HOME記事フィギュア原型開発は波乱万丈!?  1/12「I:Pマスカレーナ Ver.1」制作の裏側を企画・開発担当者に直撃インタビュー!!【遊戯王カードゲームMFC】【前編】

原型開発は波乱万丈!?  1/12「I:Pマスカレーナ Ver.1」制作の裏側を企画・開発担当者に直撃インタビュー!!【遊戯王カードゲームMFC】【前編】

2024.06.21

 「遊戯王カードゲーム」の25周年を記念して “メーカーの垣根を越えた歴代モンスター立体化プロジェクト”が本格化。さまざまなメーカーから超精巧なスタチューフィギュアがリリースされるなか、新ブランド・あみあみ×蝸之殻Snail Shellよりついにアクションフィギュア「I:Pマスカレーナ Ver.1/遊戯王カードゲームモンスターフィギュアコレクション(以下、I:Pマスカレーナ Ver.1)」が登場する。

遊戯王オフィシャルカードゲーム」とは?

  1996年~2004年にかけて週刊少年ジャンプで連載された漫画『遊☆戯☆王』に登場するカードゲームをベースとしたトレーディングカードゲーム。1999年の発売から25年以上にわたり世界中のカードゲームファンを魅了し続けている。

 遊戯王オフィシャルカードはゲーム性もさることながらモンスターデザインやイラストが魅力的なことで知られており、フィギュアのモチーフとなったカード「I:Pマスカレーナ」も2019年の初登場以来キュートなビジュアルと効果で人気を博している。

 そこで、決闘者(デュエリスト)注目モンスターの立体化を担当するビュービュー氏に企画・開発の経緯を語っていただいた。

ビュービュー

 あみあみ中国事業室所属。普段は主に中国フィギュアメーカーなどのバイヤーを担当。今回の「I:Pマスカレーナ Ver.1」がフィギュア個人主導のフィギュア企画開発第1作となる。

あみあみ×蝸之殻Snail Shell 

1999年にホビー通販サイト「あみあみ」を設立し、2024年現在はフィギュアメーカーとしても知られるあみあみと、オリジナル美少女を中心にアクションフィギュアを手掛ける新進気鋭の中国メーカー・蝸之殻Snail Shell(旧称:蝸之殻スタジオ) による合同ブランド。第1弾に「I:Pマスカレーナ Ver.1」が予定されている。

 


 

波瀾万丈な原型開発

決闘者の諸君! はじめまして!

 「I:Pマスカレーナ Ver.1 1/12 完成品アクションフィギュア/遊戯王カードゲームモンスターフィギュアコレクション」の企画・開発を担当しております、あみあみ中国事業室のビュービューです。主に中国フィギュアメーカーのバイヤーを担当していますが、さまざまなメーカーとやりとりを重ねるなか、あみあみ社員の企画を蝸之殻Snail Shell(以下、スネイル)さんに立体化してもらうという、いわゆるコラボODM案が実現しました。まさか初担当のプロジェクトが『遊☆戯☆王』シリーズというビックタイトルなんて…恐縮です。自分がやりたくて始まった案件なので、全力を尽くすしかありません。では自己紹介はここまで。

 I:Pマスカレーナ Ver.1の制作発表が行われたのは2022年末頃でしたが、2021年から始動したので、かなりの時間がかかっているアイテムです。2022年はコロナの影響で自由に身動きが取れず、スネイルシェルさんはよく頑張ってくれましたが、それでも開発スケジュールに大きく影響が出てしまいました。改修作業に取り掛かれたのは2023年春に入ってからのことです。現在、I:Pマスカレーナ Ver.1の開発はようやくテストショットの段階に入っています。彩色はもう一度修正が入るので、ワンダーフェスティバル2024[冬](以下、WF2024[冬])での展示品とは少し違う仕上がりになる予定です!

 

I:Pマスカレーナ Ver.1WF2024[冬]で展示した彩色見本
▲ WF2024[冬]で展示した彩色見本。彩色監修1回目の状態で展示時は無可動だった

 ワンフェス展示時は「2024年春予約解禁予定」と発表しましたが、想定以上にパーツ分割してしまい、金型の開発が予定より数ヶ月遅れる見込みです。期待してくださった方々には本当に大変お待たせして申し訳ございませんが、今年の夏頃に予約解禁できるよう努力いたします!

