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【BACK-ON×FLOW 座談会】『仮面ライダーガッチャード』主題歌「CHEMY×STORY」で両者はいかにしてガッチャンコしたのか?

2024.04.07

宇宙船vol.184(4月1日発売)

アイキャッチ

 折り返しを迎えた『仮面ライダーガッチャード』。主題歌「CHEMY×STORY」も第17話からはBACK-ON×FLOWのコラボバージョンとなったが、両者はいかにしてガッチャンコしたのか? 今回、BACK-ONのTEEDA(MC)&KENJI03(ボーカル・ギター)、FLOWからKOHSHI&KEIGO(共にボーカル)が集まっての座談会が実現。両名のコラボレーションの裏側に迫ってみた。

PROFILE

BACK-ONとFLOWの画像 その1

BACK-ON

地元足立区の幼なじみMCのTEEDA、Vo/GtのKENJI03からなるバンド。ライブ活動は日本だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、南米と世界各所にてライブを開催。海外からも音楽性とライブパフォーマンスで高い評価を得ている。また、アーティストへ楽曲提供も多数。前作『ギーツ』には、KENJI03(Hi-yunk名義)が主題歌「Trust・Last」の作編曲を手掛けた他、「Chair」で参加している。

FLOW

KOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)、TAKE(Gt)、GOT’S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人組ミクスチャーロックバンド。ツインボーカルが織り成すメロディの強さと幅広い音楽性を武器に多くのヒット曲を世に放つ。アニメ『NARUTO-ナルト-』第四期OP主題歌「GO!!!」や、『コードギアス反逆のルルーシュ』初代OP主題歌「COLORS」など、数多くのアニソンでも知られている。これまでに19ヶ国69公演のライブ実績を持つ。


――まずは主題歌に決まった際のお気持ちからお聞かせください。

KOHSHIこれまでアニメの主題歌は歌わせてもらっていたけど、僕らFLOWにとって『仮面ライダーガッチャード』は初めての特撮ヒーロー作品でした。

KEIGO仮面ライダーは子どもの頃に当たり前のように通って来たので、めちゃくちゃ嬉しかったです。

KOHSHI今回、僕らはBACK-ONからのお誘いで参加が決まったんですけど、最初にKENJI03から電話が来たんです。「断る理由がないよ」って即決しました。

KENJI03カッコ良く言ってますけど、電話出た時はすごいテンション低かったんですよ(笑)。

KOHSHIいや、一昨年、BACK-ONの20周年の時に「NOT ENOUGH feet. FLOW」でコラボしたばかりだったから。まさか、仮面ライダーとは思わないじゃないですか(笑)。

KENJI03僕は前作の『ギーツ』に関わらせていただいて、その流れもあったと思うんですけど、僕も子どもの頃から観ていたし、いざ歌えることが決まった際には嬉しさと驚きと両方の気持ちがありました。

TEEDA特撮作品はアニメとはまたちょっと違った文化、感覚があるような気がしていて、そこがすごく新鮮に感じましたね。

――FLOWとのコラボは、BACK-ONサイドの発案とのことですが、その狙いは?

KENJI03作品内の設定で相性の良いケミーがガッチャンコすると聞いて、音楽的にもアーティスト同士で何かできないかなと思って、パッと浮かんだのがFLOWでした。僕らはインディーズの頃からファンだったんです。廃盤になったアルバムだけど、そこに入っている「BCG」という曲が凄く好きで。

KEIGO注射じゃないですよ(笑)。

KOHSHI対バンした時に、そのインディーズCDを持ってきてくれたことがあったよね。

TEEDA僕も同じCD買いましたもん。別に一枚買って二人でシェアすればいいものを、一人ずつ買って。

KENJI03バイト代からどうにか捻出して(笑)。今もめちゃくちゃリスペクトしているし、今回もお願いするなら彼らしかいないと思いました。

KOHSHIそういう関係性なので、確実にガッチャンコできると思いました。


2つの「CHEMY×STORY」

――作詞や作曲と楽曲制作についてもお聞かせください。作曲は「Trust・Last」に続いてKENJI03さんになります。

KENJI03『ギーツ』の主題歌は割とカッコよくダークめなメージで作らせてもらったんですけど、『ガッチャード』も最初、それに引っ張られてしまい、デモの段階ではハードだったんです。ただ、そういうテイストの作品ではないですよね。主人公の宝太郎は高校生で、青春ドラマのテイストもあるから、「明るめな青空が見えるような感じ」と言われて。だけど、そこで僕らが無理して爽やかな曲を作っても、それはそれでウソっぽくなってイヤだなと。どこか自分たちの要素を取り入れたいと思って、BACK-ONの原点でもあるポップパンクの要素を入れて出来上がったのが「CHEMY×STORY」です。

