1/700で再現された海上保安庁最大の巡視船「れいめい」を無改造で仕上げる【ピットロード】
2024.07.23尖閣領海警備専従体制の要 海保が誇るヘリコプター搭載型巡視船
2019年の尖閣諸島国有化以来、尖閣諸島周辺海域では中国政府船による領海侵入が多発していた。それに対し政府は尖閣領海警備専従体制の構築を計画していたが、そうしてる間にも中国側の海上保安組織もさらに増強を計っていた。これに対抗すべく計画されたのが、領海警備体制の強化と大規模事案に対応できる組織作りであった。「れいめい型巡視船」はそういった背景から計画された巡視船である。
■キットについて
「れいめい」は海上保安庁のヘリコプター搭載巡視船「れいめい」型の1番艦として2020年2月竣工し、第10管区鹿児島海上保安部に配備されています。
ピットロードの1/700「れいめい」は2023年の全日本模型ホビーショーで発表されており、主要部品は吃水線以上は白色・緑色のランナーで用意、艦底色の艦底部分および充実したデカールとあわせて、塗装なしでも「れいめい」の特徴を捉えたキットを手に入れることができると思います。パーツそれぞれの合いもよく、主要部分については、スナップキットのように接着剤なしでも組み立てしても大丈夫なように思います。今回の作例はウォーターライン仕様として上記のキットの特性を活かしながら組み立て・塗装を行いました。
■船体について
キットの船体は甲板部品との合いが非常によいため、甲板全周にわたっての接着はせず艦尾甲板部分の開口部、ボートダビット用の開口部から流し込み接着剤で一部分のみ固定するように接着。甲板への接着剤はみ出しによる汚損が防げるものと思います。
■上部構造物について
艦橋・煙突・格納庫などの上部構造物はランナーの状態で塗装後、各パーツを説明書に従って組み立てていきました。緑色のランナーのCパーツは側面・下面は白色、甲板部分は緑色と塗り分けする必要があるので、事前に確認して組み立て前に塗装しておいたほうがよいかと思います。
艦橋の窓枠部分はスミ入れ用ブラックのマーカーで塗っています。他の舷窓部分はピンバイスで開口しています。艦橋にある電光掲示板は数種類のデカールが用意されていてよいアクセントになります。前部マストはよく特徴を捉えており、キットの部品をそのまま使用しています。いずれエッチングパーツが開発されることがあれば、このマストや特徴的な手すりなどを期待したいです。
舷灯は左舷レッド、右舷グリーンの塗装指示があり、作例でもそれに従っていますが、点灯していない状態を考えたら黒色などにしたほうがよいかもしれません。
煙突には、青帯に海上保安庁のマークのデカールと、海上保安庁のマークのみのデカールの2種類が用意されています。作例では青帯部分をMr.カラーC65インディブルーで塗装した後、海上保安庁マークを貼り付けしています。
格納庫の組み立てでは、シャッターの片方を開口状態としました。放水銃や浮輪の赤色がよく映えます。
■後部甲板について
船体に各上部構造物を取り付けた後、後部甲板の処理を行います。甲板上のラインなどはデカールが用意されていてよい感じです。マークセッターなどによりデカールを定着させた後、この段階で表面の保護のためクリアーを少なめに吹いておきます。乾燥後カッターの裏刃で移送用レール部分の溝を復元しておきます。
後部甲板にはEC.225LPヘリコプターを配置します。専用デカールはよくできていて再現度は充分です。
■武装について
ボフォース40mm単装機関砲は、塗装図ではMr.カラーC28黒鉄色、後部のものは特に指示なしとなっていますが、前後とも黒鉄色でよいみたいです。艦橋前面の20mmバルカン砲については砲身を削り込んで細く見えるようにしています。
■塗装について
塗装図には主船体はMr.カラーC1ホワイト、甲板部分はC6グリーンをはじめとして詳細な指示があります。搭載艇などを指示に従い配置することでよいアクセントになっています。
船体他の組み立てが完了後、舷側のデカール貼りを行います。マークセッターなどを利用して定着させますが、白色の美しい船体にブルーのデカールはよく映えて素晴らしいです。
ピットロード 1/700スケール プラスチックキット
海上保安庁 巡視船 PLH-33 れいめい
製作・文/田中伸治
海上保安庁 巡視船 PLH-33 れいめい
●発売元/ピットロード●5060円、発売中●1/700、約21.4cm●プラキット
田中伸治(タナカシンジ)
先日、友人と3人で新幹線日帰りで世界遺産姫路城に行って来ました。白亜の天守はいつ見ても美しいですね。