなぁ?」と思いつつも、立体パズルのように謎解きをしながら仮組みを行ってみると、意外なことに8 割くらい組み上げることができました。組みやすさが一番ではありますが、この数年GTMを作り続けたことにより、それなりに勘が働くようになっていたのでしょう。
さて問題は塗装です。今回ボークスのオフィシャル完成品を見てみると、以前の作品ほど透明感のあるフィニッシュではありませんでした。カラーレシピを見てみると、やはり本体外装部にはクリアー系の塗料が使用されていませんでした。そこで僕も決心し、今回は透明度よりも色味を優先することにしました。以前より本GTMが発売の暁には試してみたかったことがあり、それは本体色にガイアカラー プリズムブルーブラックを使用してみる、ということでした。ただビンのまま全体をコートしてしまうとパール効果が強すぎるのと、色味のイメージが少々異なっているので、今回は①プリズムブルーブラックとEx-クリアーを6:4で溶いたものをコート。→②その後、ディープクリアーブルー、純色マゼンタ、Ex-クリアーを5:1:4で混ぜたものをオーバーコートし、自分のイメージの色味に近づけると同時に、パール効果を若干抑え気味の外装を作っていきます。
今回の塗装テーマは不透明を目指して塗ったわけではなく“透明度よりも色味を優先した”ということです。そのためパール塗料などは下地に黒などを吹くのが一般的ですが、今回は透明サーフェイサーの上から吹き、反射率が下がるようにし、同時に若干の透明度も残しています。フレームは今まで作ってきたGTMとの統一感を出すためパール系塗料でメタリック調に塗装し、最後に1/4ツヤになるようにツヤを調整しています。ただし本体色との差を出すために、これまでよりも明るめのフレームに仕上げています。
全体像はシンプルな印象ですが、塗装工程はもっとも計算しテストを繰り返し、時間をかけて仕上げています。昼と夜で異なる表情を見せる面白いハイファ・ブリンガーが仕上がったと思いますが、いかがだったでしょうか?
ボークス 1/72スケール レジンキット“HIGH-SPEC GARAGE KIT”
ハイファ・ブリンガー
製作・文/桜井信之
HIGH-SPEC GARAGE KIT 1/72 ハイファ・ブリンガー
●発売元/ポークス●74800円、8月10日~25日、ボークスF.S.S.シリーズ展 in 秋葉原ホビー天国2、ホビー天国オンラインストアにて限定販売●1/72、約36cm●レジンキット●原型/平井興治(造形村F.S.S.プロジェクトチーム)
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桜井信之(サクライノブユキ)
著書「たった2日でできる! 週末ホビーライフ」が好評発売中。あらゆるテクニックに精通する模型の伝道師。