TEEDABACK-ONの普段の楽曲と大きく違うのは歌詞ですね。元々自分たちで作詞&作曲を手掛けて来たけど、藤林聖子先生が書いてくださって。そこがまた特撮ならではだと思いました。英語と日本語を混ぜたラップとか、僕らが歌うことも加味してくださっていたみたいで。最初に譜割が送られてきて、軽く歌ってみたらこれがもうバッチリとハマりました。

KEIGO僕らは作詞に違う方が入られるのを知らなくて、最初に詞を見た時はてっきりBACK-ONが書いたものだと思っていたんです(笑)。それくらいBACK-ONにマッチしていました。

KOHSHIコラボするなら作詞もこちらが手掛けるのかなと思ってたので、そういう文化があるんだ! と驚きました。

TEEDAこれが結果的にベストだったと思います。KENJI03の曲があり、歌詞にまで僕らのアイデンティティを乗せるとまた違う方向性に行ってしまったんじゃないかな。

KENJI03藤林先生の歌詞には、自分たちには発想し得ない言葉がバンバン入っていて、そこはすごく勉強になりましたね。キラーワードが随所に盛り込まれていて、TEEDAのラップパートで「ます」を英語に置き換えていたり。あのセンスはすごいですよ。

――楽曲は、第16話まで流れたBACK-ONバージョンと、第17話からのFLOWとのコラボの2バージョンありますが、最初にBACK-ONバージョンを制作したのでしょうか?

KENJI03そうです。レコーディングもサクサク進みましたね。さっきTEEDAが話していたように、藤林先生が僕の作ったメロディにバシバシ歌詞をハメてくれたのが大きかったと思います。

――そんな中、敢えて拘ったところを挙げると、いかがですか?

KENJI03空耳じゃないけど、「Gotcha & Go」を「ガッチャンコ」と聞こえるよう歌ってくれと言われて。そこはちょっと苦労しましたね(笑)。

TEEDA自分はラップパートです。いつも歌っているようにやるとちょっとマニアックになるかなと思い、ダミ声にして、ラップが入って来た感じを分かりやすく表現してみました。

KENJI03そこはちびっ子にも歌ってもらえるように。

TEEDAそうそう。ハキハキ歌うように意識したところはありますね。

――FLOWのお二人は、BACK-ONバージョンの「CHEMY×STORY」については?

KOHSHIお互い音楽的なルーツは似ているので、BACK-ONが作ったポップパンクの匂いをすごく感じたし、その方程式は僕らにとっても実に気持ちがいい。そこに呼んでもらえたのは有難かったですね。上手く乗っからせてもらいましたよ。

KENJI03そのルーツには、もちろんFLOWもいますからね。

KEIGO曲はもちろん、藤林先生の歌詞からもごくごく自然に彼らの色を感じたし、KOHSHIが言っていたように、乗っかる上でもやりやすかったですね。

KOHSHI僕らとしては、前回のコラボの延長線上、第2章みたいな感覚がありました。うちのギターのTAKEがアレンジを加えてくれて、そこでガッチャンコしている感じがすごく出たんじゃないかな。

KEIGOそれと前のコラボの時になかった新しい試みと言えば、KENJI03とTEEDAが僕らのレコーディングのディレクションをしてくれたんですよ。

KOHSHIちょうど、この人(KEIGO)がポリープの手術を控えているタイミングだったんです。

KEIGOカスカスじゃないテイクを選んでくれました(笑)。

TEEDAいやいや。僕の中ではディレクションする必要あるのかな? と思うくらい完璧でしたよ。やっぱり先輩だし、 場数を踏んでこられているので、KEIGO君らしさ、FLOWらしさが出ればいいのかなって。

KENJI03うん、ちょうど良かった。

TEEDAレコーディング自体もサクッと終わりましたね。

KOHSHIめちゃくちゃやりやすいディレクションでしたよ。「ガッチャンコ」のニュアンスについてもKENJI03が教えてくれて、それを踏まえて歌いました。

――FLOWのカラーが加わって、どのように思われましたか?

KENJI03BACK-ONバージョンと違い、一気に色鮮やかになったところがありますね。

KOHSHI俺はテレビを観ていて、BACK-ONのままで十分カッコいいじゃん! と思っていたけど、さらにアレンジや僕ら二人の声色を加わったことに、FLOWがやった意味があるのかなと思いました。

TEEDAそれがまた堪らなくいい。

KEIGOこれぞコラボレーションの醍醐味。

KOHSHIそこが視聴者の皆さんに伝わればいいなって。それが一番ですね。

KEIGOさらに新しい試みとしてMVの撮影を7人でやりました。

KOHSHIそうそう、あの撮影は楽しかった。

TEEDA普段から仲良くさせてもらっているので、普通に遊んでいる感覚でした。それこそキャンプにでも来ているみたいな。

KENJI03GOT’S君がめちゃくちゃ面白い人だったのも今回の発見(笑)。

KEIGOそれにやっと気づいたか(笑)。

KOHSHI僕らの中で一番面白いメンバーはあいつ!