 そこで、宣伝も兼ねて予約開始前には皆さんへいろいろお話がしたく、さまざまな意味で記念すべきアイテムの開発秘話をご紹介できればと思います! ではさっそく、この企画が成立するまでの経緯をご説明させていただきます。

「あみあみ」が「蝸之殼Snail Shell」とコラボする理由

 中国のアクションフィギュアメーカー・蝸之殼Snail Shellさんとのお付き合いは5年前にさかのぼります。当時、日本ではまだイベント限定でしか商品を販売していなかったスネイルさんに、「ぜひ、あみあみの力を使ってください」とお声がけし、あみあみサイトを経由しスネイル商品の日本・海外での通販を実現しました。すると商品が予想以上に大ブレイクし、初回の販売であみあみランキング上位を獲得しました。その後もスネイルさんの勢いは止まりません。リリース開始より5年が経ち、アクションフィギュア界隈でユーザーにご支持いただけるようになりました。その成長の裏側で、あみあみのバックアップがわずかでも貢献できていると良いなと思っています(笑)。

 マクロでいえば、あみあみはスネイル製品の日本全国範囲の商品流通と不良対応窓口業務を行っています。ミクロでいえば、日本語版説明書と商品解説の製作などにも関わっています。(今までの製品にあった変わった武装の名前はほとんど私が仕込んだ言葉遊びでした)。また、より良い製品をユーザーに提供するために過去製品の仕様にもアドバイスさせていただいたことがあります。みなさんのお手元に届いた製品の開発時になされた改良のいくつかは、私の意見によるものかもしれません。こうして自分が担当しているメーカーの製品に深く関わっているからこそ、上司に「スネイルさんとコラボでフィギュアを作りたい」と言えて、両メーカーの合意でここにたどり着いたわけです。

 

▲ 蝸之殼Snail Shell製品の日本全国正規流通・不良対応はあみあみがサポートしている!

「I:Pマスカレーナ Ver.1」を作るきっかけ

 「自分が欲しいものを作る」という、いわば「俺得企画」を立てるのはほとんどの企画者が経験したことと聞いています。私も例外ではありません。たとえば私は最近遊戯王のカードコレクターになりましたが、決闘者としては数年前まで現役でプレイしていました。1年以上使っていた魂のデッキは「魔救」で、シンクロ→リンク展開系の構成なので「I:Pマスカレーナ」が不可欠な1枚となっております。ほぼ毎回のデュエルに「I:Pマスカレーナ」を召喚したと言っても過言ではありません。

 

「魔救」デッキ
▲ 当時使用していた「魔救」デッキ。ハリファイバーもアナコンダも懐かしい…

 「I:Pマスカレーナ」はアタッカーとして使うモンスターではありませんので、相棒というのはちょっと違うかもしれません。カード性能で言うと「バックから支えてくれる戦友」が近いですかね。
裏で他のモンスターを守ってくれる効果を持っている上、相手ターンには1妨害にもなれますし、召喚できた度にその実家のような安心感は…
 そして、この記事を読んでいる皆さまも同じ感想をお持ちかと存じますが、「I:Pマスカレーナ」は超かわいくないですか!?締まったボディライン、猫っぽいゴーグル、尻尾みたいなツインケーブル…イラストレーターさん、みんなの好みを分かってらっしゃる!
 容姿はもちろん、その表情から想像したら性格までかわいいに決まってます! また、カードストーリーから垣間見える、「S-Force」の面々に追われつつも義賊さながらデータを盗み運ぶ、まるでダークヒーローのような設定もたまらないです!
 これらすべての魅力を合わせると、「I:Pマスカレーナ」はキャラとして素敵すぎます…

 1キャラとして好きになったから、カード以外の商品もほしいな…

 え、そういえば立体化まだ!?と意識した瞬間、

俺が!

この手で!

作ろう!

 

クォーターセンチュリーシークレットレア I:Pマスカレーナ
▲ これがクォーターセンチュリーシークレットレアを早速入手した開発者の本気よ!

 フィギュアとして作るとしたら、無可動のスケールフィギュア・アクションフィギュア・プライズフィギュアなど、いろいろと選択肢があります。カードイラストをそのまま再現した、造形を徹底的に追求する無可動フィギュアももちろん良いですが、当時「S-Force チェイス」という罠カードにも姿が映っていたので、それもかわいくて再現したく…アクションフィギュアでしたら、イラストからさらに想像の幅を広げ、いろんなシチュエーションをユーザー自身が作れるので楽しいかもしれません! また、どうしても「I:Pマスカレーナ」が履いたローラースケートに可動を付けて「コロ走行」遊びを実現したかったので、そう来ると、アクションフィギュアに決まりです!

 原型制作・量産は「決定版商品」を作るにふさわしい、ハイクオリティのためにコストを後回しするスネイルさんに任せれば間違いないでしょう。一緒にコラボ商品を作る夢もこれで叶えられます!
 全力でとことん遊べる「I:Pマスカレーナ」を作るぞ!

Ⓒスタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI

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