仮面ライダーとのガッチャンコ

――「超英雄祭2024」にも出演されましたが、是非感想をうかがえればと思います。

KEIGO初めての出演で、アニメのフェスとはまた違う雰囲気だし、錚々たるアーティストと共演できたのも光栄でした。

KOHSHIエンディングでは隣に倖田來未がいましたからね。で、反対側にKENJI03がいて。俺、いない方がいいじゃん!? って(一同笑)。

KENJI03(笑)。

KEIGOキャストの皆さんと会えたのも嬉しかったです。一緒にステージにも立てたし。主題歌を歌っていても、なかなかそういう機会はありませんから。

KENJI03僕らが歌っている後ろでライダー達がアクションしていたけど、生で見れなかったのが残念(笑)。でも、昔憧れたヒーローとコラボできて、本当にワクワク感が詰まったイベントでした。

TEEDA子どもの頃に観ていた『忍者戦隊カクレンジャー』、息子と観ていた『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の主題歌を聴かせてもらって、これがまた覚えているから歌えるんですよ。いや、テンションあがりましたねぇ。

――番組自体はどのようにご覧になっていますか?

KOHSHI俺らの世代は『BLACK』や『RX』だったけど、本当に見応えがあるなと思います。

KEIGOストーリーもすごく深い内容で。

TEEDA最近の仮面ライダーのオープニング映像は、Aメロが日常感のあるシーンでサビが戦闘シーンみたいな、鉄板の構成があるじゃないですか。『ガッチャード』のオープニングはまさにそのノリで、そこに自分たちの楽曲が乗ったことにグッときました。

KENJI03僕も『BLACK』が世代で、『ギーツ』で久々に戻りました。今回の主人公(宝太郎)は、いわゆる2枚目じゃなくて、おっちょこちょいなキャラなんですよね。僕らも割とアホな陽キャのバンドだし(笑)、そこが番組を観ていて、上手くハマった気がしています。

――第17話から、BACK-ON×FLOWバージョンになった際はいかが思われましたか?

KEIGO途中で曲が変わるわけではなく、アレンジで変わるのが斬新ですよね。歌詞も2番になって。

KOHSHI改めてこの「ガッチャンコ」がすごいテーマだと思いました。

KENJI03FLOWのおかげで、賑やかさが増した感じがありますね。

TEEDAイントロのギターがちょっとクール目なのかなと思わせつつ、歌い出しになるとめちゃくちゃ賑やかでさらに明るくなったと思います。

――最後に改めて主題歌に関わってみての気持ちをお聞かせください。

KENJI03BACK-ONもFLOWも、仮面ライダーの主題歌は初めてでしょう。「宇宙船」の読者の皆さんは、当然ご覧になっていると思うんですけど、昔観ていたとか、ちょっと離れているとか、そういう人たちも僕らの曲をきっかけに戻って来て、さらに『ガッチャード』のファンが増えたら嬉しいなと思っています。

TEEDA今回、MV撮影で演技に初挑戦したので、『ガッチャード』本編のどこかでね、やっぱり、ちょっとね……(笑)。

KENJI03お、ブルーリボン狙えちゃう?

KEIGOそんなんあるかい!(一同笑)。

KOHSHI話を戻すけど(笑)、今回、FLOWとしては、BACK-ONのおかげで新しい扉を開けてもらえました。「皆さん、初めまして! 私たちはFLOWです!!」とライダーファンの方たちに向けての、名刺代わりになる曲として受け取ってもらえれば嬉しいです。

KEIGO仮面ライダーって、昭和から令和まで脈々と受け継がれてきた歴史がありますよね。それぞれの世代の仮面ライダーがいると思うんですけど、今、『ガッチャード』を観ている子どもたちが、大人になって「BACK-ONとFLOWが歌ってたよね」と話してくれたら嬉しいし、その時に俺らがみんな現役でいられたら最高ですね。

KOHSHIお、まとまった!(笑)

CD INFORMATION

CHEMY×STORYのCDジャケットの画像

『仮面ライダーガッチャード』主題歌「CHEMY×STORY」

●発売元/エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ、●2750円(CD+玩
具)●2750円(CD+DVD)●1650円(CD ONLY)、発売中

CD+玩具(カード)/AVCD-61390
CD+DVD/AVCD-61391/B
CD ONLY/AVCD-61392

宇宙船vol.184の表紙画像

宇宙船vol.184
2640円(税込)

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取材・構成◎トヨタトモヒサ 撮影◎塚本健人(スタジオR) ©2023 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

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